2016年9月21日、ニフティクラウドのユーザーが集まる「ニフティクラウドエンジニア交流会 第1回」が開催された。会場はニフティの社内にあるセミナールームだが、発起人はニフティクラウドブログのメインライターでもある日本仮想化技術 代表取締役社長兼CEOの宮原徹氏。参加者は、ビール等の飲み物を手にお寿司をつまみながら会話を弾ませるなど、リラックスしたムードでの交流会となった。

ユーザーの声をフィードバックするカジュアルな場としてスタート

ニフティ クラウド事業部 クラウドインフラ部部長 浜中慶氏

日本仮想化技術 代表取締役社長兼CEO 宮原徹氏

交流会の冒頭、ニフティ クラウド事業部 クラウドインフラ部部長 浜中慶氏が挨拶。同社が提供するニフティクラウドについて、「開発はほとんど途切れることなく3ヶ月タームでいろいろな機能をリリースしているが、作ることにばかり専念してしまって、なかなか直接フィードバックをいただく機会を設けられていなかったことを反省している」と振り返り、「こうしたカジュアルな場でフィードバックを受けて今後の機能開発に活かしたいと考えている。みなさんは交流を楽しみ、忌憚のない意見を聞かせて欲しい」とコメントした。

1ユーザーとして体当たりでベンチマークを繰り返す宮原氏

前半は2つのセッションが行われ、交流会を挟んで2つのライトニングトークが行われる構成だ。

最初のセッションは発起人でもある宮原氏が登壇し「触って分かったニフティクラウドを有効活用するコツとは ~ベンチマークで想像するニフティクラウドの裏側~」と題した講演を行った。

宮原氏は冒頭、ニフティクラウドブログのメインライターという自身の立ち位置について言及。ニフティ自身が性能を評価するのではなく、第三者の視点で評価してもらうことを目的として依頼された仕事であることを明かし、「カタログスペックだけでは判断出来ない実際の使い心地などをブログで明らかにしていく」と述べた。

そんな宮原氏の今回のセッションテーマは、ストレージベンチマーク。ニフティクラウドには高速ストレージが用意されているが、実際にどれほど高速なのかということは分かりづらい。

そこで実際の利用で評価したベンチマークの結果を紹介。宮原氏は「データサイズが大きくなると高速ストレージでは4倍の速度となる結果が出た。ストレージを使っていく中でデータサイズが大きくなると速度に問題が出てくるが、すでにデータが大きすぎて移行が難しいというのもよくある話。転ばぬ先の杖として選択するとよさそうだと分かった」とベンチマーク結果についてコメントし、「オンプレミスより速く、ネットワークも高速。安価に利用できるType-eも出てきてお得感がある。比較的オンプレミスから移行しやすいものになっていると感じた」とニフティクラウドの有用性を評価した。

高速ストレージはベンチマークで確かな結果を出した

一方で、検証環境を作る中で感じたニフティクラウドの使い勝手についても言及した。具体的には、マニュアルが使いやすいものではない、設定項目の深い意味が知りたい、問い合わせが億劫だなどといった課題を指摘。検索してもなかなか直接的な情報が出てこないという実情を踏まえて、ユーザーには「とりあえずTwitterでつぶやいてみると中の人からアドバイスが受けられることもある。今ならQiitaを利用するのもいいし、ブログで書くのもいい。こういう集まりでの情報交換もいいと思う。仕事を楽しくする工夫をみんなでしていきたい」と訴えた。

日常業務の大半を自動化! 高い運用サービスを誇る

ニフティ クラウドインフラ部 五月女雄一氏

続いて、ニフティ クラウドインフラ部 五月女雄一氏が登壇。「ニフティクラウドにおけるインフラ自律化への挑戦」と題して、ニフティクラウドの強みにしたいポイントと、その裏側について語った。

「ニフティクラウドがサービスを展開する上で強みにしたいのは、オープンテクノロジー、パフォーマンス、運用力という3つのポイント。出来る限り仕様を公開して誰もが『同じ環境を作れる』と思える環境にした上で、パフォーマンスチューニングや運用力で差別化している」と説明した上で、今回のセッションは特に運用の部分にフォーカスしたものになっていた。 五月女氏によると、ニフティではハードウエア監視の自動化は早くから取り組んできているという。ハードウエア仮想化技術を取り入れることで物理構成をシンプル化して画一的に扱えるようにし、より自動化しやすい環境を構築。その上でハードウエアの故障予兆を検知した時には、ユーザーの仮想マシンを他ハードウエアへ自動的に移行させて、故障しそうなハードウエアを抜き取るという形で障害の未然防止を行っているそうだ。

「お客様から見ると、仮想マシンのHAも障害と感じる。この対応によってお客様の仮想マシンにとっては障害が起こらずに動き続けているという状況が実現している。サーバーだけでなくストレージやネットワーク機器などでも同じような取り組みを行っているが、要するにお客様の仮想マシンの障害を未然に防ぐ努力をしている」(五月女氏)

続いて五月女氏は、運用業務をできるだけプログラム化し、それによる業務自動化が可能なクラウド基盤を構築していると説明。「一番大切なのは我々エンジニアのマインドセット。簡単なことはついつい手作業でやってしまいがちだが、実行するのが人である限りは必ずミスが起きる。しかし、プログラム化すれば1台に対する操作も1000台に対する操作も差が無くなる。一度やった作業は自動化しようと内部でしつこく啓蒙してきた。2006年の時点では手作業でやっていたことの80%くらいが現在では自動化できている」と述べた。

日常的な運用で必要となる作業の大半が自動化されているという

こうした自動化によって生まれた時間を開発にあてられるようになったほか、属人化防止にもつながっているという。

ニフティクラウドの「中の人」が裏側の動きを語るライトニングトーク

2つのセッション終了後は懇親会が行われ、ドリンク片手のリラックスした雰囲気の中、活発な情報交換が行われた。

ニフティのエンジニアも交えてユーザーの活発な交流が行われた懇親会

後半のライトニングトークでは、ニフティクラウドの「中の人」としてニフティ クラウドプラットフォーム部の高野祥幸氏と小林研氏が登壇した。

ニフティ クラウドプラットフォーム部 高野祥幸氏

テクニカルサポートのマネージャーであるという高野氏は「問い合わせあるある2016年秋(仮)」と題して、あくまでも個人の感覚と強調しながら、問い合わせのタイミングやパターンの「あるある」について語った。

直前までサポート対応を行っていたという高野氏が現場の感覚で語ったのは、問い合わせの内容を分析していくとお客様のフェーズによって問い合わせの多寡があることが見えてくるという点。

使おうと思ったけれど使い方がよく分からない、仕様が分からないといった内容で頻繁な問い合わせをするのは仕様確認期だ。開発期に入るとだんだん問い合わせは減り、開発期の終わりと運用期の直前に性能測定期として、一時的に問い合わせが増えるという。実運用に入ってからは、運用上の疑問が常時ある程度存在するようになるそうだ。

高野氏は具体的な問い合わせ内容や、トラブルへの対処方法などを解説した上で「『あるある』は起こるべくして起こっている。サポートの品質をあげるための重要な情報。お客様の状況が分かれば、より適切なサポートを提供できる」と語り、お客様が現在どのフェーズにいるのかなどの情報も把握し、加味した対応をしていきたいとも付け加えた。

問い合わせのハイプ・サイクルとお客様の位置

続いて小林氏が「オブジェクトストレージ開発秘話」を紹介。ニフティクラウドではAmazon S3準拠のオブジェクトストレージサービスを6月29日にリリースしており、同サービスについて小林氏は「利用シーンの変化などもあり、新しいストレージサービスが求められていたため開発を行った。検証は足かけ3年におよび、途中で1度は開発をあきらめかけたこともある」と苦労を語った。

ニフティ クラウドプラットフォーム部 小林研氏

小林氏は「頑丈なストレージサービスを提供するために、繰り返し負荷テストを行い、壊れる箇所を修正して、さらに負荷テストをするといった試行錯誤の連続だった」と振り返り、 その結果、時間がかかりすぎたために実際にストレージを購入しようとした時には新製品が登場してしまっていたというエピソードを紹介。「3年に及ぶ検証期間中に、ストレージ製品の構成変更などが行われ、最終的に1から10までやり直すことになった。そんな苦労を経てリリースしたものなので、みなさんには触るだけでも試してみて欲しい」と小林氏は語る。

ここまで紹介してきた通り、いずれの登壇者も笑いを交えて楽しく語った「ニフティクラウドエンジニア交流会 第1回」。宮原氏は「1回目なのでニフティクラウドの中の人を引っ張り出してきたけれど、今後はぜひみなさんにやっていることを語ってもらえる場にしたい」と語る。今後はよりユーザーサイドの話を聞ける場となっていきそうだ。

(マイナビニュース広告企画:提供 ニフティ)

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