ソーシャルメディアの普及により企業と個人の接点が増えた昨今、企業は顧客の満足度向上に向けて、カスタマーエクスペリエンス(CX)を適切にデザインしていくことが求められている。
こうしたなかKLMオランダ航空(以下、KLM)は、2019年12月よりLINE公式アカウントにおける日本語での24時間365日有人対応チャットサービスを開始した。同サービスでは、各種お問い合わせ、航空券の購入や予約変更、有料オプションの追加、チェックインといったことができる。このような取り組みは業界として初だという。なんといっても日本の利用者にとってもっとも便利なのは、インターネットが繋がれば外国からでも時差を気にせず、日本語で気軽に問い合わせをできることだろう。
この他にも先進的なデジタルサービスを次々にグローバルで展開しているKLM。同社の日本・韓国・ニューカレドニア支社長ギヨーム・グラス氏は、「日本の航空業界はまだまだデジタルとのインタラクションが弱い」と指摘する。
デジタルトランスフォーメーション(DX)時代のCXを、日本企業はどう考えていくべきだろうか? KLMにLINE配信プラットフォームを提供する電通アイソバーの代表取締役社長 得丸英俊氏とともに、グラス氏に語っていただいた。
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KLMオランダ航空 日本・韓国・ニューカレドニア支社長ギヨーム・グラス氏(左)と、電通アイソバーの代表取締役社長の得丸 英俊氏(右)。KLMオランダ航空オフィスにて |
グローバルレベルのサービスを、LINEの活用により日本へローカライズ
——グラスさんからみて、日本でのDXの印象はどうですか?
グラス氏:一概に比較することはできませんが、航空会社だけをみてもヨーロッパとはまったく違うと感じています。例えば、オンラインセールスのシェアを見ると、日本はほかのリージョンに比べて非常に少ないんですよね。
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得丸氏:ただ日本のお客様も、ここ10年ほどはデジタルへの向き合い方が年を追うごとに変わってきていると感じています。当初、デジタルはマーケティングの一部でしかありませんでした。しかし、最近ではデジタルが事業戦略の中心に置かれるようになってきているという印象です。
——今回はどういう経緯でKLMと電通アイソバーの提携に至ったのでしょうか?
得丸氏:今回は、KLMさんがグローバルで展開しているレベルのサービスを、LINEを活用することで日本のマーケットに合わせた形で提供したい、ということで弊社にお声がけいただきました。
グラス氏:日本のソーシャルメディアマーケットは少し特殊です。欧州や米国では、メッセンジャーアプリとしてはWhatsAppやFacebookが主流ですが、アジアではそれぞれの国で主流なメッセンジャーアプリが異なります。そこで、電通アイソバーさんと一緒に取り組む必要があったというわけです。
得丸氏:日本ではLINEがソーシャルメディアとしてはメジャーですし、ユーザーもアクティブです。そうしたツールをどう活用するかということは、グローバル企業におけるローカライズの戦略として重要ですよね。
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ソーシャルメディアに対する価値観の変化は、「災害」がきっかけだった
——ソーシャルメディアやスマートフォンが普及したこの10〜15年で、航空業界においては企業と個人の関係は変わってきましたか?
グラス氏:すごく変わりましたね。私たちがソーシャルメディアをはじめた当初は、お客様へのお知らせやエンゲージメントといった部分に注目していました。お客様とのインタラクションのファーストステップという位置づけですね。当時は我々のブランドを知っていただく為のマーケティング、広告、プロモーションといった目的で取り組んでいました。そしてソーシャルメディアを売上につなげることを自然と意識しはじめました。
しかし10年前から、すでに売上だけを意識することはベストではないと気づきはじめていました。そのきっかけとなったのが、アイスランド共和国のエイヤフィヤトラヨークトル火山の噴火です。
当時は、噴火による火山灰の影響で、航空便欠航や空港閉鎖で空のダイヤが大きく乱れ、空港がものすごくカオスな状況になったんです。電話だけではとてもじゃありませんが、そうした状況には対応しきれませんでした。
そのときに、ソーシャルメディアは顧客とのコミュニケーションサービスに使えるという知見を得たのです。
ソーシャルメディアでのサービスは、顧客にとっても簡単で効率的ですし、私たち企業にとっても、限られた時間・状況でのコミュニケーションが求められる場面においては非常に効率的でした。
したがって、その災害を期に、ソーシャルメディアは売上につなげるためのものから、より顧客と近い関係性を作るためのコミュニケーションサービスに活用するものであるという視点に移っていきました。
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得丸氏:日本でLINEが誕生した1つのきっかけは、東日本大震災ですよね。電話が不通になるなかで、TwitterやFacebookなどのSNSは利用できていました。
ソーシャルメディアが緊急時のコミュニケーションのツールとして有効であるということに災害を通して皆が気づいたというのは、アイスランドの火山噴火との共通点だと思います。
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