「こんにちは、今日は初めてのご来店ですか?」「お名前を教えていただけますか?」
――店に入るなり、そんな風に話しかけられたらどんな気分になるだろうか。気にならない人もいれば、鬱陶しいなと感じる人もいるだろう。
一方で同じことをロボットから話しかけられるとどうだろう。相手が人間のスタッフだと鬱陶しさを感じていた人も、ロボットであれば思わず足を止めて相手をしてしまうのではないだろうか。
こうしたロボットの特性を生かしたマーケティングが注目を集めている。代表格は何と言ってもPepper。ソフトバンクでは、そのPepperをマーケティングに活用するためのサービス「Pepper Marketing」も準備中だ。
11月21日、22日の2日間にわたり開催されたSoftBank Robot World 2017。その中で行われたセッション「圧倒的なリード獲得! Pepper Marketingがサービス開始」で、ロボットマーケティングの効果と実際の導入事例が語られた。
ティンバーランド、サーティーワン、ラウンドワン……導入事例が続々
まず登壇したのは、ソフトバンクロボティクス コンテンツマーケティング本部の村田 三輪氏。
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ソフトバンクロボティクス コンテンツマーケティング本部の村田 三輪氏 |
試験的にサービスを開始したPepper Marketingについて村田氏は、「Pepperの店頭接客とメッセージ配信でお客様とのリレーションを強化し、リピーターを獲得するサービス」と説明する。
すでに導入実績も上がっている。
ティンバーランドなどを展開するアパレル企業・VFジャパンではPepperを店頭接客に導入した結果、新規会員獲得数が2週間で281件を達成。これは通常の2倍の数字だという。
また、アイスクリーム事業を展開するB-RサーティワンアイスクリームでもPepperが店頭接客を行い、その店舗のLINE友だち獲得数が全店平均比で1600%という爆発的な伸びを見せた。
さらに複合エンターテインメント施設・ラウンドワンでは、店頭でPepperがアプリダウンロードを誘導。結果、ダウンロード数が22.7%増加したという。
この他にも、すでにマックスバリュ九州や四国銀行、ヤナセなど多種多様な業界でPepper Marketingがスタートしているとのことだ。
Pepperの店頭接客が大きな効果を上げている理由
Pepperの店頭接客はなぜ大きな効果を上げられるのか。理由の一つとして村田氏は「心理的なハードルが下がる」ことを挙げる。
「人間のスタッフが店頭で電話番号を聞いてもなかなか教えてくれませんが、Pepperが無邪気に聞くと素直に教えてしまうのです」
Pepper Marketingは、来店した顧客にPepperが話しかけてメールアドレスなどの情報を入力してもらい、後日メルマガなどを配信して再来店を促すという流れになっている。
また、電話番号を取得できれば、即座にSMSを配信して顧客とのつながりをその場で作ることができる。SMSメッセージは企業が自由に作成できるため、URLを入れるなどして自社サイトに誘導することもできるのだ。
OCR機能により免許証の読み取りもでできるため、Pepperに免許証を見せるだけで会員登録できる手軽さも売りだ。
こうして取得した顧客情報は性別年代誕生日といった属性情報で絞り込めるため、狙いに沿ったメッセージ配信や登録日などを起点にした自動配信も可能となる。
PepperにQRコードを見せるとクーポンを配信するような仕組みもある。誰がどのクーポンを持っていて、何を使ったのかまでわかるため、クーポンの効果も一目瞭然になるという。
Pepper Marketingの正式な提供時期については、今後案内するという。