DNP C&I事業部 プラットフォームサービス本部 PIMプラットフォーム企画開発室 吉田集氏

企業のブランド力は、製品・サービスを提供するだけでつくられるものではない。"ブランド"としての評価を得るためには、質の高い製品・サービスの提供に加え、速く・正確に・信頼できる情報を消費者に届けること、すなわち適切なプロモーション活動を行うことが求められる。これまで日本の多くの企業は、効率化と高品質なものづくりを追求し、製造や流通の現場で「カイゼン」の努力を積み重ねてきた。では実際に、"モノを売る現場"の方はどうだろうか。売るために扱う情報量の増大により効率化と品質管理を必要とされながら、カイゼンのセオリーには乗せにくいのがプロモーション活動だ。

近年、モノを売るための仕掛けや、消費者との信頼を築く要素として、プロモーション情報の流通基盤が重視されるようになっている。世界的な潮流としてPIM(Product Information Management)を導入する企業が相次いでいることもその証左といえよう。それらの企業はPIM導入の目的や効果をどこに見据えているのだろうか。グローバルPIMシステム「Pro-V(プロファイブ)」を提供する大日本印刷(以下、DNP)のC&I事業部 プラットフォームサービス本部 PIMプラットフォーム企画開発室 吉田集氏にお話をうかがった。

DNPが考えるPIMのあるべき姿

企業が取り扱う多種多様な情報のうち、原価管理・製造管理といった製造・流通のための情報は基幹システムで一括管理されることが一般的だ。一方、宣伝写真・商品ロゴ・キャッチコピーといったモノを売るために必要となる情報は、通常そこには含まれない。そのため、現在も担当の部門ごとに人力で管理され、データの重複やバージョン管理が効率化されていないケースが多い。

さらに現在では、Webサイト・EC・紙媒体・店頭・各種広告など、従来に比べて情報の活用先が増え、展開の仕方も一律ではなくなっている。消費傾向の多様化により製品自体の多品種短命化も著しい。さらにグローバル展開を行う企業なら、それぞれについて多言語対応や現地の売れ筋に合わせた独自の展開も必要になり、情報量は数倍に及ぶことになる。また、量だけではない。モバイルの普及によってWebではより迅速な情報提供が求められる反面、情報の不足や誤りも一気に拡散する恐れがあるため、確実な品質管理も両立させることが重要だ。

製造/流通のための情報と、売るための情報

PIMは、こうした情報を管理するための基盤となるシステムだ。DNPでは、「情報の流れをいかにマネジメント」するか、という部分にコンセプトを置いていると吉田氏は語る。

「必要な情報をいかに効率的に収集・一元管理し、必要なところに早く配信できるか。もちろん、情報を貯める器としてのデータベースは必要ですが、効率的に情報を集めるためのインタフェースや、集めた情報を紙媒体・Webサイト・ECサイトなどに出すための展開のしやすさまで網羅していることが、PIMとしてあるべき姿だと考えています」

情報収集・一元管理と様々なチャネルへの効率的な活用が求められる

すでに当たり前になりつつあるWebファーストの情報展開や、企業の独自運営も含めたEC強化、さらにグローバルマーケット向けなど、複数のチャネルにおける複雑なプロモーションが必要となる一方、企業がプロモーションの準備にかけることができる時間とリソースは限られているのが実状である。こうした課題に対するソリューションとしてDNPが提供するのが「Pro-V」だ。PIMベンダーとして様々なITリサーチ企業から高い評価を得るデンマークのStibo Systems社が開発し、世界で270社を超える企業への導入実績がある。

PIMベンダーとして世界的に高い評価を受けているStibo Systems社(2012年調査)

先にも吉田氏が述べたように、PIM導入の意義は情報を貯めるだけでなく、情報の流れをマネジメントし、プロモーション展開において成果をあげることにある。その意味で、印刷のデジタル化と共に商品情報マネジメントに取り組んできたDNPのノウハウと実績は、的確な導入コンサルから導入企業の業務実態に合わせた運用までをトータルにサポートする上で大きなアドバンテージとなる。

「Pro-V」は、情報収集のためのWebインタフェースや、印刷物の台割作成・Pro-V内のデータと印刷用データとの同期といった機能がオールインワンのパッケージになっており、他製品との組み合わせが不要なことが特長だ。導入企業からも、構築・改修の簡便性が評価されているという。

「システムの構築や変更が管理画面の設定作業で可能なため、スモールスタートで安定稼働させながら徐々に活用範囲を広げていく使い方にも向いています。また、「Pro-V」はバージョンアップ毎に開発元のStibo Systems社がHP社と共同でパフォーマンステストを行い、その結果を公開しているため、大規模な運用が見込まれる際にもパフォーマンス面での不安を感じることなく導入頂くことができます。」(吉田氏)

PIM導入は、全体最適のプロジェクト

PIMはどのような企業がどのような目的で導入しているのだろうか。吉田氏によると、大きく3つのケースがあるという。1つ目は、いわゆる「ワンソースマルチユース」という言葉で表される複数チャネルでの効率的な情報活用だ。例えば紙のパンフレットとWebで同じ内容を提供する場合、はじめに印刷物を制作し、校了後にWebの制作部門がそれを元にページを作って間に合わせる、といったマンパワー頼みのワークフローを大きく省力化することが可能になる。実際に「Pro-V」を導入した大手旅行会社では、年間約5万ページのパンフレットの制作コストを3~4割削減した上で、Webサイトへも「Pro-V」からデータを配信することで、膨大な情報を速く正確に提供することを実現した。

2つ目は、グローバルにおけるシームレスなプロモーション展開だ。国内に本社のある大手AV機器メーカーでは、本社で新製品が発表されてから海外の現地法人が現地向けのプロモーション素材を用意し、実際に量販店等の広告に製品が掲載されるまで、1ヶ月程度を要していた。しかし、こうしたタイムラグによる機会損失が大きいことから、PIMを導入。本社のプレスリリースと同時に海外でもプロモーションを開始できるように改革を行った。その結果、ある事業分野ではローンチ後の製品売り上げシェアが導入前の10%から30%にまで拡大したという。

そして3つ目が、最近海外でも導入事例が増えている流通系だ。流通では、販売のタイミングが売り上げを大きく左右するが、膨大な商品点数を扱う大規模店舗やECストアにおいて、すべての商品について品質の整った情報を人力で集めることは非常に難しい。そこで「Pro-V」で商品情報収集用のWebポータルサイトを構築し、サプライヤーに入力してもらうことでプロモーション情報を効率的に収集、必要なタイミングで「Pro-V」からECサイトに商品の情報を供給するという運用が行われている。

「最近EUなどでは、予め定められた標準データフォーマットでPIMから情報を出力し納品することをメーカーとの取引の条件としている流通企業が増えてきているんです。実際に、EUの現地法人からPIMがないとビジネスを拡大できないので本社も入れてほしいと要請され、導入されるメーカーさんもありました」(吉田氏)

PIMの導入目的と期待される効果

こうした事例に見られるように、PIMは企業が商品をより多く売るための情報基盤=プラットフォームとなるものだ。コストをいくら削減したい、シェアを何%伸ばしたい、といった目標を組織として達成するためには、具体的なプロセス改善が必要となるが、それは担当の部門による個別の努力では成し得ない。

「PIMの導入においては、業務システムとして既存のフローを改善するものではなく、業務改革であり全体最適のプロジェクトであるとお客様に申し上げています」(吉田氏)

情報が業績を左右する時代。ビジネスのカギとなるプロモーション情報を効率的に集め、効果的に活用するために、PIMというプラットフォームを構築することの価値が一層高まっていくだろう。

(マイナビニュース広告企画:提供 大日本印刷)

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