多様で柔軟な働き方を実現するために欠かせないのがITの活用だ。自身が自由なワークスタイルを実践する日本マイクロソフト業務執行役員・エバンジェリストの西脇資哲氏と、テレワークを支援するファイル仮想化ソリューション「Shadow Desktop」を提供しているアール・アイの取締役 石坂俊成氏が、日本の働き方の現状とITを通じた解決策について対談を行った。
いまだ根強い「スマホは持ち出しOK、PCはダメ」の謎
石坂氏
実は今日、著名なエバンジェリストである西脇さんとの対談ということで朝からワクワクしていたんですが、電車が遅れて……。
西脇氏
私も大渋滞で、タクシーが間に合うか心配していました。
石坂氏
もしも間に合わなかったらどこかのお店に入って、リモートで対談させていただくしかないかと一時は本気で考えました。結果的にエスカレーターでばったり!間に合いましたが。
西脇氏
もし、ネットワークにつながるデバイスを持ってさえいれば、まさに“3A”、「いつでも(Anytime)、どこでも(Anywhere)、どんなデバイスでも(Any Device)」の働き方を実現できるんですよね。でも実際は“3F”、つまり「決められた時間(Fixed Time)、決められた場所(Fixed Place)、決められたデバイス(Fixed Device)」という従来の働き方しか認めない会社が多い。3Fは、生産性を高め仕事がしやすく合理的な側面ももちろんあるのですが、例えばデバイスに目を向けると、PCの持ち出しを禁止している、つまり、決められた場所でしか使えない企業はまだまだたくさんあります。
石坂氏
スマホはいまや多くの方が持っていますし、仕事においてもスマホを活用している。もちろん、社外に持ち出しています。都内の電車内を見渡すと、ほとんどの方はスマホを触っていますよね。だったら、なぜPCは持ち出して仕事をしたらいけないのか。スマホではおとがめなしなのに、なぜか企業のPCとなると「ダメ!」と言われてしまう。
西脇氏
そうですね。PCの持ち出しは、「情報の持ち出し」とイコールと感じていらっしゃる企業もまだ多いんですよね。
3Fの話に戻りますが、朝9時に出社するためみんな汗を流して満員電車を乗り継ぎ、一日の労力の多くを費やすのはおかしいなと気づいている。それでもなかなか変えるのが難しかったのは、やはり環境や道具が整っていなかったからだと思います。
石坂氏
それが、ネットワークもデバイスも、この10年で大きな進化を遂げてきました。つまり、環境が追いついてきたわけです。であれば、PCを持ち出して会社の外でテレワークができる。西脇様が先ほどおっしゃった、“3A”を妨げるものはなくなりつつあると言っていいでしょう。
持ち出すのはデバイスであって、データではない
石坂氏
働く場所についてですが、いまはサテライトオフィスやコワーキングスペースも充実してきました。
西脇氏
昔、公衆電話が街の至るところに設置されていましたが、私はそれと同じくらい、働けるスペースを増やすべきだと思いますね。弊社は2年前にコアタイムを撤廃するとともに、テレワークも推進しています。たとえば、本社のフロア1階がコワーキングスペースになっているんですよ。
石坂氏
まさにAnytime、Anywhereが進んでいますね。Any Deviceの点で貴社の取り組みを教えてください。
西脇氏
実は今年7月1日から、Windows/Windows Phone以外のデバイスも自由に選択して仕事ができるようになりました。iPhoneやAndroid、あるいはMacでも、会社に持ち込み、つなげて使えます。もともとBYOD(個人所有の機器を業務に使うこと)が活発で自由に個人のデバイスを使うことができたのですが、さらに会社から支給されるデバイスもより自由に選べるようになりました。
石坂氏
PCを社外に持ち出すのはもはや当たり前で、自分好みのデバイスを社員自身が選択できるようになったということですね。素晴らしいです。一方で企業側の、特に経営層に多いのが、PCを持ち出すことでデータが漏えいする危険性が高まるのではないか、という考え方です。
西脇氏
経営者の中には誤解をされている方もいらっしゃるのですが、実はシンプルで、仮想化ツールがあれば、持ち出すのはあくまでデバイスであって、データではないんです。仕事に使うデータは持ち出しているように見えて実はクラウドにある。それならセキュリティも担保されますから、情報が漏れる心配はないのです。だからこそ、いまの時代、仕事をするために本当に必要なのは、デバイスを選び、持ち出す権利なんです。
住む場所を選ぶように、社員にデバイスを選べる権利を
石坂氏
権利というのは興味深い表現ですね。
西脇氏
ある企業の取り組みですが、2年に1度、18万円程度の現金を支給し、それで好きなデバイスを購入してもらう、という制度がありました。iPadを2台買う人もいれば、ゲーミングPCのような高性能PCを選ぶ人もいる。それはその人の働き方、個性、業務内容で自由に選択していいんです。同じ仕様のPCを、個性も業務も異なる社員に一律に与える従来の考え方は、この時代にはもう合わなくなっています。
石坂氏
これまでPCは会社が支給するもの、会社の固定資産だという考え方が主流でしたが、そういう企業もあるのは興味深いですね。
西脇氏
日本には住宅手当や通勤手当という制度がありますが、会社がどこに住みなさいと指定することはありませんよね。その考え方をITデバイスにも当てはめ、「端末手当」にすればいいだけの話だと思いますよ。
石坂氏
なるほど。「端末手当」は考えたこともありませんでした。使いやすいPCを、自由に持ち出して仕事できるようにする。みんな普通にコミュニケーションツールとしてスマホを使っているわけですから、あとは会社の考え方一つですよね。それを実現するデバイスとして、私はやっぱりマイクロソフトが提唱する「Always Connected PC」を浸透させるべきだと考えています。
いつでもつながるデバイスで推進する働き方改革
西脇氏
スマホやタブレットでいつでもネットワークにつながっている状態を、私たちは心地よく感じ始めているのにまだまだPCはつながっていないんですね。私はPCも含め、持ち歩くすべての機器にSIMを差しています。インターネットに常につながっていなければ使う気になりません。
石坂氏
私もそう思います。といいながら、私はまだモバイルルーターを持ち歩いています。電源管理や接続など、少しずつですが毎日時間を割かれています。
西脇氏
弊社にもAlways Connected PCを実現するデバイスとして「Surface」があり、コミュニケーションを促進する「Microsoft 365」がある。こうしたデバイスやツールが整ってきましたし、通信環境も進化しています。Always Connected PCで“3A”を志向した働き方が当たり前になる時代は、すでに幕開けしているのだと私は信じたいですね。
石坂氏
今後、日本は少子高齢化が進み、労働人口が減少します。ご家族のそばで働きたい方も増えてくるのではないでしょうか。となると、働く場所や時間が縛られていたら、就業中にオフィスを離れなくてはならないですよね。これは会社側にも、働く側にも大きな負担になります。結果、やむなく退職を選択せざるを得ない可能性もあります。でもAlways Connected PCが多くの企業で導入されれば、“3A”でテレワークや「複業」を推進できる。そのときのためにも、個性や働き方に応じてデバイスを選択でき、かつ自由に持ち出せる権利を、企業が社員に与えるべきだという考え方に共感します。
西脇氏
そうした新しい働き方の啓発を、私はエバンジェリストという業務の中で進めているのですが、「Shadow Desktop」というソリューションをお持ちの貴社にも一生懸命取り組んでいただきたいですね。
石坂氏
私は「パソコンをスマホ化しよう」と常々言っています。Shadow Desktopはファイル仮想化でセキュリティの高いモバイルワークを実現するソリューションです。クライアントPCのドキュメントはすべて仮想ドライブに保存されるので、ログオフすればデータはPCに一切残りません。会社の外でも安心してPCを使える仕組みの提供で、Always Connected PCの流れを力強くサポートできると考えています。
西脇氏
“3A”を実現する環境と道具はすでに整っています。PCを持ち出してもデータセキュリティは損なわれないことを経営者が理解し、ワークスタイル変革に向け動き出してほしいですね。
データを持ち歩かないファイル仮想化サービス
「Shadow Desktop」
クライアントPCにソフトウェアを導入するだけで仮想デスクトップのような使い勝手を実現し、PCのセキュリティ対策を一歩進めることができる新しいソリューションです。
webサイトはこちら>>
人気エバンジェリスト西脇資哲氏著書
図解&事例で学ぶプレゼンの教科書
マイナビ出版webサイトはこちら>>
[PR]提供:アール・アイ