東京スカイツリーと東武鉄道の新型特急車両リバティ

NTTドコモと東武鉄道は5月22日、次世代通信規格「5G」を活用したサービスが体験できる「5Gトライアルサイト」を、東京スカイツリータウンでスタートした。5Gを用いた新たなサービスの創出をパートナーと目指す「5Gトライアルサイト」の一環で、22日~28日まで実証実験する(関連記事 : 500MBのファイルを一瞬でDL、0.001秒で遠隔同期 - KDDIが5Gの実利用デモを公開)。

5Gの28GHz帯では実測14Gbpsを計測

5Gトライアルサイトは、5Gの高速・大容量、低遅延、多接続といった特徴を生かした新サービスの創出を目的に据える。

東武鉄道との協業では、東京スカイツリーの「天望デッキ」に4Kカメラを6台、8Kカメラを1台設置し、5Gの試験電波で映像を送信する。天望デッキに8Kディスプレイを設置して8K映像をライブ配信するほか、東京ソラマチイーストヤードの1階では3台の4Kディスプレイを並べ、そこに4Kカメラからの映像をライブ配信する。

8Kカメラを使った映像をリアルタイムに8Kディスプレイに配信

今回の実証実験では、カメラからディスプレイの直前までは有線で、その先から5Gで映像を配信する仕組み。伝送距離こそ短いものの、5Gの試験電波で映像を送信した8Kライブ動画は世界で初めてだという。

8K映像を配信する5Gのアンテナ

通信速度は14Gbpsに達している

天望デッキにおける5Gの周波数帯は28GHz帯で実測値は14Gbpsに達しており、8K映像も滑らかに再生されていた。一方で4K映像×3を表示するソラマチイーストヤードでは4.5GHz帯を利用し、こちらのビットレートは実測で2.5Gbps程度だった。

こちらはソラマチ1階。こちらは4.5GHz帯を使う

3つ4Kカメラの映像を3つのディスプレイに配信

天望デッキには6台のカメラを設置して360度をカバーしているが、逆光になるため隅田川側の3台のカメラ・180度の範囲をライブ配信する。ソニーの4K対応ネットワークカメラ「SNC-VB770」を用いており、高感度にも強いため、美しい夜景表示も期待できるという。

これに加えて報道関係者向けには、東武鉄道の新型特急車両「リバティ」車内で、あらかじめ録画しておいた4K映像を8台のタブレットに配信するデモも公開された。リバティ車外に設置されたアンテナに向けて5Gでコンテンツを配信し、それを有線でリバティ車内の無線LANアクセスポイントに送信。そこから8台の端末に再送して、大容量の映像も多数端末に快適に配信できる様子が紹介された。

リバティ車内でのデモの様子。8台のタブレットに対して4K映像を同時に配信していた

リバティのデモ用の端末。5Gの通信は奥の基地局車から送信。アンテナが1つのため、通信速度は6.3Gbps程度だった

なお、リバティの乗客向けには車内無線LAN「TOBU FREE Wi-Fi」を利用して「dマガジン for Biz」のサービスが提供され、乗車中は無料で700冊以上の雑誌コンテンツを読める。また、観光情報などを提供する「ささっとパンフ」サービスの提供も行われるが、こちらは7月1日から8月31日までの実証実験となる。