「乃木坂46」と「VR」を結び付けた旅行サイトの狙い

[2017/04/20 09:52]徳原大 ブックマーク ブックマーク

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ソリューション

VRの活用シーンは、基本的にコンシューマよりもエンタープライズ(ビジネス)用途の方が向いていると言われている。それは「VR機器」というインフラが現状整っていないためだ。例えばKDDIはJR西日本に災害対策VRソリューションを販売したほか、エイチームは結婚式場紹介サービスでVRによる式場紹介を行っている。KDDIはB2Bというパッケージ販売で、エイチームは自社開発+デバイスの社内配備という形になるため、ハードウェアコストが負担にならない。

一方でコンシューマ用途は、PS4向けのPlayStation VRやOculus Riftがあるものの、いずれも本体を別途必要するためにVR環境の構築に高額な投資が必要になる。そこで有望視されるのが「ハコスコ」を始めとする簡易VRソリューションだ。

Googleが2014年に発表した「Google Cardboard」に端を発するダンボールのVRヘッドマウントディスプレイは、安いもので数百円から販売している。もちろん、高額であればレンズ性能が良くなって酔いにくく、解像度も高くなる。ただ、「誰もがVRを体験できる」という世界、VRの価値を定着させるためには、こうした簡易VRデバイスが必要となるだろう。

実際、簡易HMDの販売で先行しているハコスコは、前述のKDDIが運営するファンドから出資を受けており、KDDIとしてもモバイルVRがメインストリームとなる未来に先行投資したい意向が透けて見える。

VR、成功の秘訣は「コンテンツのテーマ設定」

VRの可能性を信じてハコスコ同様の簡易VRスコープを活用する企業の一つがリクルートライフスタイルだ。同社の旅行専門誌/サイトの「じゃらん」では、雑誌の付録としてダンボール製VRスコープを提供した。ダンボールを組み立ててHMDにするため、一般的なプラスチック筐体と異なり、雑誌の付録として配布しやすい。流通上かさばらないのもまた、一つの魅力だろう。

リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 CRMユニット CRM1グループの宮内 純枝さん(左)と、同社 企画統括室 編集統括部 コンテンツマーケティンググループの横内 梓さん(右)

リクルートライフスタイル ネットビジネス本部 CRMユニット CRM1グループの宮内 純枝さんは、VRスコープ付録について「読者と広告クライアント、双方にどのように価値を提供できるか考えていた。旅館にアンケートしたところ、投資する価値があると判断してVRへの取り組みを行った」と語る。

VRは企画として走らせるかなり前から検討しており「旅行体験との親和性の高さには自信を持っていた」そうだ。そもそも、雑誌販売収入よりも広告クライアントによる収入が大きいため、雑誌にVRスコープを付けてアシが出たとしても、トータルではペイできる。ある意味でVRスコープのHMDを売る感覚で企画したものといって良いだろう。

事前の調査から、テーマを絞ってVRコンテンツを制作した宮内さんたち。

「テーマを絞ったムックにHMDを付けました。最初は『じゃらん家族旅行』で子供が『本当に行ってみたい」と思うところに連れて行く、そのためにリビングで現地の雰囲気を体感してもらえるように企画しました。次は沖縄。沖縄は『(ホテルなどの)失敗したくないニーズ』があるため、雰囲気を感じ取れるコンテンツが重要と考えました。同じ文脈で、その後の『じゃらん 大人のちょっと贅沢な旅』『車イス・足腰が不安な方の じゃらんバリアフリー旅』も企画しています。

特に力を入れたのがバリアフリーです。車いすや足腰に不安を抱える方は、家族が下見旅行するケースが7割に上るというデータがあります。下見旅行せざるをえないと、どうしても旅行に二の足を踏んでしまう。そこで、そうした方々に役に立てることはないかと考えた時に、バリアフリーのムックでVRを提供することを考えました。

温泉にスロープがあるのか、ホテルの部屋に敷居がないかなど、限られた紙面では確認しきれませんし、Webでも写真を大量に掲載することは現実的ではありません。VRの映像であれば、宿の雰囲気はもちろん、足場を映像で見渡せる。もちろん、100%カバーできるとは考えていませんが、カバーできる可能性を秘めているのが360度動画、VRだと考えています(※バリアフリー旅掲載コンテンツは360度ビューの画像)」(宮内さん)

企画テーマを絞ってムックを制作。これ自体は以前から行っているが、VRと相性のいい企画を絞り、VRスコープを付録とした

事前にコンテンツを研究していたこともあり、「被写体の選定や撮影時間が、撮影を重ねるごとにこなれていっただけで、あまり大きな変更はなかった」(宮内さん)。また、同社 企画統括室 編集統括部 コンテンツマーケティンググループの横内 梓さんは、読者からの反応として「VRスコープが付いているから(雑誌を)買った」「家族で話し合えて旅行気分が高まった」といった、狙い通りの成果に繋がったと胸を張る。

なぜ乃木坂46を起用したのか?

現時点でVR動画の再生数はKPIにしていないと宮内さん。

「価値あるメディアだね、と旅館やホテルの方々に認めてもらうためのプロダクト作りが現状では求められていると思っています。十分話題になりましたし、一応基準と考えていた再生数も超えていますが、KPIにはしていませんから、シビアに考えていません。旅行業界にとって新しいことをやって、大きなうねりになればというのが願いです」(宮内さん)

そこで登場するのが女性アイドルグループ「乃木坂46」だ(VR企画特設ページ)。今やAKB48を超えるとも言われる乃木坂46は、男性だけでなく女性からも支持されているそうだ。

乃木坂46は若年層に、男女問わず人気のあるアイドルグループだ(左から、高山一実さん、衛藤美彩さん、秋元真夏さん、堀未央奈さん)

実際に温泉宿で撮影された自撮りショット

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