【連載】

山口健太のモバイルデバイスNEXT

【第2回】VAIO Phone Biz、成功の鍵は"本気度"

[2016/02/06 08:00]山口健太 ブックマーク ブックマーク

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ソリューション

VAIOが2月4日に発表したWindows 10 Mobileスマートフォン「VAIO Phone Biz」は、同社が「ビジネスを加速するスマートフォン」と位置付ける新製品だ。発表会にはNTTドコモや日本マイクロソフトも参加し、法人向けを中心とした新たなプラットフォームの立ち上げに向けて気勢をあげた。

VAIOの「VAIO Phone Biz」発表会には、NTTドコモや日本マイクロソフトも応援に駆け付けた

VAIOは「ビジネスを加速するスマートフォン」と位置付ける

VAIOブランドのスマートフォンといえば、2015年に日本通信が発売したAndroidの「VAIO Phone」の印象が強い。だが、両社の思惑にはすれ違いが多く、ビジネス市場に大きなインパクトを与えるには至らなかった。VAIO Phone BizではVAIO独自の端末設計やWindows 10 Mobileの採用など、装いも新たに仕切り直す形になった。

報道関係者に全力で「VAIO」をアピール

発表会に登壇したVAIO 代表取締役社長の大田 義実氏は、VAIO Phone Bizの発表に先駆けてVAIOの事業戦略について改めて言及。VAIOの強みとして、国内部品メーカーの技術を結集した「VAIO Z」などにみられる独自の設計・製造技術や、ソニー時代から引き継いだVAIOブランドを挙げた。

これらの強みは、新規事業への足がかりとなるわけだが、企業としてのVAIOを成長させていくポイントもここにある。発表会で大田氏は、新スマートフォンを目当てに集まった報道関係者に向けて、長野県の安曇野工場で生産したロボットやウェアラブル玩具といった新製品をプレゼンしたが、これもまた、VAIOブランドを最大限に活用したPR作戦であり、生き残るための知恵といえるだろう。

VAIO Phone Bizを披露するVAIOの大田義実社長

富士ソフトの「Palmi」やウェアラブル玩具「Moff Band」のアピールにも余念がなかった

スマートフォンも、この新規事業の一角を占めており、「ハードウェアと通信を組み合わせて提供していく上で、スマートフォンは避けられない領域だ」と大田氏は指摘する。2015年12月にはSIMフリーのLTE通信機能を搭載したノートPC「VAIO S11」を発表したが、ビジネスパーソンにとってのスマートフォンの重要性は変わらない。

VAIO Phone Bizの最大の特徴は、OSに「Windows 10 Mobile」を採用した点だろう。ソニー時代から数えると実に20年以上、VAIOはWindowsとともに歩んできた。ソニーがVAIO事業を分離したとき、ソニーはXperiaシリーズなどが採用するAndroidをスマートOSとして残す形になった。となれば、VAIOがWindows 10 Mobileを採用することには必然性があるともいえる。

VAIO Phone BizはOSにWindows 10 Mobileを採用。Windowsとともに歩んできたVAIOとして、同OSの将来性に賭ける形になった

ドコモCAに国内で初めて対応、IOT通過で法人品質も

Windows 10 Mobile搭載端末は、すでに日本国内でも販売されている。では、VAIO Phone Bizは既存製品とどこが違うのだろうか。そのポイントは、「法人向けに"本格"展開を狙う」という点だ。

発表会にはNTTドコモ 取締役常務執行役員 法人ビジネス本部長の高木 一裕氏も登壇しており、法人市場に強いドコモがWindows 10 Mobileの販売に乗り出すことを明らかにした。

NTTドコモ 取締役常務執行役員 法人ビジネス本部長の高木一裕氏。ドコモが法人向けにWindows 10 Mobileを販売する狙いを語った

ドコモはWindows 10 Mobileの展開にあたって、これまでに国内法人向けにスマートフォンを販売してきたノウハウを活用するという。具体的には、クラウドやMDMを組み合わせたソリューションとして提案していく。VAIO Phone Bizについても、マイクロソフトの「Office 365」や「Intune」と組み合わせ、法人向けパッケージ「ビジネスプラス」として展開するとした。

国内法人ユーザーの需要を熟知したドコモが、クラウドやMDMを組み合わせたソリューションとして展開していく。

VAIO Phone Bizの仕様からも、ドコモの影響が見てとれる。Windows 10 Mobileとして初めてドコモのキャリアアグリゲーションに対応し、受信時最大225Mbpsの「PREMIUM 4G」を利用できる。さらにドコモの相互接続性試験(IOT)も通過する見込みという。

IOTを通過した端末はいわばドコモのお墨付きを得るに等しく、日本全国の法人ユーザーが安心して使える通信品質を保証できるという。「他社のように海外仕様の端末を国内のバンドに対応させるだけでなく、国内仕様に最適化しているのが強みだ」とVAIOは説明する。

また、Windows 10 Mobileを展開する日本マイクロソフトも、ドコモとの協業に期待を寄せる。発表会には代表執行役社長の平野 拓也氏が登壇し、VAIO Phone Bizの法人展開にあたって日本マイクロソフトの法人営業部隊が協力することを約束した。

日本マイクロソフト 代表執行役社長の平野拓也氏。国内法人市場に向けてWindows 10 Mobileを展開する意気込みを語った

Windows 10 Mobile法人展開の鍵になるのは?

このようにVAIO Phone Bizの発表会は、大方の予想以上に法人市場に強くフォーカスしてきたといえる。他社のWindows 10 Mobile製品に対してVAIOは「後発」になったものの、うまく差異化している印象だ。

また、質疑応答ではVAIO幹部だけでなく、NTTドコモの高木氏と日本マイクロソフトの平野氏が並んで登壇したことにも注目したい。通常、こうした発表会ではパートナー企業の代表者は挨拶だけで済ませることも少なくない。しかしVAIO Phone Bizでは、両社が今後の展開に本格的にコミットしていくという姿勢を示す形になった。

質疑応答にはVAIO、NTTドコモ、日本マイクロソフトの3社が登壇。本格的にコミットする姿勢を示した

すでに各社には、法人ユーザーからの問い合わせが多数寄せられているという。もちろん、実際に法人が本格導入を決めるまでの道のりは平坦ではなく、問い合わせの多くは、導入するための技術評価などを目的としたものだろう。今後の動きとして、VAIO側では法人展開にあたって事例を作ることが重要と考えており、先行事例に向けて準備を進めていくという。

Windows 10 Mobileの法人展開は、果たして成功するだろうか。鍵になるのは、プラットフォームとしての継続性だと筆者は考えている。質疑応答においても、日本マイクロソフトに対して「2011年のWindows Phone 7.5のように、一世代限りで終わることはないのか」との厳しい指摘もあった。

Windows 10 Mobileでは、「Continuum」に代表される目新しい機能ばかりが取り沙汰されがちだ。だが、法人ユーザーが本当に見極めるべきなのは、VAIOやNTTドコモ、日本マイクロソフトが「どれほど本気で新しいプラットフォームにコミットしていくのか」という点だ。そういう意味では、VAIO Phone Bizの発表会はひとまず成功したといってよいだろう。

VAIO Phone Bizを用いた、無線による「Continuum for Phones」のデモも披露された。

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https://news.mynavi.jp/itsearch/2016/05/23/001.jpg
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