B2Bマーケターはとにかくリードの獲得に躍起になることが多い。しかし、そのリードが良質なものでなければ最終的にビジネスゴールに至ることはない。数を追うのではなく、良質なリードを効率的に獲得していくスキルこそ、マーケターに求められる能力だ。
9月17日に開催されたマイナビニュースセミナー「-BtoB- Digital Marketing Days」にKDDI ソリューション事業企画本部 マーケティング部 課長補佐 森本祐吏氏が登壇。パラレルマーケター/Still Day One 代表社員の小島英揮氏との対談形式で、マーケターが実践すべきデジタルマーケティングの手法について解説を繰り広げた。
B2Bマーケティングの”よくある失敗”
一般に、マーケティング手法を設計するときは「誰に、何を、どう伝えるか?」と「それはなぜなのか?」という観点から要素を洗い出していく。
すなわち、「Who(誰が顧客か)」「Why(なぜその顧客なのか)」「What(提供できるベネフィットは何か?)」「Why(なぜそのベネフィットが響くのか?)」「How(どうやって伝えるか?)」「Why(なぜその伝え方が良いのか?)」である。
このとき陥りがちなのが「Howから入ってしまうこと」だと小島氏は説明する。もちろん「How」も必要な検討項目だが、その前に「Who」や「What」が明らかになっていることが重要だ。ただし、「What」についてはマーケティングの前から自明であることも多い。となると考えるべきは「Who」である。
「『誰に』が決まらないと、その後の施策も決まりません」(小島氏)
これに森本氏も同意を示し、さらにB2Bマーケティングのよくある失敗について次のように指摘する。
「マーケティング担当者はリードの数にこだわり、取得したリードのラストタッチだったメディアで評価を行うことが多いのですが、最後がそのメディアだったのはたまたまかもしれません。そこにたどりつくまでの導線があったはずですが、最後に踏んだメディアのみで判断してしまいます。これは、Webサイトの評価をPVだけで見るのと同じです。あさがおの観察日記のように、ただ数値を追いかけてしまうレポートでは意味がありません」(森本氏)
リード獲得に向けた指針
では目先のリードを追い求めず、良質なリードを創出するためにはどうすればよいのだろうか。
森本氏は、マーケティングの各工程における成熟度を定義する「マチュリティモデル」を示し、「テクノロジーツールの選定」「分析内容と報告時期の決定」「パートナー選定」「訴求の最適化」「さまざまな場所で顧客との関係構築」というプロセスで施策を検討/実施していくことが望ましいと説く。
パートナーの選定よりも先にテクノロジーツールの選定を行う理由については、「パートナーが言うからやりましょう、ということが積み重なっていくと、結果として自分たちが何をやりたかったのかわからなくなってしまう」からだ。あくまでも、やるべきことを整理した上でツールを選ぶことが重要だという。
これを受け、小島氏も「パートナーと自社、そしてマーケティング目標が三角形になっている必要がある。ステークホルダーが多くても、マチュリティモデルがあれば目標を定めやすい」とマチュリティモデルの作成を推奨した。
“運任せ”はコストの無駄
次にマーケティングで狙うべき顧客、つまり「誰に届けるのか?」という点について、森本氏は「B2Bの場合、マーケティングメッセージを受け取るのが(顧客ではなく)競合やパートナー、社内の人間になってしまうのはよくある話だ。その状態でMA(Marketing Automation)などを使ってしまうと、競合やパートナー、社内向けに最適化されたマーケティング施策になってしまい、コストが無駄になる。”Spray and Pray(運任せで撃ちまくる)”の施策では意味がない」と断言。「ABM(Account-based marketing)」の考え方にのっとって、最初にアカウント(誰に届けるのか)を選定することが重要であると強調した。
例えば、KDDIでは大企業を対象にマーケティング施策を打つことが多いが、500名以上の社員を抱える企業はわずか0.25%にすぎない。その0.25%をいかに狙っていくのかを考える上で、より的確なターゲットアカウントの選定が求められる。森本氏は一例として、従業員数や拠点数、売上状況といった指標を組み合わせてセグメントを形成した際のプロセスを紹介し、「商材に合わせて正しい指標を見つけられないと間違ったマーケティング施策になってしまう」と説く。
小島氏も「私はマーケットが出来上がる前に(ターゲットアカウントの選定を)行わなければならないケースに行き当たることが多いのだが、その場合、ターゲットアカウントは先進的なことに取り組める企業であるかどうかといったことが重要になる。単純に数字だけで判断できないので違う切り口から考えなければいけないが、そうするからこそ正しいターゲットアカウントを選定できる。皆さんの商材にとっての指標を見つけることが大切」だと語った。
※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。
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