ソニーからVAIOの2013年夏モデルが6月上旬にリリースされた。5月にも一部機種が発表されているため、今回は夏モデル第2弾という位置づけだ。この第2弾の最大の特徴は、モビリティ性能の高いマシンが揃っていること。特に800gを切る超軽量モバイルマシン「VAIO Pro 11」は、タブレット端末に押されていたモバイルノートの復権を左右するほどのインパクトがある製品だといえる。ここでは夏モデル第2弾として投入された「VAIO Pro 11」「VAIO Pro 13」「VAIO Duo 13」3モデルをあらためて振り返ってみる。

最軽量で770g! モバイル機の王道“軽さ”を追求した「VAIO Pro 11」

VAIO Pro 11

iPadが大ヒットし、タッチ対応のWindows 8が登場してからというもの、ノートPCとタブレットのコンバーチブルや、Windows 8を採用したピュアタブレットといった製品が数多くリリースされた。確かにこうした製品は、新しいものに目がないアーリーアダプターやデジタルエンスー層の興味を引いてきた。だが、ハードウェアキーボードでタイピングし、タッチパッドでポインティングするという昔ながらのスタイルに慣れ親しんできたユーザーの中には、そうした製品に違和感を持つ方もいるだろう。タッチという新しい操作方法がアドオンされているよりも、軽くて長時間駆動し、キーボードでしっかりタイピングできる。タブレットとの融合ではなく、純粋にモバイルノート機としての性能を極めたそんなノートPCの登場を待っていた方も多いのではないか。

そうしたユーザーの要求にも応えるのが11.6型ワイド液晶を搭載したVAIO Pro 11だ。“にも”と表現したのは、VAIO Pro 11にはタッチ対応ディスプレイ搭載モデルと非搭載モデルが用意されているからだ。タッチ操作に最適化されたWindows 8の操作感を100%活用したい人、キーボードとタッチパッドの操作がメインで画面タッチは不要と考える人、両方のニーズを取り込めるラインナップとなっている。まず同機で注目したいのはその軽さ。タッチ対応モデルで880g、非対応モデルで770gとなっている。特に後者は、重めのタブレット端末に迫る軽さだ。


この軽さに一役買っているのが東レのUDカーボンを採用したことだ。UDカーボンは、一般的なカーボン素材のように縦横に編み込まれているのではなく、同一方向に素材が繊維が並んでいる。ジャンボジェットの主翼にも用いられる素材で、軽量ながら耐久性が高いのが特徴だ。また、ソニー十八番のヘキサシェル構造を筐体に採用。ボディの端を六角形に処理することで強度が高められている。モバイルPCに必要な軽さと耐久性を両立しているのだ。

UDカーボンを採用した天板。クロスカーボンの場合、細かな交差模様がみられるが、同機にはそうした紋様はない

ソニーの十八番ともいえるヘキサシェル構造。六角形を貴重にした設計で剛性を高めている

底面はスリットや継ぎ目がない設計で、バッテリはボディ内部に格納されている。「VAIO」ロゴの下にある部分が拡張バッテリとの接続部だ

一方、モバイル機の命綱ともいえるバッテリ駆動時間も優秀な数値で、JEITA測定法で約11時間となっている。一般的にモバイルPCは、小型になればなるほど大きなバッテリが積めず、バッテリ駆動時間が短くなる傾向にある。ところが同機は、11.6型ワイド液晶と小型サイズでありながら約11時間を達成。モバイルPCとして日中に持ち歩くのに不安のない数値といえるだろう。なお、オプションの拡張バッテリを併用すれば、約23時間の駆動時間となる。


打鍵感を極力損ねていないキーボード

さて、ソニーのモバイルノートといえば、約2年前に登場し、スリムボディながら高性能を搭載したVAIO Zのインパクトが大きい。ところが、同機に寄せられる不満として多かったのがキーボードについてだ。スリムボディを実現するため約1.1mmのキーストロークとなってしまったからだ。だが、VAIO Proシリーズではキーボードについても配慮され、11.6型液晶モデルではピッチ17mm、ストローク1.4mmを確保。ボディがコンパクトなため、ピッチこそフルキーボードの19mmから2mm小さくなってしまっているが、ストロークは1.4mmあり、キーを入力した感覚がしっかりと得られる。外出先で文書ファイルを作成するユーザーには心地よいだろう。

液晶ディスプレイも意欲的な仕様だ。前述したとおり、同機のディスプレイは11.6型ワイドだが、解像度は1,920×1,080ドットのフルHDとなっている。この液晶サイズでフルHDだとドットピッチがかなり狭くなり、文字やアイコンが小さく表示される。だが、情報表示量が多いことは、ウェブ画面で資料を確認しながら文書を作成するといったシーンで有利になる。ビジネスでの利用を考えればフルHDはありがたい。また、このディスプレイは視野角が広いIPS液晶。さらに多彩なコンテンツを色鮮やかに表示する「トリルミナスディスプレイ」となっている。ビジネスだけでなく、エンターテインメントなコンテンツの表示にも向いている。

ピッチ17mm、ストローク1.4mmを確保したキーボード。バックライトも搭載されている

11.6型ワイドフルHD液晶を搭載。タッチ非対応のディスプレイもチョイスできる