type A」は、デジタル一眼レフカメラの高画質写真の加工やハイビジョン映像の編集に必要な機能を結集したAVノートのフラッグシップモデル。今回は高画質写真の加工に最適なフォトエディションに“α700”で撮影した写真をRAWデータで取り込み、画像の調整をしてみた。

写真編集を究めるVAIO「type A」フォトエディション「VGN-AW90S」

今回使用した“α700”とVAIO「type A」フォトエディション。カメラ好きのための必然的な出会いと言っても過言ではない組み合わせだ

最初に実機のスペックを確認しよう。今回使用したのは、VAIOオーナーメードモデルの「VGN-AW90S」。プロセッサーはインテル Core 2 Duo T9400(動作周波数2.53GHz)、メモリは4GB(2GB×2)、HDDは5400回転の約500GB(約250GB×2、RAID 0)を搭載。チップセットにモバイルインテルPM45 Express、グラフィックアクセラレーターにNVIDIA GeForce 9600M GT GPUを採用している。天板にはフォトエディションだけの艶やかな「プレミアムブラック」が施されている。PCのプライベート暗室と呼ぶにふさわしい美しい黒だ。インターフェース類については以下の写真を参照して欲しい。

左側面は、左から電源入力端子、排気口、USBコネクター、外部ディスプレイ出力端子、HDMI出力端子、ExpressCardスロット、CFカードスロット、i.LINK端子が並ぶ。右側面は、左からヘッドホン出力、マイク入力、USB 2.0コネクター×2、ドライブ、電源ボタン、LANコネクター、電話回線ジャックがある

前面には、ワイヤレスON/OFF切換スイッチ、“メモリースティック”スロット、SDメモリーカードスロットがある。前面のインターフェースはすべて左側にそろえられている

パネルは“α”のボディと同じシボを使用し、パームレストには“α”のグリップと同じ素材を装備。フォトエディションとしての強いこだわりが感じられる部分だ。また、VAIOのノートでは初となるテンキーも配置。写真編集以外でも何かと便利に使える

キーボード上部のS1、S2ボタンやAVコントロール用のボタンは、触れると光るタッチセンサー式。アンチグレア処理が施され指紋が付きにくく、さりげないデザインが作業への集中力を高める

本格的な写真の編集加工をするとなれば、画像をRAWデータで取り込むことが絶対条件。大容量のRAWデータを取り込むためCFカードスロットが標準装備されている

写真を究める機能が満載のフォトエディションだが、特筆すべきはなんと言ってもディスプレイにある。ディスプレイは18.4型ワイドTFTカラー液晶(1920×1080ドット)。この大きさはVAIOのノート史上最大のもの。16:9というアスペクト比を採用することで、従来の17インチと同じ縦サイズのまま、横幅が113%増加しているため、広々とした作業スペースが確保できている。

さらに、RGB3チップLEDをバックライトに搭載することで、Adobe RGBカバー率100%を達成。液晶画面は外光や照明の映り込みを拡散させるアンチグレア表面処理を施し、表示解像度はFull HDをサポート……と、スペックを並べると何やら難しそうな言葉が並ぶが、要するに、精細な画像をクリアに表示し、本来の色を正確に表現できるということなのだ。

どんな高性能のカメラで撮影した写真でも、画像本来の美しさを表現できないディスプレイを使って調整していては、写真のクオリティを上げることはできない。そんな歯がゆさを一蹴してくれるのがこのディスプレイなのだ。また今回は使用しなかったが、照明の映り込みなどを防ぐディスプレイフードが別売りで用意されている。暗室気分が盛り上がりそうなオプションで、ぜひ使ってみたいものだ。

表示の素晴らしさは、電源を入れてWindows Vistaのデスクトップ画面を見ただけで実感できる。細かい部分がはっきりと見え、絵の具を惜しまず贅沢に 使って描いたように美しい。そして高性能グラフィックアクセラレーター「NVIDIA GeForce 9600M GT GPU」がストレスを感じない高速描画を裏から支えている

デジタルステップアップ派もフィルム移行派も納得の1台

今回使用したデジタル一眼レフカメラは、“α700”のボディにカールツァイスレンズのズームレンズVario-Sonnar T * DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA「SAL1680Zicon」の組み合わせ。“α700”は、有効1220万画素の高い解像力と階調表現を誇るCMOSセンサー「Exmor:エクスモア」を搭載。CMOSセンサーからの映像信号を処理する画像処理エンジン「Bionz:ビオンズ」の高性能化で、美しく深みのある画像の生成と5コマ/秒の高速連写が可能という上級者モデルだ。サイズは、突起部を除いてW約141.7×H約104.8×D約79.7mm、質量は約690g(電池、記録メディアなどを除く)。このクラスのモデルとしては軽くてコンパクトだと言っていいだろう。

レンズに「ZEISS」のロゴ。Vario-Sonnar T * DT 16-80mm F3.5-4.5 ZA「SAL1680Z」は、35mm版換算で広角24mmから望遠120mm相当までの画角をカバーするズームレンズだ。風景からポートレートまで日常使用で必要な画角をこれ1本で得られる。また、デジタルに特化した設計のためコンパクトに仕上がっているところにも好感が持てる。カールツァイスレンズと聞けば、カメラ好きならとりあえずリスペクトしないわけにはいかない。実際に撮影してみると、コントラストが美しく品格を感じる写真が撮れ、さすがの味わいを感じることができた

本体裏側の右端には、手ブレ補正スイッチがある。このスイッチをオン/オフすることで、手ブレ補正機能の切り替えができる。手ブレ補正機能自体は珍しいものではなくなったが、“α”の場合、手ブレ補正機能をボディに内蔵しているので、どんなレンズを付けているときでも使える。使うレンズによっては手ブレ補正機能を諦めるしかないと思い悩むこともない。αレンズの資産を活かせるエコ設計と言ってもいい。個人的にはこれが特に気に入った。

本体裏側の右端にある手ブレ補正スイッチ。“α”の手ブレ補正機能は、ボディに内蔵されているので、どんなレンズを付けているときでも使える

ファンクションボタンとマルチセレクター(写真右:中央に突起のあるボタン)を使うと、撮影時に必要な主な設定の確認と変更が液晶モニターを見ながら簡単にできる。表示されるアイコンもシンプルでわかりやすい。画像サイズをRAWにするときも、すぐに変えられて便利だ。RAW形式の画像サイズ設定として、RAWだけでなく、サイズを圧縮したcRAWや、RAWとJPEGを同時に記録する設定も選べる

α700”なら、デジタル一眼のエントリーモデルでは飽き足らなくなった人はもちろん、フィルムカメラのベテラン愛好家も満足する機能が十分に備わっているように思える。