【特別企画】

誰もがAI/ディープラーニングを活用できる時代に。NVIDIAが提案する日本企業の成長戦略

[2020/03/11 11:35] ブックマーク ブックマーク

企業の競争力向上にAI/ディープラーニングを役立てるためには

前述したように、いまやAI/ディープラーニングを活用する環境が整い、マネタイズを実現した企業も続々と登場している。それではAI/ディープラーニングを企業の競争力向上に役立てるには、ほかに何が求められるのだろうか? 一般社団法人日本ディープラーニング協会の理事も兼ねる井﨑氏は、いくつか留意したい点があるという。まず、AI/ディープラーニングが企業にもたらすメリットとして、大きく2つを挙げた。

「1つは、既存のシステムの改善による効率化・最適化です。目視検査や人員配置など、人が行ってきた役割をAIに置き換えていくことで、コストを下げることができます。もう1つのメリットは、新しい価値を創造することです。既存の製品やサービスに何らかのバリューを加えるのです」(井﨑氏)

ただし1つ目のように効率化や最適化だけを追い求めると、マーケットの規模が最適化(縮小)してしまう恐れがあると井﨑氏は指摘する。これを避けるためにも、自社製品やサービスのマーケットを同時に増やしていく試みが大切になる。こうしたバリューアドの視点で見ると、日本企業は欧米企業に数年遅れをとっているという。

「NVIDIAは2015年から、新しい市場を作り出すためにパートナーシップの強化に取り組んできました。現在はワールドワイドでAIのスタートアップ企業3,500社と連携しています。日本でも約150社と提携し、ビジネスマッチングの取り組みを強化しています」(井﨑氏)

すでにAI/ディープラーニングを前提とした枠組みが生まれつつあるなかで、従来とは異なる価値が創造され、ビジネスモデル自体が変わっていく。AI/ディープラーニングを単なる効率化・最適化のツールと見なしているのでは、新たな枠組みに取り残されることだろう。

アメリカで発生するDX疲れと日本におけるDXの現状

アメリカでは今、デジタルトランスフォーメーション(DX)疲れに陥る組織が増えている。変革が続くことで従業員が変化に対応できず、DXの意義を見失ってしまうというのだ。日本でのDXは始まったばかりだが、日本企業では事情がやや異なる。トップダウンでDXを進めようとするものの方針のピントがずれていて、現場が本来DXで解消したい課題とかみ合わないという。その要因としては、トップと現場リーダーのITスキルやAI知識に大きな差がみられることが挙げられる。これによって本来あるべきDXのスピード感がスタートの時点から失われているのだ。

AIの導入においても同じことがいえないだろうか。リーダーがいくらAIの旗振り役になっても、古株の従業員が新たな業務スタイルを拒むケースは珍しくない。「AIが導入されたら自分の仕事がなくなる」という不理解がAIの推進を拒み、軋轢を生み、「結局何ら変わらないではないか」という雰囲気が蔓延する要因となる。

こうしたDX疲れ、AI疲れに陥る前に、社内でのコンセンサスがしっかり取れていることが取り組みスタート時において大切ということが、AI業界横断的に知られている。単に「AIを導入」「DXを推進」というお題目をトップダウンで唱えるのではなく、短期・中期・長期において成長を阻害する要因を現場も上層部も知っておくことが、実は最初に取り組むべきことだったりするのだ。

「企業でAI/ディープラーニングを活用するのであれば、何を目的として、どうビジネスモデルを作るのかを決めて取り組むことが重要です。典型的な失敗は『とにかくAI』『うちもAI』といったように、ただ流行りに乗ってしまうことです」(井﨑氏)

大切なのは、目的を見失わないこと、適切なデータをそろえること。小さく始めて成功体験を積み重ねながら、試行錯誤していくことが成功のポイントだと、井﨑氏は語った。

課題を乗り越えAIを推進するのに人材の育成は急務

日本は今、非常に大きなターニングポイントに差し掛かっている。ディープラーニングの世界市場は、2019年から2025年にかけて約8倍の伸びが予測されている。この機会をチャンスと捉え、新たなビジネスを創出していけるのか……。

そこで求められるのはスピード感だ。AIをフル活用して世界のトップを走る中国企業のアリババやバイドゥ、テンセントでは、午前中に新たなディープラーニングの技術を紹介したら、午後にはもう注文書が届くという。世界はそれくらいのスピード感で動いている。

よく「持ち帰って検討します」といって半年、1年の時間をかけてしまうことはないだろうか? こうしたスピード感のなさや投資に及び腰な姿勢は、脆弱な現状から脱却できない要因になっている。このような環境では、優秀な人材も集まらないだろう。優秀な AIエンジニアは、単に給与待遇だけでなく、開発基盤や自由に使えるGPUリソースも加味しつつ、自らのキャリアの選択をしていることを理解しておく必要がある。

「そもそも日本ではAI人材が不足しています。AI/ディープラーニングに関する大学の講座の数も、まだまだ十分とはいえません。AI人材が少ないので開発も遅れ、利用も促進されません。人材を育成することは急務です」(井﨑氏)

優秀な人材確保と優れたビジネスモデルの開発には、継続的なユースケースの研究や、全社を上げての人材教育が欠かせない。NVIDIAもAIソリューションを提供するスタートアップ企業のネットワーク作りに尽力しており、こうした課題を分野別に支援する体制を構築している。また、人材教育のために日本ディープラーニング協会主催の「G検定」や、エンジニア向けの「E資格」の合格者数増に取り組んでいる企業も増えてきた。ここからは、いかにスピード感をもって取り組みを続けられるかが重要になってくるだろう。

誰もがAI/ディープラーニングを活用できる時代を迎えた現在、企業の成長戦略もまたAI/ディープラーニングを抜きに語れなくなった。スタンフォード大学のFei-Fei Li教授は、以下のように提言する。

「AIはその活動の根本的に異なる章に入った。私たちはAIが研究室から現実の世界に移行するのを目撃する最初の世代だ」(Fei-Fei Li教授)

AIが異なる章に入った今、企業にとっても現状を変える大きなチャンスとなる。まずはAI/ディープラーニングの入り口に立ち、その歩みを進めていくことが、日本企業の目指すべきところではないだろうか。

次回は日本の自動車部品メーカー、武蔵精密工業が果敢にAIやロボットを製造現場に実装している事例を紹介したい。同社はモノづくりの流れのなかで、人の技術や判断が価値を生まない工程にAIを注力しているのが特徴。検査工程では部品の自動検品システム、搬送工程では自動搬送車など、AIを活用した試みによって人の作業負荷を軽減してきた。AI/ディープラーニングを活用したい企業にとって、貴重な事例となるはずだ 。

[PR]提供:NVIDIA

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