セールスフォース・ドットコムは9月26日~27日、都内で「Salesforce World Tour Tokyo 2017」を開催した。2日目に開催された「Developer Keynote~Salesforce開発者のためのテクノロジー、ビジョン、コミュニティ~」の内容をダイジェストでお届けする。

システム管理者向け基調講演に続いて行われたDeveloper Keynoteでは、Salesforce開発における2人の「Super Hero」が登壇。それぞれの取り組み内容や開発者向けのアドバイスを行った。

Salesforce開発者をリードする「Super Hero」たち

Salesforceでは、Salesforceを活用して革新を促す企業の先駆者を「TrailBrazer」と呼んで支援している。ベテランTrailBrazerになると、コミュニティへ参加して機能の活用方法や事例を学ぶだけでなく、自らの事例や活用手法を提案してコミュニティで共有するようになる。

モデレータとして登壇したセールスフォース・ドットコム マーケティング本部 シニアディベロッパーエヴァンジェリストの岡本充洋氏は、「Super Heroとは、開発コミュニティ内でも卓越した知識と経験を有し、常に最先端の知見を共有する人」と説明した。

1人目のSuper Heroは、マッシュマトリックス代表取締役でSalesforce MVPの冨田慎一氏だ。冨田氏は、世界で最も使用されているSalesforce JavaScriptライブラリ「JSforce」の開発者だ。日本オラクルやセールスフォース・ドットコムでエンジニアを務めたあと、独立してマッシュマトリックスを設立。日本屈指のJavaScript開発者として知られる。

マッシュマトリックス代表取締役でSalesforce MVPの冨田慎一氏

「JSforceはJavaScriptでAPI接続するために作ったライブラリです。Salasforceがオフィシャルに提供していたAjax ToolkitというSOAP APIによるライブリがありましたが、REST APIのほうの比重が高くなってきました。当時探してもなかったので自分で開発しました」(冨田氏)

特徴の1つはブラウザ上でもサーバサイド(Node.jp)でも動作すること。ブラウザで実行するときはWebコンソールという実行環境を使ってAPIをコマンドラインから操作できる。

例えば、Webコンソールのコマンドラインから「desc」などと入力すると「describe$」「describeSObject$」「describeGlobal$」などとメソッド候補が表示されコマンドを補完する。describeGlobal()を実行すると、その結果がコンソール上に返される。コンソール上でSalesforceのデータベースアクセスに用いるクエリ言語SOQLも発行することも可能だ。

JSforceの操作画面

JSforceはSalesforceの開発部隊でも使われている。Githubのユーザーをヒートマップで示すと、日本だけでなく、米国西海岸、東海岸、欧州でも使用されていることが分かる。ダウンロード数は約2万件/週、海外エンジニアからPull Requestされマージされるケースも多い。海外法人であるMashmatrix, Inc.を展開するが「社名を聞いた海外エンジニアからJSforce作っている会社だねと認知されることも増えてきた」(冨田氏)という。

岡本氏は「Salesforceというと使い方などの業務を突き詰めるイメージが強いかもしれません。冨田さんのようにアプリ開発、ライブラリ開発で世界的なエンジニアになる余地もたくさんあります。スキルを積んで冨田さんのようなキャリアを作る人が増えていくことを期待したいです」とした。