ハイブリッドクラウド研究会が目指す世界とは?

【連載】

徹底研究! ハイブリッドクラウド

【第1回】ハイブリッドクラウド研究会が目指す世界とは?

[2018/02/28 09:30]胡田 昌彦 ブックマーク ブックマーク

クラウド

連載目次

パブリッククラウドばかりがもてはやされるなか、多くの企業が中長期的IT戦略に欠かせないと考えているのが「ハイブリッドクラウド」です。このハイブリッドクラウドについて一貫性のある認識を共有し、国内での導入を促進するために、今年2月20日、志を同じくする複数の企業によって「ハイブリッドクラウド研究会」が創設されました。本連載では、同研究会のメンバーが中心となり、ビジネスに役立つハイブリッドクラウドに関する情報を発信していきます。

日本の企業力を高めるために

ハイブリッドクラウド研究会は、以下を目的として創設されたコミュニティです。

  • 日本における「ハイブリッドクラウド」の再定義
  • 新しい「ハイブリッドクラウド」の導入促進

本コミュニティでは、ハイブリッドクラウドの活用によって「日本のIT利用環境を革新したい」と考えています。「主語が大きすぎる」と叩かれるかもしれません。それでもあえて、ここでは主語を大きくしてお話したいと思います。

今や、クラウドを有効活用する企業が革新的なサービスを提供し、競合他社に対して優位性を持つのが当たり前の時代になりました。クラウドを有効活用した新しいビジネスモデルも多数生まれています。

UberやNetflix、AirBnBなどの革新的なビジネスモデルと高度なクラウド利用の例は非常に有名になりました。世界の時価総額Top10にはApple、Alphabet、Microsoft、Amazon、Tencent Holding、Facebook、Alibaba Group Holdingと米国および中国のIT企業が7社入っていることも、時代を象徴しています。

しかし、残念ながら世界の時価総額ランキングトップ企業のなかに日本企業はなかなか出てきません。今こそ日本企業も、よりITの力を取り入れて企業力を高める必要があるというのは、多くの人が同意するところでしょう。

日本におけるハイブリッドクラウドの「実情」

そんななか、既に日本企業の70%近くが「ハイブリッドクラウドを導入済み」と回答しているというデータがあります。ですが、私がこれまでシステムインテグレーターとして、またMicrosoft MVPとしてさまざまな方と会話しているなかでは、そのようには全く思えません。

何事にも慎重に検討を行い、石橋を叩いて叩いて、結局渡らない企業を多く見てきました。クラウドを使えば既存のサービスを使って5分でできることを何日も、何カ月も、場合によっても何年もかけて実行する例もあります。やろうと思えば完全に自動化できる作業に、何人もの人手を継続的にかけ続けている状況も多く見てきました。こんなことでは日本は世界からますます取り残されていってしまうのではないか……そんな焦りを感じることも多々あります。

「クラウドが良いのもわかるけど、セキュリティが心配だから踏み出せない」「クラウドを使っていると言ってもメールサーバをSaaSに切り替えただけ」「仮想マシンをクラウド上でホスティングしているだけで、結局やっていることもスピード感もオンプレミスの仮想環境と全く同じ」「積極的にパブリッククラウドの活用を決めたけれど、大量に残る社内のITとビジネスの距離は広がるばかり」。――そんな状況でも「ハイブリッドクラウド導入済み」と呼んでしまっている実体があると思います。

そこで、ハイブリッドクラウド研究会では、「クラウドとは何か」「ハイブリッドクラウドとは何か」「より連続性・一貫性のある基盤を活用することで、迅速にビジネス上の成果を挙げる方法とは?」といった問いに対し、企業の枠を越えてユースケースや方法論を議論・検証することで、日本へのハイブリッドクラウド導入を促進していきたいと考えています。

押し寄せる変革の”波”

幸いにして、現在良い”波”は来ていると思います。AI、IoT、ビッグデータなどのキーワードを筆頭に、ITによるビジネスの変革の可能性を多くの人が感じています。

さらに、オンプレミスにクラウド基盤を迅速に構築できる「Azure Stack」のような選択肢も出てきました。仮想基盤としてVMWareを使っている企業がそのままAzureに場所を移せる「VMWare virtualization on Azure」という選択肢も出てきています。

技術に目を向けると、新しい技術や概念も多数登場しつつあります。

コンテナ、マイクロサービス、サーバレスといった言葉は聞いたことがあっても「何をどう使ったら良いのか」「自分の仕事はどう変わるのか、どう変えていけるのか」といったイメージが湧かないまま不安に思っている技術者も大勢いるのではないでしょうか。そうした方々の学びの場、そして刺激を受ける場として、本コミュニティを活用していただきたいと思います。

また、「担当ではないから技術的なことはよくわからないけれども、ビジネスで実現したいことはあるから、それをハイブリッドクラウドでどのように実現できるのかに興味がある」「企業の枠を超えて会話、相談したい」という方も多いと思います。そのような方が、実際に直面している利用シナリオから議論に参加できる場も用意したいと考えています。

どんな研究を予定しているか

まだまだこれから、実際に参加してくれる幹事企業を中心に分科会構成も含めて議論していこうという段階ではありますが、まずは下記の分科会構成でスタートする予定です。

No.  名称  技術領域 内容
1 ユースケース検討分科会 全体(ビジネス視点) ビジネスおよび業務を考え、適する方法論を全体的に検討する
2 クラウドネイティブ分科会 PaaS、Containers クラウド上のサービスを効果的に活用したクラウドネイティブなアプリケーション実装、運用の手段および効果的な利用シナリオを検討する
3 Lift and Shift分科会 IaaS 仮想マシンのオンプレミスからの移行も含め仮想マシンを中心としたアプリケーションの実装、移行、運用の手段および効果的な利用シナリオを検討する

これから先参加企業が増えれば対象が拡充されることも考えられますが、最初は「Azure」「Azure Stack」「VMware virtualization on Azure」を研究対象のプラットフォームとして活動を開始します。

本連載では、研究会で議論された内容を濃縮し、”ビジネスに役立つ”ハイブリッドクラウドに関する情報を発信していきます。ご期待ください!

活動への参加方法

幹事企業となり分科会をリードしたい企業の方は、以下の情報を添えてhccjp★microsoft.com、およびhccjp★jbs.comまでメールでご連絡ください(「★」を「@」に変換してください)。

●部課長クラスの方の担当者名/部署名/連絡先
●この活動をサポートしていただける役員クラスの方の役職・氏名

また、コミュニティに参加を希望する方はConnpass上のハイブリッドクラウド研究会ページよりメンバー登録してください。 本コミュニティの趣旨に賛同される方は、ぜひ参加いただければと思います。

著者紹介

日本ビジネスシステムズ株式会社クラウドアライアンス開発部
胡田 昌彦(Ebisuda Masahiko)

Windowsインフラ系を中心に数名から数万人規模までの様々な企業向けシステムの設計、構築、運用に携わる。2014年よりMicrosoft MVP for Windows Expert-IT Pro, System Center and Datacenter Management, Cloud and Datacenter Management を連続受賞中。著書に「Windowsインフラ管理者入門」。3児の父。

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※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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