仕事が忙しくて家族と過ごす時間がめっきり減ってしまった。我が家は私と妻と、息子(中3)と娘(小5)の4人家族だ。以前は休日になると「パパ、遊びに行こう」と朝から叩き起こされて、よく一緒にお出かけしたものだが、最近は子供たちも部活だ友達だと忙しいらしい。このままではまずい。家族どうしの交流の場をもっと作らなければ…!

そこで、最終電車で帰宅したときの夜空が妙にきれいだったことを思い出し、一緒に星を観察してみようと思い立った。とはいえ何十万もする望遠鏡を準備するお金も部屋もなく迷っていたところ、コンパクトで手軽に組み立てられるニュートン式反射望遠鏡「スカイエクスプローラー SE-AT100N」を知った。メーカーの希望小売価格は5万円(税抜)。ポケットマネーからサッと出せる金額ではなかったが、子供たちとの交流を増やすためだ。さっそく入手してみた。

望遠鏡ってどんな仕組みなの? 子どもたちもワクワク

さっそく梱包を開くと、娘が「望遠鏡ってどんなふうになっているの?」と、ゲームをしていた手をやめて寄ってきた。しめしめ計画通り。そこで、鏡筒を見せながら反射望遠鏡の仕組みを解説。インターネットで事前に予習しておいた屈折望遠鏡と反射望遠鏡の違いなども、子供用の天体観測図鑑を見ながら説明した。

星座や月については、塾で習ったそうで、夏の大三角形はもちろん、恒星が1時間に何度動くかまで知っていた。でも、実際の望遠鏡の組み立てとなると、子供たちはもちろん私も初めて。これで本当に天体が見えるようになるのか、興味津々で箱を開ける。

初めて望遠鏡を組み立てる

組み立て自体は、大人であればまったく難しくないので、なるべく娘に組み立てさせようと様子を見ていると、さすがに細かいパーツやネジを巻いて固定する箇所が多いせいか、中学3年の息子が助っ人に加わった。あーでもない、こーでもないと組み立てる2人を見ていると、こちらまで楽しくなる。娘はすぐにレンズを覗きたがり、鏡筒を眺めては喜んでいる。

兄妹、珍しく共同作業

電源は、ACアダプターも別売りであるのだが、屋外で使用したいため乾電池を準備した。電池は単3形乾電池が8本必要。プラスとマイナスを考えながらセットするのも、子どもには勉強になるので、この作業は娘に一任。ほぼ、すべてがネジ止めなのが少し面倒だが、確実にセッティングするためには必要なのだろう。それもまた理科の実験のようでおもしろい。ちなみに電池を入れると、矢印ボタンを押しながらポジションを微調整できる。電池がなくても望遠鏡は覗けるが、観察している間に星も月も動くので電動操作は必須だ。

方位磁石を使って北を測りセット。位置合わせも簡単

ベランダが天文台になる瞬間

慣れてくるとだんだん操作もスムーズに イスなどの高いところに乗せると長時間の観察もラク

組み立てが終わり、いよいよベランダにセッティング。最初は、ベランダに直接おき、設定を整えたが、しゃがむのが面倒くさいのと、見えにくいとのことで、イスと机を準備した。さっそく、ベガやアルタイルを探しはじめたが、今夜は月が明るくて、星が見えづらい。そこでとりあえず月に照準を合わせることにした。

今夜は満月ではないのだが、明るく夜空を照らしている月に、娘はなかなか焦点を合わせられない。「貸して!」と息子が占領するも、これまた手間取っている。ではここでお父さんが威厳を見せてやるか…とレンズを覗いてみると、確かに難しい。そこで、まずはアイピース(接眼レンズ)を、倍率の低いものと交換し、少しずつ位置をボタン操作でずらしていった。なんとか月を発見。「お父さん、スゴーイ」の声がちょっとうれしい。むふふ。

次にせっかくなのでデジカメで撮影しようと、別売の「撮影アダプター」をセッティングした。この準備は、カメラ本体の調整があるので私が設定。準備をし終えたところで、子どもたちもいったん部屋に入り、アイスクリームを食べた。しばらくして戻ってきたらアイピースの中に、月がいない……。「スカイエクスプローラー」のモードを自動にしていなかったので、追尾していなかったのである。ファインダーも使ってみるが、ファインダーとアイピースで、中心に見える物が微妙にずれている。こちらは光軸調整を日の明るいうちにしておくべきだった。

なんとか月に焦点を合わせ無事撮影もできた。操作に慣れてきた息子は、星座盤を片手に夢中でアイピースを覗いている。気がつくとベランダに出てから、3時間も経っていたようだ。妻も息子に「星が見えた!」と呼ばれては、ベランダに来て珍しそうにアイピースを覗いている。どうやら娘は夏休みの自由研究にするらしい。

月。子どもが撮影。設定すれば鮮明な写真も撮れる

自由研究にするのであれば、もう少し天体観測のしやすい場所へ連れていってやらなければいけないだろう。「スカイエクスプローラー」は軽量なので、クルマにも積みやすいし、かさばらない。また、簡単に組み立てられるのも良い点だ。できれば子ども部屋の出窓にセッティングし、気軽に子どもたちが覗けるような環境にしたいと考えている。星のきれいな夜の楽しみが一つ増えて、家族団らんも叶えることができた。小さなことではあるが、幸せな気持ちである。

後日談:「スカイエクスプローラー」のメーカーであるケンコー・トキナーさんから、月の写真(下)をいただいた。同じ機材で撮影した写真とは思えない鮮明さだ。

ついつい日々に忙殺されて、夜空を見上げる機会を失いがちな今だからこそ、こんなきれいな星が空にあるんだということを忘れないようにしたいものだ。

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