ソフトバンクは10月16日まで、法人対象のビジネスオーディション「AI Creation(エーアイクリエーション)」の募集を行う。同社の法人営業部隊 約3000名が審査・選考を行い、実際に事業化、商用化を目指す。一次審査は10月末、二次審査は11月21日を予定しており、審査結果は12月初旬に発表を予定している。

今回が第1回で、今後は四半期ごとの開催を予定している。募集テーマは「フロントオフィス、バックオフィスなど、企業内の課題解決ソリューション」「業種・業界のルール・商慣習にあわせたコスト削減、効率化を進めるソリューション」「ソフトバンク ロボティクスの人型ロボット『Pepper』と組み合わせたソリューション」「その他、枠にとらわれないAI活用のソリューション」。

募集テーマ

IBM WatsonのAPIを活用していれば、どのようなアイデアでも受け付ける。ただし「事業化、商用化」できることが前提となっており、Watsonの学習に必要なデータのマネジメントなど、継続的に人員を割ける「ビジネス前提の体制込みで応募していただければ」(ソフトバンク 法人事業戦略本部 新規事業推進統括部 Watsonビジネス推進部 三上美紀氏)としていた。

同社は、技術者ベースで「Watsonを理解してもらう」ことを念頭に置いた「SoftBank Innovation Program」などを開催しているが、これらとは異なり、あくまで「(Watsonを含めた)AIを活用してビジネス化したいソリューション」のみを目的としている。

Watsonは

  • Natural Language Classifier(自然言語分類)
  • Dialog(対話)
  • Retrieve and Rank(検索およびランク付け)
  • Document Conversion(文書変換)
  • Speech to Text(音声認識)
  • Text to Speech(音声合成)

という6つのAPIが用意されているが、このうちの1つでも利用すれば、「Watson活用ソリューション」として成立する。募集テーマが広範に渡っている点については「初めての開催で、法人パートナーが何をやりたいのか、広く声を聞きたかった」(三上氏)としたが、次回以降は営業部隊のヒアリング調査を通して、業界を特定した形のソリューション募集などを検討していくという。

「Watsonの適用範囲は幅広く、人材マッチングの自動化から、特定業界の辞書を学習させて、エージェントのようにレコメンドするシステムまでさまざま。『AIは高い』と思われがちですが、『法人ソリューション』に落とし込むことで企業の導入コストが下げられますし、中小企業の中には『AIとか関係ない』と考えている方もいらっしゃる。そういった方々にも、法人ソリューションとしてAIを提供することで、導入障壁を下げられるはず。ビジネスモデルは大まかに『どれほどの市場規模で数年以内にコストが回収できる』といった枠組みを提示できていれば、あとはソフトバンクの営業がマーケティング・リサーチをやります」(三上氏)

「営業が頭で考えるだけでは読めない部分、IT企業が相対するだけではわからないような仕事を効率化したいと考えているものを掘り出せればと思います。カテゴリを区切ってやっていても、それはこちらの理論であって、未知の部分、見逃している部分は絶対にある。『おじいちゃんやおばあちゃんが会話するだけで買い物の発注ができる』みたいなソリューションでも、Watsonを使っていて、事業化できるものならなんでもいい。Watsonが前面に出ず『ソフトバンクが販売している』というところは、一般の方々が受け入れやすくなる効果がもあると思っています。その点をうまく使ってもらって、AIで社会を変えることにパートナー企業さんと取り組めれば、という夢を描いています」(ソフトバンク 法人事業戦略本部 新規事業推進統括部 Watsonビジネス推進部 ビジネス企画課 担当課長 二瓶 浩輝氏)