ネットジャパンは、自社のエンタープライズ向けのバックアップソリューションであるActiveImage Protector(以下、AIPと略記)を一元・一括管理するためのツール、ActiveVisorをリリースした。本稿では、ネットジャパン 執行役員営業本部長の佐藤尚吾 氏にActiveVisorやバックアップの現状や未来について話を聞いた。

  • ネットジャパン 執行役員営業本部長 佐藤尚吾 氏

    ネットジャパン
    執行役員営業本部長
    佐藤尚吾 氏

10年の歴史を持つ信頼のバックアップソリューション:ActiveImage Protector

ActiveVisorの前にAIPについて紹介しよう。100%自社開発によるバックアップソフトである。すでにバックアップ市場が存在するなかで、新規参入には様々な困難を伴った。そこで注力したのが、他社に負けない基本性能の確立と優れた機能の実装だ。

  • ActiveImage Protector

    ActiveImage Protector

意外かもしれないが、外資系ベンダーのバックアップソフトでは、“バックアップデータから復元できない”といった経験をされたIT管理者も少なくない。そこで、AIPでは何よりも、システムやデータを確実に復旧させるための“バックアップソフトとしての基本性能自体”のブラッシュアップを重ね続け、信頼性を向上させてきた。さらには、バックアップイメージが確実に起動できる状態であることを即座にテストできるBootCheck機能や、障害発生時に仮想スタンバイレプリカから再稼働を可能にするvStandby機能により、確実性の一層の向上やダウンタイムの削減も実現している。ほかにも、スマートセクターバックアップに加えて、独自の重複排除圧縮機能も実装し、バックアップイメージの最小化を進めている。

ソフト開発では、ひとつの技術が確立されると、別の新技術に向ってしまうことも少なくない。AIPでは、既存技術の性能・精度を高めることを意識してきたという。これも、後発であったからできたことだと佐藤氏は語る。

さらに、AIPは自社開発である点も大きい。ユーザーの細かい要望に対応することができ、他社にはできないサポートを可能にしている。通常、パッケージソフトでは、個々のユーザーに特化したサポートはできない。しかし、ネットジャパンでは、1件でもトラブルがあれば訪問し、解決を図ってきた。その経験もまた、AIPの製品開発に大いに活かされており、機能向上のきっかけになっている。ソフトベンダーがソースコードを持っているかいないかは、大きな違いだ。ネットジャパンのエンジニアが特別優秀ということではない。小回りの良さを活かし、営業と開発が連携して、ユーザー目線に立って解決してきた。このあたりもAIPの特徴のひとつといえるだろう。

10年という歴史を経て、基本性能の向上や機能の充実はもとより、マニュアルがなくても使えるシンプルなインターフェイス、中小企業などでも実現可能なソリューション展開、地道なセミナー開催をしてきたことも評価できる点である。

ActiveVisor登場の背景

サーバーを多数所有する現場において、もっとも手間のかかるもの、それはやはり管理作業である。1台ごとにインストール、スケジュールの設定、さらにバックアップが適切に行われているかの確認など、多数の管理業務が発生する。

当然、ユーザーからも対策を求められていた。そこでマネジメントコンソールの導入が検討され、プロトタイプ的にAIPにリモート管理機能が実装された。その後、統合管理コンソールであるActiveVisorへの開発へと至った。

予定されていたすべての機能が実装できているわけではないが、複数のサーバーに一括してAIPをプッシュインストールしたり、スケジュールの設定を行ったりできる。統合管理コンソールとしての基本機能はほぼ満たしている。インストールも簡単で、特に求められるような知識も必要ない。自動的にネットワーク上のクライアントを検出し、管理すべきクライアントをドラッグ&ドロップで管理フォルダーに入れるだけで、管理が可能になる。アクティベーションキーも、一度登録すれば後は自動で入力してくれる。ネットワークリソースもそれほど消費せず、導入の敷居は低いといえよう。

  • メイン画面となるダッシュボード、視覚的に一覧できる

    メイン画面となるダッシュボード、視覚的に一覧できる

興味深い機能のひとつに、スケジュールの調整機能がある。たとえば、12時に10台のバックアップを行う設定をしたとする。従来であれば、10台で同時にタスクが起動することで様々な負荷が発生してしまうところ、ActiveVisorでは、少しずつ時間をずらし、個々のクライアントでタスクを実行することができる。

  • スケジュールをずらす設定

    端末ごとにスケジュールをずらす設定

現状、想定される基本機能はほぼ実装されており、今後は実際に使用していくユーザーからの使い勝手などの要望を、積極的に開発に反映していく予定とのことだ。豊富なログ情報なども活用し、警告の出し方なども工夫していきたいと佐藤氏は語っていた。

  • ログ画面

    ログ画面

  • ログ画面(エラー報告)

    ログ画面(エラー報告)

佐藤氏は、防災訓練のようにディザスタリカバリーの訓練も、ぜひ実施してほしいと訴える。AIPでは、バックアップイメージのチェック機能も充実させてはいる。しかし、障害発生時に備えて、バックアップイメージから仮想環境にホスティングする作業を一度でもやってみてほしい。わざわざ訓練までと思うかもしれない。しかし、一度もやったことがないことを緊急時に初めて行うのは、非常に難しい。どういうことができて、どのくらい時間がかかったか、一度でいいから体験してほしいと語る。復元の手順なども、より具体的に定めておき、少し泥臭いくらいの実践的なバックアップ体制を構築してもらいたいとのことである。

ActiveImaeg ProtectorとActiveVisorの今後は

一例として、クライアントPCのバックアップが課題にあがった。特にタブレットやノートPCでのリカバリー作業では、復元環境を起動するためのドライブなどの接続によって、USBポートの数や供給電力(バスパワー)が不足するといったことが発生する。

佐藤氏②

対応策として、USB接続の1台のHDDのみでAIPの起動と復元を行うという方法も提供された。HDDを(復元環境の)起動ドライブにした上で、同じHDDをバックアップの保存先にもしてしまうということだ。

クライアントPCのユーザーにバックアップの設定を勝手に変えられてしまっては困る、という状況も出てくる。これについては、クライアントPCではコンソール(AIPのUI画面)を表示させない、あるいは設定をロックするという機能もあるため、うまく組み合わせて対応していきたいとのことである。

それ以外にも、無線LANで繋がるクライアントPCへの対応なども課題になっている。

サイト管理も課題のひとつである。たとえば、管理者がPCにActiveVisorを入れて、東京のオフィスから大阪のネットワークに接続し、管理作業を行うといったことを想定しており、そのようなことも可能になれば、より柔軟な管理が行えるようになるだろう。トラフィックのスループットを測定し、一定以下(書き込み遅延の発生)になると警告を出す、という機能も予定されている。

このような機能が今後追加されていくことで、ActiveVisorはバックアップ管理だけにとどまらず、システム全体の状態把握やリソース管理といった領域にまで発展していくことも期待できそうだ。

同社ではActiveVisorのリリースをきっかけに、まずは、現存のAIPの関連製品であるImageCenterやvStandby AIPといった連携ツールの管理を、ActiveVisorに統合する計画だ。さらに、エージェントレスな仮想マシンのバックアップの開発、ActiveVisorによる管理も計画に加えていく。こうして、ActiveVisorはAIPによるバックアップ運用の要となり、ネットジャパンのバックアップの顔として一層の存在感を示していくだろう。

バックアップ、過去・現在・未来

かつて佐藤氏は、営業先を訪ねた際、「障害なんて起きたことないから、バックアップは不要です」といわれたことがある。確かに数年前までは、バックアップに対する意識は、かなり低かった。しかし、最近では、ランサムウェアや巨大災害といったさまざまな脅威が発生するようになり、データの重要性、バックアップの必要性についても、以前よりは意識が高まってきている。 しかし、実際にどういうバックアップソリューションが必要なのか、守るべきものは何か、模索しているユーザーも少なくないであろう。そのような方々に、AIPはよい解決策になる可能性がある。

佐藤氏は、働き方改革という言葉とは裏腹に、長時間労働をせざるをえないIT管理者が多いことを指摘する。また、そういった忙しい管理者には、ぜひ、ActiveVisorを使ってAIPを一元管理してほしいと述べている。少なくとも、バックアップの管理作業時間は大幅に短縮されるはずで、確実なバックアップ体制により、障害時も速やかな復旧が可能になる。

もうひとつ、ネットジャパンの強みは、ユーザーの立場で考えるソリューションである。 佐藤氏は、ソースコードを持つ強みを指摘していたが、会社としてその意識の高さがあるからこそ、実現できていると思われる。外資系ベンダーにはないサポート、サービスを期待したい。

バックアップの未来はどうか? ちょっとおもしろい話が聞けたので、最後に紹介したい。現状のバックアップは、月次や日次、あるいは時間など、予め設定したスケジュールで管理される。それを「台風が近づいてきている」、「最近、地震が多い」といった情報からAIを活用してバックアップを行うというシステムはいかがだろうか。データ損失の危険性が高まった時点でバックアップを行うことで、より安全を保つという考えである。夢のような話かもしれないが、ネットジャパンには、ぜひ、そんな夢を実現してくれることを期待したい。

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