パナソニックは1月12日、Let’snote(レッツノート)シリーズの新製品を発表した。目玉はシリーズ初となる着脱型モデル「Let’snote XZ6」。ビジネスユーザーから定評のあるLet’snoteが、なぜこのタイミングで着脱型の導入に踏み切ったのだろうか。

シリーズ初の着脱型「Let’snote XZ6」

「働き方改革」を見据えたLet’snote20年の集大成モデル

2016年に生誕20周年を迎えたというLet’snoteシリーズ。その最新モデルであるXZ6を「20年の集大成モデルとして、自信を持ってお送りする」と、パナソニック AVCネットワークス社 常務 ITプロダクツ事業部 事業部長の坂元 寛明氏は紹介する。

これまでも、タブレットとしても使えるコンバーチブル型の「Let’snote MX」を提供してきたものの、「働き方改革により、PCを持ち歩く世の中に変わってきた。その中でタブレットを取り外せる着脱型を出してほしいという声に応えた」(坂元氏)。

ゲストとして登壇したインテル 代表取締役社長の江田麻季子氏は「外回りなどのフィールドワーカー3600万人のうち、外出先でPCを使うのは600万人に過ぎない。オフィスワーカーの7割は職場の中でしかPCを使えず、持ち出せない」というデータを引用。「ワークスタイルの多様化を実現するためのテクノロジーの革新が求められている」と語り、Let’snoteシリーズの先進性を評価した。

ディスプレイを取り外しタブレットとして利用できる着脱型に

インテル 代表取締役社長 江田 麻季子氏

Let’snoteシリーズの特徴はそのまま、着脱型に進化

Let’snote XZ6は着脱型以外にも注目点はある。コンセプトについて、パナソニック AVCネットワークス社 ITプロダクツ事業部 プロジェクトリーダーの西本 泰昌氏は「着脱型になったが、ノートPCとしての機能性は損なわず、かつ軽量のタブレットとしても使えるようにした」と語る。

従来型のノートPCとしての使いやすさを重視するのは、最近の2-in-1型Windows PCのトレンドでもある。キーボードは19mmピッチ、ストロークは2mmを確保しており、Let’snoteユーザーには馴染み深い丸形のトラックパッドも搭載した。

着脱型になったが、ノートPCとしてもこれまでのLet’snoteと同じように使える

人気が高いという「Let’snote SZ」をベースにしたキーボードを搭載。しっかり押し込めるストロークがある

一方、マイクロソフトの「Surface」シリーズに代表されるスタンド内蔵型タブレットとはどう違うのだろうか。

「XZ6はノートPCとして自立できる点が異なる。スタンド付きのタブレットでは不安定になる新幹線のテーブルや膝の上などでも、安定してキーボード作業ができる」(西本氏)

豊富なインタフェースもLet’snoteシリーズの強みで、タブレット側にも充電用の電源ジャックを備えたほか、USB Type-CポートはDisplayPort出力にも対応した。ペンと組み合わせ、タブレット単体で運用するスタイルも考慮した設計だ。

本体側面には豊富なインタフェースを搭載。キーボードベース側には、USB 3.0、HDMI、VGA、有線LAN、SDカードスロットを搭載。ビジネスの現場で需要の高いバッテリー交換にも対応する

耐久性の面では、ノートPC状態とタブレット単体の両方で76cmからの落下試験をパス。重量についても「12型のモバイルPCとして1019g、タブレットとして550gという2つの世界最軽量を達成した」(西本氏)。まさに頑丈さと軽さを両立するLet’snoteシリーズの集大成といえる仕上がりだ。

iPad一色だった製薬業界もWindowsタブレットを検討へ

Let’snote XZ6のターゲット業種としてパナソニックが挙げたのが、製薬やSIer、コンサルタント、保険会社などだ。その中でも、「iPadが独占状態だった製薬業界で、Windowsタブレットへの移行を検討する事例が増えている」と語ったのが、製薬業界の営業担当でMR向けマーケティングツールを手がけるイットアップの小坂信太氏だ。

イットアップ セールス&マーケティング部 部長 小坂信太氏

その背景として小坂氏は、MRの負担軽減を挙げる。「MRは、iPadに加えてノートPC、スマートフォン、モバイルルーターなど多くのデバイスを持ち歩く。(これが負担になるため)弊社の取引先でも、2社に1社はiPadからWindowsタブレットに切り替える方針を固めている。Let’snote XZ6の試作機は軽量で、製薬業界に増えている女性のMRからも好評だ」との実情を明かした。

Let’snote XZ6の市場想定価格は25万円(税別)からと、iPadに比べて高価であることは否めないものの、複数のデバイスを1台に統合できるWindows 2-in-1のメリットに注目すれば、検討の価値は十分ありそうだ。