「DS218j」だけのメディアサーバ機能

NASといえばファイルサーバを連想するが、いまどきのNASにおいてファイル管理は数ある機能の1つに過ぎない。外部ネットワークからアクセスして写真や音楽を再生したり、複数のユーザでカレンダーやアドレス帳を共有してグループウェア風に活用したりもできる。サーバというより、ネットワーク経由で利用する多機能/多用途の共用コンピュータ、という表現のほうがしっくりするほどだ。

Synologyの「DS218j」は、同社NASシリーズではエントリークラスに位置付けられる製品だが、機能的には"エントリー"という枠を大きく超えている。デュアルコア/1.3GHzのCPU「Marvell Armada 385」と512MB DDR3メモリを搭載し、シーケンシャル読み込みは最大113MB/秒と快適なスループットを実現する。2基用意されたベイにはストレージを最大24TB(1基では最大12TB)搭載可能と、キャパシティも十分。独自開発のNAS用OS「DiskStation Manager(DSM)」を採用、PCやスマートフォンのWebブラウザからGUIで操作できる、わかりやすさもポイントといえる。

>>詳しくはこちらの記事より<<
・定番NAS入門機のニューモデル登場 - Synologyの「DS218j」はコスパ優秀サポートも充実
  • Synologyの「DS218j」

DSMといえば、アプリ(アドオンパッケージ)による拡張性が大きな特長。友人とインターネット経由で写真を共有する、DLNA/UPnPサーバとして音楽再生に利用する、といった使い方はアプリの力あってこそ。アプリの充実がNASとしての魅力を高める時代なのだ。

そして現在注目のアプリが、Synologyとデジオンの共同開発による「DiXiM Media Server」だ。有償ではあるものの、DTCP-IPに対応したメディアサーバとしての機能を持ち、ビデオレコーダーやテレビで録画した番組をムーブ/ダビングできる。対応するNASは現状「DS218j」のみであり、他製品と比較したときの大きなアドバンテージといえるだろう。

  • 「DiXiM Media Server」はDSMのパッケージセンターからインストールする

  • インストール後は、左上にあるメインメニューボタンをクリックすると起動できる

DiXiM Media Serverのセットアップ

「DiXiM Media Server」は、WebブラウザからDSMへログインして利用する「パッケージセンター」から購入/インストールできる。作業自体は簡単で、パッケージセンターの利用経験があれば、ものの数分で完了だろう。操作もほかのアプリと同様、パソコンやスマートフォンのWebブラウザを利用できるだけでなく、ビデオレコーダーやテレビの操作画面に(保存先の装置として)「DS218j」が表示されるため、一度セットアップを終えれば家電感覚で使えてしまう。

  • 「DiXiM Media Server」の起動画面

このアプリ最大の特長は、DTCP-IPを利用したコンテンツの録画/再生、そしてコピー(ダビング)/移動(ムーブ)ができること。DTCP-IPとは、IPネットワーク上で利用される著作権保護技術のことで、地上デジタル放送などのデジタルコンテンツは同じDTCP-IPに対応した機器間でなければやり取りできない。「DiXiM Media Server」はDTCP-IPサーバであり、同じくDTCP-IPに対応したクライアント(ビデオレコーダーや録画機能付きテレビ)から再生を指示したり、ダビング/ムーブできるのだ。

  • インストール後はメディアサーバとして常時稼働し、DLNA/DTCP-IP対応のテレビからダビング先として認識される

つまり、「DiXiM Media Server」を稼働させておくと、「DS218j」は「デジタルテレビ放送のダビング/移動先」のストレージとして利用できる。コンテンツが定めた回数の範囲内(例えば地デジ/BS番組の大半は10回のダビングが可能)で、普段利用している録画先に空きがなくなったときの受け皿として、最大24TBという「DS218j」の大容量を活用できるということだ。

ただし、ダビング/ムーブした録画済コンテンツがすべてのDTCP-IP対応テレビ/アプリで再生できるとは限らない。再生するときには、再生する側のテレビ/アプリが録画時に使用したコーデックをサポートしていなければならず、サポートしていない場合には、再生可能なコーデックに変換(トランスコード)する機能が要求されるからだ。

  • 再生元の機器として選択すれば、ダビング/ムーブした番組を直接再生できる

例えば、DRモード(コーデックはMPEG-2 TS)で録画した番組は、「DiXiM Media Server」に再生時のトランスコード機能が搭載されていないこともあり、iPhone/iPadなどOSレベルでMPEG-2 TSをサポートしないスマートフォンでは再生できない。この点を理解したうえで、「DS218j」にダビング/ムーブしたコンテンツを再生する映像機器(アプリ)を選ぼう。

  • アプリ「DiXiM Play」を利用すればスマートフォンでの再生も可能だが、iOS版ではDRモードで録画した番組を再生できない

リモコンいらずの「ダウンロード機能」

「DiXiM Media Server」のインストールが完了すると、テレビやビデオレコーダーなどDTCP-IP対応機器から「DS218j」は「DTCP-IP対応メディアサーバ」として認識される。録画済番組を「DS218j」へダビング/ムーブしたいときは、テレビやビデオレコーダーの操作画面から送り先に「DS218j」を指定すればOK、あとは待つだけでいい。利用しているLAN機器の性能にもよるが、番組時間の数分の1程度でダビング/ムーブは完了するはずだ。

番組を選択するときリモコンを使うのは面倒、PCやスマートフォンでサクサク操作したいという場合は、ダウンロード機能(再生端末側を操作してコンテンツをダビング/ムーブする機能)を使おう。Webブラウザで「DS218j」のデスクトップ(DSM)に接続し、左上にあるメインメニューボタンをクリック、現れたアプリ一覧画面で「DiXiM Media Server」をクリックすれば、「ようこそ」画面が現れる。

この画面で「コンテンツをダウンロード」をクリックすると、同じLAN内にあるDLNA対応のメディアサーバが表示される。いくつか表示された候補の中から、「DS218j」へダビング/ムーブしたいコンテンツにチェックを入れ、「ダウンロード」ボタンをクリック。続いて保存先のフォルダや転送方法(すぐに開始するか予約転送するか)を尋ねる画面が現れるので、画面の指示に従い操作すればOKだ。ただしダウンロードムーブに対応するのは、基本的に2011年以降発売のビデオレコーダーで、しかも対応しているとは限らない(非対応機はダウンロード画面に現れない)ことを認識しておきたい。

  • 起動画面で「コンテンツをダウンロード」をクリックするか、サイドメニューから「ダウンロード」を選択する

  • 「DS218j」にダウンロードするコンテンツを選択する

  • いますぐダウンロードするか、日時を決めて予約転送するかを選択できる

  • あとは「開始」ボタンをクリックすれば、録画済番組が「DS218j」にダビングされる

このように、「DS218j」に「DiXiM Media Server」をインストールすることで、ビデオレコーダー/テレビに録りためたテレビ番組をスムーズに移動できるようになる。PC/スマートフォン側を操作して録画済番組をダビングする「ダウンロード機能」もサポートされているので、効率的にダビング作業を進められるのもポイントだ。すべての放送番組を自動録画するビデオレコーダーが珍しくなくなり、コストパフォーマンスに優れた"大容量テレビ番組保管庫"が求められる現在、「DS218j」と「DiXiM Media Server」の組み合わせは、理にかなう選択といえるだろう。

[PR]提供:Synology