「世界中のIT資源を最適化しよう」をミッションに掲げ、メーカー保守切れ(EOSL/EOL)製品に対する保守サービスを展開するデータライブ。第1回では山田和人社長がどんな思いで事業を立ち上げ、どのように事業を拡大させてきたのかを振り返った。今回からは、普段は見ることができないサービスの"裏側"に迫っていく。第2回目となる今回は、保守サービス全体を統制する役割を担う「メンテナンス部」に迫る。

EOSL保守のパイオニア データライブの総合力に迫る

障害対応の司令塔

データライブが提供するEOSL/EOL保守サービスは、メーカー保守が終了した製品をメーカーに代わって保守するというサービスだ。故障しやすい部品をストックしておき、故障が発生したらすみやかに交換する。顧客サイトでのオンサイト保守も行う。

※編集部注
EOSL(End Of Service Life)とは、メーカーなどが過去に販売した製品に対するアフターサービスや保守期間を終えることを指す。
この期間を越えると、部品交換やバージョンアップなどのサービスは保証されない。

そもそもメーカー保守は、メーカーの機器に通じた専門業者が行うものだ。それをメーカーに代わって行うということは、「どこに障害があるかの切り分け」や「交換修理するにはどんな部品が必要で、それがどのくらいの期間で調達できるのか」といったことまで把握していく必要がある。

また、ユーザーのニーズに応えようとするなら、特定のメーカーだけではなく、複数のメーカーの製品、それもその製品に用いられる部品についてまで、知識とノウハウを蓄積していかなければならない。第三者による保守サービスは、一朝一夕で立ち上げられるものではないのだ。

ではなぜ、複数のメーカーが開発した多岐にわたる製品や部品を第三者のデータライブが保守できるのか。それを知るための手がかりになるのがメンテナンス部だ。山田社長は次のように話す。

「保守の仕事は、火事場に駆けつける消防隊のようなものです。問題が起こってからが本番で、いかにすばやく対応するかがカギを握っています。障害の切り分けから、フィールドエンジニアの手配までをできるだけスムーズにこなす。そのようにして、保守全体の流れを管理し、的確に作業を進めていくために指示を出すのがメンテナンス部です」(山田氏)

具体的な業務は、ユーザーからの連絡を受けるコールセンター業務、障害の切り分けと特定、障害案件の管理、保守部材の調達依頼、エンジニアを派遣するディスパッチ業務、ユーザーへの報告などだ。

もともとデータライブには、保守の管理業務は、技術部署で行っていた、マルチベンダー保守への対応を進めながら、保守サービスのスピードと品質を高めていく上では、こうした"指揮・統制機関"の存在が欠かせなくなり特化した部署を立ち上げた。メンテナンス部は、言ってみれば、緊急連絡を受けて消防隊をすばやく現地に向かわせ、災害にすばやく対応するための司令塔としての役割を担っているのだ。

メーカーとのギャップを埋めながら、メーカーとの違いを生み出す

データライブ 代表取締役社長 山田和人氏

山田社長は、第三者保守には大きく2つの目標があると話す。1つは、メーカーとのギャップを埋めていくことで、もう1つは、メーカーとの違いを生み出すことだ。メーカーと同じ品質のサービスに近づけるべく最大限の努力をする一方、メーカーにはない独自サービスで付加価値を提供していくという、方向性の異なる取り組みを進めることが求められるわけだ。

この2つの目標を特に意識しているのがメンテナンス部だ。メンテナンス部で部長を務める新居弘司氏は、山田社長の話を受けて、こう話す。

データライブ メンテナンス部 部長 新居弘司氏

「メーカーとのギャップを埋めるために、純正部品を調達し、対応時間を早め、同等のスキルを持ったエンジニアを確保していくという取り組みを続けています。もっとも、完璧に同じというわけにはいきません。すべてのマニュアルや仕様が公開されているわけではありませんし、生産が終了してしまった純正部品を新たに生産できるわけでもありません。そこでメーカーとの違いを際立たせていくことが重要になってくるのです。たとえば、マルチベンダーでの対応ができることや、他社の部品を検証して互換品として問題なく動作するかを確認するといったことが、われわれの武器になると考えています」(新居氏)

メンテナンス部が独立した部署になったのは3年前。ユーザーのニーズに応えられるよう試行錯誤を繰り返すなかで今のようなかたちを作り上げてきた。今では、山田社長から「保守サービスの要であり、もしこの部署がなかったら今の当社が無いと言ってもおかしくない」と言うほど重要な存在だ。

これまでの試行錯誤のなかで特に難しかったのは、マルチベンダー保守の対応だという。メンテナンス部でチームリーダーを務める伊藤一夫氏は、マルチベンダー保守の難しさをこう話す。

データライブ メンテナンス部 チームリーダー 伊藤一夫氏

「メーカーのサーバー製品というだけでもかなりの数です。ましてやその1つ1つの製品に使われる部材になれば、その数はさらに多くなります。障害をすばやく切り分けるには、その1つ1つの部材に対しての知識やノウハウをもっていることが必要です。メーカーが増えれば増えるほど、求められる知識やノウハウは増えていきます。当社ではこれをナレッジベースに蓄積していますが、蓄積しただけでは使えません。そこで、技術検証を行う部署やパートナーのフィールドエンジニアなどと共有していく仕組みづくりを進めています。このようにして、いろいろなところから集まってくるデータを整理、共有、提供する全体的な仕組みをつくることが我々の一番のミッションです」(伊藤氏)。

マルチベンダー対応機器はこちらから

メンテナンス部の業務は地道で、完成のない業務である。しかし、だからこそ、データライブの保守の要として、メーカーでも他社でも真似できないサービスになるのだ。

新居氏と伊藤氏が進める取り組みに対し、山田社長は「データライブの保守は、メーカーと同じように安心、メーカー以上に感心。そう評価されるような頼もしい存在になっていけると思う」と、答えた。

障害コール24時間受付、24時間デリバリ体制

では、メンテナンス部は日々どんな作業を行っているのか。新居氏と伊藤氏に、改めて部の業務やこれまでの実績、今後の展開などを紹介してもらった。

データライブでは、3000台(2015年1月現在)を超える機器の保守を行っている。それを支える組織体制としては、新居氏と伊藤氏を含めた約6名でチームを構成する。大きく、営業にかかわる「社外に向けた業務」と人材の配置やノウハウの管理といった「社内に向けた業務」に分かれるが、人が入れ替わっても同じ業務を遂行できるような体制を敷いている。

まずは障害対応だが、その流れは、おおよそ、以下のようになる。

・ユーザーから障害発生の連絡
 コールセンターを経由してメンテナンス部に連絡が入る
・障害の切り分けと原因の特定
切り分けのマニュアルに沿って対応し、その場で原因を特定。必要な部材が何かを確認する。
その場で特定できない場合は、技術検証などを行う専門部署と連携開始
・エンジニアへのエスカレーション 及び交換パーツの配送手配
 フィールドエンジニアに必要事項を連絡し、交換パーツを設置サイトへ配送手配。
 ユーザーサイトでの部品交換や修理をバックアップ
・製品、部材の調達
 純正品や部材、互換品などを、グローバルな調達網を駆使してすばやく確保する
・案件管理
 障害対応で交換、修理した部材などの情報をデータベースに登録、管理する
・ユーザーへの報告や調査
 障害案件の報告と保守対象機器の調査

新居氏によると、カギになるのはスピードだという。そのために、障害コール24時間受付、リモート障害診断、24時間デリバリ体制をとっている。保守サービスとしては、大きく、パーツ保守、オンサイト保守、スポット修理の3つがあるが、そのいずれもがメンテナンス部で管理している

「夜トラブルが起きても、原因を特定して、すぐに対応できるようにしています。必要な部品は、お客様にいちばん近いセンターから出荷できる体制です」と新居氏。

実際、サービスレベルは目標として4時間で駆け付けられるよう体制を整えている。

スピード対応を支える技術力とノウハウ

こうした迅速な対応を可能にするのが、技術力とノウハウの蓄積だ。伊藤氏は、障害の切り分けと特定の手順について、こう説明する。

「HDDや電源など、物理的な故障箇所がはっきりしている場合はいいのですが、なかには、どこが故障しているのかわからない場合もあります。その場合は、ログを取得してもらって、当社ナレッジベースなどに照らし合わせながら、故障箇所を特定していきます。サーバーだけでなく、ネットワークやストレージも保守サービスの対象で、複数のベンダーの製品をサポートするわけですから、ログは複雑になりがちです。勘と経験で乗り切るケースも少なくありません」(伊藤氏)

切り分けができても、モノがなければ意味がない。モノを顧客にすばやく届ける必要もある。そこで重要になるのが、調達網とパートナーの存在だ。

調達網については、グローバル調達網の整備により、国内外のネッワークを通して必要な部品を数日で調達できる。国内調達よりも早いケースが多く、メーカー生産終了部品の調達もできることが強みだ。

また、パートナーについては北海道から沖縄まで、全国規模でネットワークを築いている。関東エリアについては基本的にはデータライブの東京の拠点を利用し、その他の地域は、パートナーと連携した保守サービスを行う。新居氏によると、パートナーとの連携については、技術やノウハウをどのように共有していくかでこれまでに多くの試行錯誤があった。

全国の対応実績マップ

「当初は、パートナーさんが持つ技術やノウハウに頼り、作業の多くはまかせることが多かったのです。ただ、得意なメーカーはパートナーさんごとに異なるし、事業そのものをやめてしまうこともあります。そこで、我々が持つ技術やノウハウを共有して協調してサポートする体制に移行しました。最近では、社内でエンジニアを育成して、パートナーに技術指導するような取り組みも始めています」(新居氏)

3年前にメンテナンス部が独立した組織になったことで、こうした取り組みを行いやすくなったのだという。

現場で得たノウハウをサービスに活かす

第1回でも触れたように、データライブは顧客ニーズに応えるなかでサービスを拡充してきた企業だ。現場で得られたノウハウをサービスに生かした例は数えきれない。新居氏と伊藤氏は、メンテナンス現場の対応事例をいくつか教えてくれた。

CASE1. 全国にスピーディーに - メーカー品質に近づく

メーカー品質に近づけるという点では、全国規模でスピーディーな部品配送をできるかがカギとなる。その体制を整備するきっかけともなった事例が、中部地方にあるパートナーとの取り組み事例だ。このベンダーは、データセンター事業をてがけ、データライブのユーザーでもあった。当時、データライブは、東京と大阪の拠点で首都圏、関西圏とカバーしていたが、そのちょうど中間に位置する中部地方は、距離の問題で首都圏などと比べると、配送までに時間が余計にかかっていた。そこで、ベンダーに協力を仰ぎ、配送予定の部品をデータセンター内に一時預かってもらい、緊急時にそこから配送することにした。これにより、中部地方の顧客への配送時間は劇的に短縮。サービス向上につなげるとともに、この協業モデルを使って、"エリア外"だった地域を次々とカバーしていくことになったという。
CASE2.互換品による、純正品が入手できない事態への対応 ? メーカーとの差別化

データライブでは、メーカーの生産終了などで純正品が入手できない場合に、新しいハードウェアを使った互換品を提供することがある。きっかけになったのは、富士通のストレージ製品に利用されているHDDだった。ストレージ製品は独自フォーマットを利用することが多く、仕様が異なるディスクに交換をしただけでは稼働しない場合が多い。純正部品がどうしても入手できないことがわかったため、パートナー(ストレージの解析・検査ツールの開発をしている)と試行錯誤を繰り返した。そのうち、プログラムをフォーマット仕様に従うように変更しフォーマットし直すと、既存システム上でうまく稼働することがわかった。

「技術検証を行って、メーカー純正品と同じように利用できることを確認しました。第三者が、メーカー品と同じ仕様の部品を作成できたということに意味があります」と伊藤氏。

このことは、「メーカー保守との違いを出す」という点でも、データライブの大きなアドバンテージになっている。

技術開発という点では、モバイル産業の協力を得て、バッテリのリフレッシュも行った事例がある。このきっかけもユーザーの実際のトラブル対応だった。RAIDコントローラで利用しているバッテリは、サーバーメーカーごとにバラバラで、メーカー保守が切れると、消耗品も提供されなくなる。バッテリが切れた場合、RAIDコントローラ自体が正常でも稼働しなくなる。そうした課題を抱えたユーザーへの対応のなかで、バッテリのセル交換でシステム延伸稼働を実現したのだ。

データベース化をさらに進める

今後の取り組みについて新居氏はまず、データベースの拡充を挙げた。現状では、障害対応の案件管理はシステム化されているが、それらとCRMとの統合はまだ実現できていないという。障害受付時に、過去のサービス履歴を即座に確認できれば、障害対応のアクションプランがスムーズに提示できるだけではなく、障害の切り分け速度の向上や障害予測につながるデータを得ることもできる。メーカーと同等のサービスに近づけるためには欠かせない取り組みだ。もちろん、これは、メーカーとの違いを出す上でも重要になってくる。

障害対応の案件数は、メンテナンス部がスタートした3年前は月に4件ほどだった。保守ニーズの拡大と、それにあわせたビジネスの展開とともに、今では月60件を超える規模になった。そうしたデータライブの拡大を支えてきたのがメンテナンス部ということだ。

次回は、実際にカスタマーのシステムと直に向かい合うテクニカルサービス部に取材を行い、同社サービスの強みについて紐解いていきたい。

EOSL保守のパイオニア データライブの総合力に迫る

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