あらゆる企業にとって、インターネットはもはや必須のビジネスインフラだ。ビジネスとインターネットとの結びつきが強くなるほど、接続サービスにはより高い品質が求められる。回線の高速性、可用性、さらにはセキュリティや運用性といったさまざまな観点でのネットワーク品質が、利益や損失に直接のインパクトを与えるようになるからだ。
インターネットや全国展開する店舗を通じた同人誌の委託販売、グッズ販売を手がける「虎の穴(以後、虎の穴)」では、2015年に拠点間のネットワーク環境を刷新。国内全拠点およびデータセンターを結ぶインターネットVPN環境を、USEN ICT Solutionsの提供する「USEN GATE 02 VPNサービス」をベースに再構築した。
同社が旧来のネットワーク環境において抱えていた課題や、その解決策として「USEN GATE 02 VPNサービス」を選択した理由について、虎の穴の持株会社である「ユメ(ノ)ソラホールディングス」で、グループの情報システム管理部門の総責任者を務める保山 啓氏と、USEN ICT Solutionsの代表取締役社長である青柳 陽一氏に話を聞いた。
虎の穴がUSEN GATE 02を選んだ最大の理由は圧倒的な「コスト対効果」
-まず、青柳さんにお伺いします。USEN ICT Solutionsと、今回、虎の穴に導入されたサービスについて、概要を教えてください。
青柳氏:USENグループは、FTTH(Fiber to the Home)による商用インターネット接続サービスを2002年にスタートしました。われわれは、特に法人向けのサービス提供を行う主幹部門だったのですが、2017年12月にUSENが経営統合を行った際に、スピンオフする形で独立し「USEN ICT Solutions」になりました。今回、虎の穴様に導入いただいた「USEN GATE 02 VPNサービス」は、法人のお客様からのいわゆる「閉域接続」に対するニーズの高まりを受けて企画したものです。サービス開始当初から、閉域接続に対するニーズは高かったのですが、広域イーサネットやIP-VPNなどは、コスト面で導入が厳しいというお客様も多い状況でした。「USEN GATE 02 VPNサービス」では、すでに広く普及した広帯域の高速インターネット回線を活用し、接続サービスとVPNルータを組み合わせたインターネットVPNを、より導入しやすいコストで提供しています。現在では、600社以上の法人様に導入いただき、約4500拠点へサービスを提供しています。
-では、虎の穴の企業概要について、保山さんからお話しください。
保山氏:虎の穴は、ユメ(ノ)ソラホールディングスの事業会社として、アニメやマンガなどのクリエイターの卵である方々が作られる同人誌委託を主力事業としています。企業としては22期目に入り、国内外28カ所に実店舗を構えて販売を行うほか、インターネット上の通販サイトを運営しています。年間出荷数は350万点を数え、通販サイトは過去最高で月間4億ページビューを記録しました。これは他では大手通販サイトのAmazonなどにも匹敵する規模です。 私の所属するユメ(ノ)ソラグループ情報システム管理部門では、虎の穴をはじめとするグループ企業全体の情報システム、ネットワーク環境の導入、運用管理を手がけています。 青柳氏:御社にとって、インターネットはまさにビジネスの基盤なのですね。今回導入いただいた「USEN GATE 02 VPNサービス」では、主に店舗間のVPN環境を刷新されましたが、どのような経緯で検討を進められたのでしょう。
保山氏:同人誌の委託販売というのは、典型的な「多品種少量販売」になるため、新商品の発売や在庫に関するデータのやり取りが非常に多くなります。そのため、システムやネットワークの役割も重大です。虎の穴では、これまで拠点間をつなぐネットワークをUSEN GATE 02のインターネット接続サービスで導入し、VPN環境については、社内で独自に構築していたのですが、やはり運用管理に知識や技術が必要で、手間もかかっていました。ネットワークの重要性が増し、情報システム部門の人材も入れ替わっていくなかで、より扱いやすく、より高速なVPN環境への刷新が必要になってきたというのが検討の経緯です。時期としては2015年ですね。
青柳氏:その際にお声掛けをいただいたわけですね。虎の穴様には、2010年からUSEN GATE 02のインターネット回線をご利用いただいていましたが、今回の「USEN GATE 02 VPNサービス」では、われわれが取り扱っているIIJ製の「SEILシリーズ」のVPNルータと回線をあわせてご提案させていただきました。 法人向けの「USEN GATE 02」では、できるだけ多様な環境のお客様にご利用いただけるよう、近年マルチキャリア対応を進めています。IIJのネットワークとSEILとによるVPNソリューションは、機器を接続すればすぐに利用できる「プラグアンドプレイ」や、リモートでの運用管理機能などが優れているという点で御社の課題にあっていると感じたのですが、そのあたりはご満足いただけたでしょうか。
保山氏:はい。導入や今後の拡張が容易という点は高く評価しました。また、今回の刷新ではこれまで100Mbpsだった店舗のネットワークを、より高速なギガビットイーサネットに切り替えるということも重要なテーマでした。そうなると、全拠点にあるネットワーク機器を新しいものに替える必要があり、納期や料金も比較検討の大きなポイントでしたが、USEN ICT Solutionsさんには納得のいくご回答をいただけました。われわれが必要としている機能に対するコスト感では頭ひとつ抜けていたというのが率直な印象です。
新環境への切り替えで実現した運用管理の手間と業務作業時間の削減
-選定から導入までの期間は、実際にはどのくらいだったのでしょうか。
保山氏:選定そのものには4カ月ほどかけました。USEN ICT Solutionsのサービスでいくと決めて作業を開始してから完了までは約4カ月でしたが、そのうちの2カ月間は繁忙時期で移行作業を止めていたので、実質的には2カ月ほどですね。通販サイトだけでなく、店舗とデータセンター間の通信もほぼフルタイムで行われているため、できる限り無停止での切り替えを目指したのですが、事前にUSEN ICT Solutions側と綿密なスケジューリングができたこともあって、切り替え作業に伴う業務へのインパクトはほぼありませんでした。
青柳氏:以前からUSEN GATE 02の回線をご利用いただいていたので、新環境への切り替えにあたっても、完全に他社に移行してしまう場合よりは、作業の手間を軽減していただけたのではないかと思います。今回のネットワーク切り替えについては、虎の穴様自身がかなり高いスキルをもつユーザーであり、移行先として選定したサービスも、ルータを接続すればすぐに使い始められるプラグアンドプレイを特長としていたため、虎の穴様にご協力いただきながらスムーズに移行を進められました。御社のビジネスにとって非常に重要なネットワークインフラなので、事前の打ち合わせはかなり綿密に行ったと担当者からは聞いています。
保山氏:USEN ICT Solutionsの担当営業の方には、とてもお世話になりました。現在も時候の挨拶などをハガキでいただいたりして、良い関係を続けさせていただいています。
青柳氏:ありがとうございます。実際にネットワークを切り替えられて、日々の運用や業務に変化はありましたか。
保山氏:拠点へのネットワーク導入については、かなり楽になりましたね。設置作業の際に、本社の情報システム担当者がその都度現地に出向かなくても良くなったというのは、とても大きいです。また障害発生時も、以前であれば、まずリモートでの対応が可能か試してみて、直らなければ現地まで行くということも多かったのですが、ルータがSEILになってからは、大抵の不具合はリモートでの再起動などで解消でき、現地に行かねばならない状況はほぼなくなりました。何か問題が起きても、すぐに対応ができ、完治が早いということで、不具合対応時間は大幅に削減できています。
-今回、回線も100Mbpsからギガビットに増強されていますが、そのことによるビジネス面での変化はありましたか。
保山氏:われわれの店舗では、商品を販売する際、"見本誌"と言う形で社内で作成した帯やポップ、誌面サンプルのような販売ツールをつけるということをやっています。ツールは、店舗側で独自に作るものもありますが、大半は本社側で用意したデータを各店舗がサーバからダウンロードして、それぞれに印刷して作成しています。画像データが中心になるのですが、そうしたデータのダウンロードが高速になったのは、現場も実感しているメリットだと思います。時期にもよりますが、同人誌の場合は1日に何十点、何百点といった新作が出ることもあり、年間を通じると10万点規模にもなります。ひとつひとつのデータ転送にかかる時間は数秒単位の短縮かもしれませんが、それが積み重なることで膨大な作業時間の削減につながっています。
ビジネス価値を生むアイデアの実現を最新のネットワーク技術がサポート
-今後、新たに導入したネットワーク環境を使った取り組みのアイデアはありますか。
保山氏:まだ構想の段階ですが、例えば売り場面積が広く取れない店舗に、取扱商品を検索・一覧できるようなアプリを入れたスマートデバイスを導入し、そこからお客様に商品を選んでいただいてレジでまとめて受け取れる、といった情報機器を活用した新形態の店舗を展開できないか、などのアイデアがあります。こうした構想の実現にあたっては、店舗とデータセンターとを結ぶインターネットVPNの役割が、さらに重要になってくるでしょう。以前よりも、高速で扱いやすいネットワークへ切り替えたわけですし、ぜひさまざまな形で活用していきたいと思っています。
青柳氏:ビジネスとネットワークとのつながりが強くなるほど、高信頼性、高可用性に対するニーズは高まってきます。われわれとしても、ネットワークインフラの二重化や冗長化などの仕組みを、コスト面でも見合う形でご提供できるよう取り組んでいきたいと考えています。また、虎の穴様の場合は、時期によってネットワークの利用量が大きく変動する業態ということですので、われわれとしては、今後SD-WANのような形で時期ごとのニーズに応じてオンデマンドで利用できるようなネットワーク環境のご提案も視野に入れています。虎の穴様には、現在IIJのVPNルータ「SEIL」と回線をセットでご提供していますが、同じくIIJのクラウドネットワークサービス「Omnibus」などをご検討いただくことで、ネットワークの冗長化やクラウド接続に容易に対応できるような環境づくりもご支援できます。USEN ICT Solutionsは、IIJのパートナーとして2017年の「Partner of the Year」も受賞させていただきました。キャリアとの強力なパートナーシップを武器に、ユーザーのニーズと期待に応えられるネットワークサービスを、これからもご提供したいと考えています。
保山氏:現状ネットワーク環境のリニューアルが済んだ段階で、われわれとしても、十分にその機能や性能を活用し切れているとはいいがたいのですが、今後もビジネス側のニーズを聞きながら、最新の技術をビジネスにメリットがある形で取り入れることは続けていきたいと思っています。その際には、USEN ICT Solutionsさんにもご相談させていただきますので、ぜひまた、当社にふさわしいソリューションをご提案いただきたいですね。
USEN GATE 02
ビジネスを支えるUSENのICTソリューション
USEN GATE 02はこれまで約4万社で導入されているサービスです。ネットワークインフラからクラウドサービスまで、およそ150にものぼるサービスラインアップで顧客企業のビジネスを支え続けています。
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