DMM.comが実践する、データに基づく「Scientific」な組織づくり

[2020/10/29 09:00]周藤瞳美 ブックマーク ブックマーク

2018年に松本勇気氏がCTOへ就任した後、技術志向のテックカンパニーとなるべく「DMM Tech Vision」を掲げて変革を進めるDMM.com。Tech Visionの実現に向けては、「Agility(敏捷的)」「Attractive(魅力的)」「Scientific(科学的)」「Motivative(意欲的)」という4つのバリューが実践されているが、特に重要な位置付けにあるのが、データを共通言語としてエンジニア/ビジネスサイド関係なく意見を評価し実施するというScientificな考え方だ。

こうした思想に基づき、日々試行錯誤しながら知見を積み重ね、さまざまな方法論を組み合わせた事業・開発推進手法を確立しているのが、同社 総合トップ開発部 部長 石垣雅人氏である。

今回は、石垣氏のチームが採用するノウハウをまとめた書籍『DMM.comを支える データ駆動戦略』(発行:マイナビ出版)のエッセンスについて、チームの具体的な取り組みなども交えながら紹介していただいた。

石垣雅人氏

DMM.com 総合トップ開発部 部長 石垣雅人氏

直感に基づいた組織から、データに基づいたScientificな組織へ

同書は、アジャイル開発の手法にデータ駆動という考え方を取り入れることで、プロダクト開発の不確実性を下げ、事業を成長させていく方法についてまとめられたものだ。個々のノウハウはDMM.comでの事例などを交えて具体的に記されており、現場のエンジニアはもちろん、エンジニアリングを理解したい事業責任者など、ビジネスサイドの担当者が読んでも学びの多い1冊となっている。同書で解説しているデータ駆動戦略の手法について、石垣氏は次のように説明する。

「私たち独自のやり方を一から考えたというよりは、エクストリームプログラミング(XP)やスクラムなどアジャイル開発の方法論をはじめ、書籍やインターネット、コミュニティなどで得た先人の知恵をベースに、自社の状況に合わせてカスタマイズしていくかたちでつくり上げていきました」(石垣氏)

石垣氏

石垣氏は、2015年に新卒でエンジニアとしてDMM.comへ入社。2年目からマネジメント業務も担当し、その後28歳という若さでDMM.comの総合トップやアプリプラットフォームなどを管轄する部長に抜擢され、現在は既存事業のグロースから、新規事業の立ち上げ、エンジニアのマネジメント、採用、プロジェクトマネジメントなど、幅広い業務領域に対して責務を果たしている。

DMM.comはかつて、良くも悪くも「営業が強い会社」であり、直感に基づいた意思決定が多かったという。石垣氏がデータ駆動戦略について考え始めた背景には、より客観的な方法で事業の再現性を生んでいかなければならないという危機感があった。そのために必要だったのが、「データ」というわけだ。

石垣氏のチームでは、データに基づいたScientificな組織文化づくりに向けて、アジャイル開発のさまざまなプラクティスを取り入れ、プロダクト改善を推進してきた。こうした取り組みが成果を出しつつあったときに編集者から声が掛かり、書籍化に向けてその具体的な手法をまとめ始めたのだという。そして、2018年10月の松本氏CTO就任後に、Tech Visionをはじめ松本氏のデータ駆動戦略に対する考えも取り入れながら、より深く体系的な書籍へと仕上げていった。

「松本は、Tech VisionのバリューのうちAgilityとScientificは特に密接につながっているという話をしますが、私自身もそれは非常に腑に落ちています。『失敗しながら挑戦できる』というAgilityの考え方を組織文化として根付かせるには、その技術的基盤もセットで考えなければいけません。例えば、合計3000万人の会員にいきなり同じ施策を実施して実際に大きな損失が出てしまうと事業的にも心理的にも挑戦できるハードルは上がってしまいます。1つ1つの意思決定にも時間をかける必要が出てきます。そこで、データ駆動戦略では、まずはランダムに選んだ1000人に施策を実施して失敗すればいいという考え方になります。不確実性が高いプロダクト開発の現場では、ある程度の失敗を許容しながら「コントロール」することを意識していきます。そのなかで、イテレーティブ(反復)な改善を繰り返し行うことで、事業モデルの解像度を高めていくことが必要です」(石垣氏)

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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