テスト+コミュニケーションという考え方 - 過疎化に悩む能登の高校がClassiを採用した理由

[2016/11/24 10:00]徳原大 ブックマーク ブックマーク

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「地方創生」や「ICT教育」などのキーワードは耳触りが良く、誰もが”フック”として使いたがる。しかし、実際の当事者、過疎化の進む地方都市、教育現場からすれば、悩みの種として藁にもすがる思いで状況改善への足がかりを日々探している。

石川県立能登高等学校もまた、過疎化の進行と定員割れに悩む高校の1つ。同校は、県立校ながらに鳳珠郡能登町との結び付きが強い。理由には「地域密着」があった。

動画学習での失敗

「能登」の名前からわかるように、石川県の能登半島に位置する同町は、能登高校が町内唯一の県立校となる。ただ、7年前に185名いた町内の中学3年生が今年度は124名と2/3まで減少しており、少子化の進展が著しい。その上、定員割れの続く能登高校が万が一廃校となれば、町外への若年層の流出は決定的なものとなる。そのため能登町は能登高校への支援を惜しみなく行っている。

町は「能登高校を応援する会」を立ち上げ、制服購入や部活動費の支援を行っているが、最も力を入れているのが学校外の補習塾「鳳雛塾」だ。この取り組みは、佐賀県における同名のNPOビジネススクールにならったもので、Webサイトにもある通り運営費を会が全額負担している。

「能登高校は私たちにとって大切な高校。幼少期向けの児童塾はありますが、大学受験を控えた塾は皆無に等しい。高校を存続させるためには、進学実績が大事な要素になる。そのサポートとして運営しています」と話すのは、能登町 町長の持木 一茂氏。

能登町 町長の持木 一茂氏

持木氏は、5期17年町長を務めており、若年層の町外への流出を見続けてきた。「地方では、若年層が気にいる職種がなく、高校を卒業すると県外へ、大都市へ出て行って帰ってきてもらえない」(持木氏)という状況の中で、高度人材の育成と「地元にとどまりたいと思ってもらえる愛着の湧く環境整備」(同)の両立を目指すのが鳳雛塾というわけだ。

地域の塾では高品質な授業環境の維持が難しいことから、鳳雛塾(と能登高校)ではWeb動画による自学自習環境を提供していた。ただ、数年に渡って学習状況を観察したところ、動画閲覧による勉強だけでは主体性を持って集中できない生徒が見られたそうだ。このサービスの問題点について、能登高校校長の大窪 直二氏は「一定の学力を持つ生徒には効果的だったものの、中学の学び直しを必要とする生徒も在籍する弊校では、画一的な動画学習はあわなかった」と話す。

近年、生徒1人1人の学力にあわせたアダプティブラーニングと、生徒により能動的な学習を促すアクティブラーニングが注目されているが、いずれも先進的な進学校だけでなく、むしろ地方の「学習状況に差のある幅広いレベルの生徒を抱える高校」にこそ、適用すべき学習法と言える。

学力レベルに応じた問題のWeb配信

先生たちは自身で作成した教材を利用する傾向がある。Classiは小テストや宿題など、先生の「使える部分だけ使いたい」というニーズにマッチした教材の提供を行っている(Classi Webサイトより)

こうした問題を認識した能登町と能登高校が新たに選んだソリューションが、ベネッセとソフトバンクの合弁会社が提供する「Classi」だった。同校では、ClassiのWebテスト機能を利用しており、サービス内に用意されている計2万問の中から小テストや模擬テストの対策、復習を行っている。(関連記事:ビッグデータが教育に与えるインパクトとは? KnewtonとClassiで広がる世界)

「国公立大学レベルの問題から中学の学び直しまで、さまざまな学力レベルに対応できる。それに加えて『このテストでは頑張ったね』というコメントをClassi内で残せるところが、動画学習とは異なる魅力的なポイントだと思います」(能登高校 進路指導課 進学担当教諭 大丸谷 一馬氏)

動画学習ソリューションでは、生徒それぞれに勉強の状況を尋ねていたが「Classiでは校長の立場でも全体をPCで簡単に把握できるようになった」(大窪氏)。先生も、自分の手で作成していた小テストを、問題を選定するだけで良くなったため、作業の効率化が図れる。「教育は効率化がすべてではない」と思われがちだが、この労力削減によって「直接生徒と話して指導する時間が確保できる」と大窪氏は前向きな期待感を口にする。

「ほかの高校の成功例の話ですが、佐賀県では教育委員会主導ですべての普通科高校に電子黒板を導入しています。電子黒板では、いったん教材を作り込めば、生徒の傾向に応じて少しずつの修正を加えるだけで、自分で作った教材をずっと使える利便性があります。効率化することで生まれるメリットは必ずあります」(大窪氏)

Classiに期待する理由はほかにもある。

「子どもたちが慣れ親しむスマホで、いつでもどこでも勉強できるところが大きなメリットかなと。都市部とは異なり、バスが来るまで1時間待つということもある。そうしたスキマ時間で小テストをちょっとやるのは今の時代にもあっていると思う」(能登町長 持木氏)

動画学習では、スマートフォンで見られると言っても、紙とシャープペンシルを別に必要とする。移動時間などにはスペースの確保が難しいことから、選択形式であったとしても、Webテストによる反復学習の方が適しているという話だ。

石川県立能登高等学校 校長 大窪 直二氏(左)と同校 進路指導課 進学担当教諭 大丸谷 一馬氏(右)

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「地方創生」や「ICT教育」などのキーワードは耳触りが良く、誰もが"フック"として使いたがる。しかし、実際の当事者、過疎化の進む地方都市、教育現場からすれば、悩みの種として藁にもすがる思いで状況改善への足がかりを日々探している。石川県立能登高等学校もまた、過疎化の進行と定員割れに悩む高校の1つ。同校は、県立校ながらに鳳珠郡能登町との結び付きが強い。理由には「地域密着」があった。

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