時間と労力をかけて作ったコンテンツも、ターゲットとなる人たちに見てもらえなければ意味がない。Webメディアのコンテンツを多くの人に届けるにはどうすればよいだろうか?

10月9日に開催された第132回 IT Search+スペシャルセミナー「初めてでもトライできる! ウェブメディアのSEO、Twitter運用テクニック」には、SEOやTwitter分析の分野に強いWebマーケターとして活躍する日西愛氏が登壇。メディアがこれからのSEOで意識したいことやTwitter運用の改善方法を、実際の改善事例や取り組みを交えながら解説した。

Webマーケター 日西愛氏

大切なのは「5W1Hを意識したコンテンツ作成」と「効果測定」

楽天市場などでSEOを担当した後、BuzzFeed JapanでSNSマーケティングを手掛けてきた日西氏。ライターとしての経験も豊富だ。Webメディアの記事を作る上で重要なこととして日西氏が挙げたのは、コンテンツを狙った人に対してきちんと届けられているか、その人たちが狙いどおりの行動をしているかどうかを計測していくこと。具体的には、記事の「5W1H」を考えるべきだという。

例として、以前日西氏がおでかけ体験型メディア「SPOT」で執筆した記事「夜行バスの選び方はここをおさえろ!遠征バンギャに長距離バス活用術を聞いた」の5W1Hが挙げられた。

  • Why:夜行バスの選び方がわからない人にそれを解決するためのコンテンツを届ける
  • What:記事で
  • Where:検索、Twitter……
  • Who:夜行バスの予約を考えている人
  • When:ライブの遠征、出張、帰省……
  • How:プラットフォームごとのユーザー属性や特性を考慮して施策を考える

記事は狙いどおり、夜行バスの予約を考えている人たちの参考になるコンテンツとなっており、Twitterやはてなブックマークなどで多くの反響を呼んだ。「夜行バス 選び方」と検索すると、現在でも上位に表示されるようになっている。

このように記事の5W1Hを定めることはもちろん、その効果をきちんと測定することも重要だ。日西氏は「作りっぱなしにするのではなく、どうやってユーザーに届けて、どのように計測していくかをワンセットで考えていくことが大切」と語る。

また日西氏は、同じくSPOTに掲載された「寝過ごしたら一番ヤバそうな終電に乗って、終点の駅まで行ってきた【中央線大月駅】」という記事を例に、検索とTwitterでターゲットに届けるためのちょっとしたテクニックも紹介した。

この記事は、「山梨県のJR大月駅に、終電で寝過ごしてやって来てしまった人のため」につくられたもの。JR大月駅まで寝過ごしてしまった人がその場で検索してすぐに見つけられるような工夫がされている。実は、見出しとして指定している文章と、検索時にヒットするtitle要素に指定している文章が異なるのだ。

見出し:寝過ごしたら一番ヤバそうな終電に乗って、終点の駅まで行ってきた【中央線大月駅】
title要素:大月駅に終電で寝過ごして来てしまった方へ。始発を待つ方法は

こうすることで、SNSでのシェアでは見出しが、検索ではtitle要素で設定したタイトルが表示される。引きのある見出しにすることでSNSなどでの拡散を狙いつつも、「大月駅 始発待ち 寝過ごし」などと検索するような本当に寝過ごしてしまった人にもきちんと届けることのできる記事になっている。「プラットフォームのユーザー属性に合わせて見せ方や文言の工夫が必要」(日西氏)ということだ。