伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)の調査によると、基幹システムをクラウド化していない企業のうち、約95%がクラウド化を検討したことはあるのだという。1度は検討したにも関わらず、なぜ多くの企業が採用に至っていないのだろうか。

3月16日~17日に開催された「ガートナーエンタプライズ・アプリケーション戦略&アプリケーション・アーキテクチャサミット 2017」では、基幹システム特化型クラウド「CUVICmc2」を提供する伊藤忠テクノソリューションズ(CTC) 執行役員 クラウド・セキュリティ事業推進本部 本部長の藤岡良樹氏が登壇。基幹システムのクラウド化に求められる要件や、導入で得られるメリットなどについて、具体的な事例を交えて語った。

基幹系システムに求められるIT基盤の「要件」

当日、登壇した藤岡良樹氏は、長年コンピュータ関連機器の技術、営業、マーケティング業務に従事。現在はクラウドサービスの企画開発責任者としてCTCのクラウドビジネス全般を指揮する。

そんな藤岡氏はまず、「アプリ担当者からよく聞く声」として次のような項目を挙げた。

  • 計画にはない突発的なアドオン開発。至急、開発・検証用のITインフラを手配したい
  • 本番と同等レベルの環境で開発・検証を行いたい(手戻り回避)
  • 開発環境にも高い堅牢性とセキュリティ担保を
  • アプリ側でのパフォーマンスチューニングは避けたいのでインフラは十二分な余剰を持ってほしい

「こうした要求を満たそうとして陥りがちなのが、過剰なIT投資による遊休サーバの増加やオーバースペックな基盤設計」だと藤岡氏は説明。基幹系システムに求められるIT基盤の要件は「アプリ開発に専念でき、十二分な環境が提供される一方で、オーバースペックにはならないこと」だという。

伊藤忠テクノソリューションズ 執行役員 クラウド・セキュリティ事業推進本部 本部長の藤岡良樹氏

CTCは2015年10月、米Virtustream、SAPジャパンとともに基幹系特化型クラウドサービス「CUVICmc2(キュービックエムシーツー)」の提供を発表。2016年8月より、サービスを開始している。藤岡氏は、「特化したものにしないと海外には勝てない」と開発の経緯を語る。

CTCの調査によると、基幹系システムのクラウド化についてはまだ8割以上の企業が非採用なのだが、多くの企業は1度は検討した上でクラウド採用を見送っているという。検討したということは、クラウド化にはそれだけの魅力があるということであり、非採用となった理由を解決できれば採用に至る可能性がある。「ここにビジネスチャンスがある」と藤岡氏は強調する。

基幹系システムへのクラウド利用状況

そこで非採用の理由を調査した結果、企業のシビアな本音が見えてきた。