JR西日本、津波の乗務員訓練に国内初の「災害対策VRソリューション」を採用

[2017/02/17 07:30]徳原大 ブックマーク ブックマーク

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KDDIは2月16日、地震・津波などの災害対策にVRを活用したソリューションを発表した。南海トラフ地震によって大きな被害を被る可能性のある西日本旅客鉄道(JR西日本)の和歌山支社が4月より導入する。

和歌山支社では、紀伊半島の外周を結ぶ紀勢線の新宮駅~和歌山駅(総延長およそ200km)を管轄している。東日本大震災に匹敵する大規模被害が予想される南海トラフ地震の最大マグニチュード9.1の想定では、総延長のおよそ3分の1にあたる約73kmが津波被害を受ける恐れがあり、白浜駅~新宮駅間では地震発生5分以内に10mを超える津波が押し寄せる可能性がある。

JR西日本和歌山支社の紀勢線では、南海トラフによる津波被害が甚大と想定されている

「これまでは机上(のハザードマップなどを用いて)で、口頭ベースで災害発生時の避難経路を想定していたが、VRという体験デバイスで瞬時の判断感覚を養い、実情に近い想定を議論しやすいように」(JR西日本 和歌山支社 安全推進室 室長代理 堺 伸二氏)として今回の導入を決めた。なお、KDDIは実際に制作した動画コンテンツをYouTubeに公開している(下記動画を参照)。

KDDIが提供する「VRによる災害対策訓練ソリューション」は、VRコンテンツの制作(現場の撮影からCG合成まで)、再生機材、その他知見の提供などをトータルで行う。JR西日本の事例では「9K60fpsの動画撮影」「HTC Viveの利用」など、現時点における最高スペックのVR環境を用意したことから「細かい金額までは明かせないがおおよそ2000万円」(JR西日本 担当者)の導入規模になっている。なお、VRを活用した災害対策ソリューションの商用販売は、KDDIによると国内初の事例だという。 一方でKDDI担当者によると、スマートフォンで簡易的にVR環境を楽しめる「ハコスコ」、一般的な動画撮影、再生時間が短い時間のコンテンツ制作であれば「二桁万円でも提供は可能だと考えている」とのことで、企業のニーズに応じたカスタムメイドのソリューション提供になるようだ。

JR西日本 和歌山支社 安全推進室 室長代理 堺 伸二氏

KDDIビジネスIoT推進本部 ビジネスIoT企画部長 原田圭悟氏

和歌山支社では新宮列車区と紀伊田辺運転区に1台ずつ、計2台のHTC Viveを設置し、約70名の運転士を対象に来年度から年に2回以上の訓練を行う。HTC ViveはハイエンドPC(GPUにGeForce1080X×2のSLI構成)との組み合わせで9K60fpsから6K60fpsにダウングレードされた映像を再生する(HTC Viveの表示解像度は2K、2160×1200)。動画のダウングレードには議論があったそうだが、「8K30fpsでは架線の電柱に取り付けられた津波の想定浸水深標識がブレて、高解像度と言えども読み取れない。6Kでも60fpsであれば鮮明に見分けがつくし、PC性能的にも十分なものが担保できるからこちらに合わせた」(KDDI担当者)とした。

高画質撮影によって、運転士が実際に目にする光景をリアルに再現する

津波をCGで制作。迫る恐怖を体感する

津波の想定浸水深をグリッド表示するとともに、ハザードマップを表示することで、主観と俯瞰の両方の情報を解釈して災害に備える

撮影は営業時間中となる日中に撮影用の特別車両を用意して行われた。GoProを10台、運転士の頭左上部分に、運転の妨げにならないように縦に並べる形で設置し、360度動画の撮影を行った。上記の動画を確認してもらえるとわかるが、そのクオリティは目を見張るものがあり、HTC Viveのコントローラーでは将来的にマスコン代わりに電車の加速/原則をできるようにして、災害時における制動(どこに車両を止めるか)なども検証する。なお、この仕組みを使うことで一般的な運転士の訓練も行えるのではないかとJR西日本の境氏にたずねたが、「さまざまな技術の活用は検討している」と述べるにとどまった。

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