「インフォノミクス」の提唱者が語る! 情報収益化の評価方法

[2018/06/19 08:00]冨永裕子 ブックマーク ブックマーク

さまざまな情報収益化 - 海外の事例から

では、情報の収益化とはどのようにしてもたらされるのだろうか。レイニー氏は、その具体的な例として次の5つを挙げた。

Walmart Labs

米Walmart LabsはECに関する技術開発に特化したウォルマートの子会社であり、独自のプロダクト検索エンジンをウォルマートに供給している。あるとき、「House」というキーワードの検索が急増した。そのときは家庭用品やドッグハウスなどを表示したが、消費者が本当に探していたのはテレビドラマ『House(邦題:ドクター・ハウス)』の前シーズンのDVDボックスセットだったという。ちょうど新シーズンが始まろうとしていた時期で、検索が増えていたのだ。機会損失を減らすため、Walmart Labsは、ソーシャルメディアでの話題を加味して検索結果を改善し、カートからの離脱率を下げ、10億ドル換算の売上効果を得た。

Lockheed Martin

軍用機、ロケット開発メーカーであり、多くのデータを持つ米Lockheed Martinは、プロジェクトの文書を解析しているとき、あることに気付いたという。それは、プロジェクトに問題が発生する際には、特定の言葉が頻出することだった。そこで、プロジェクトマネジャーからの報告レポートを待つのでなく、能動的に事前検知することにした。例えば、プロジェクト文書のなかに、「スケジュール遅延」のようなキーワードが出てきたら、プロジェクトに問題が発生していることの先行指標になると見なす。これにより、早めにトラブルを察知できるようになった結果、数百万ドルのコスト削減効果を得た。

Dollar General

米Dollar Generalは、”米国版100円ショップ”として知られるディスカウントストアチェーン。同社は自分たちでデータウェアハウスを構築し、販売・在庫データを外部のサプライヤーに販売している。顧客のなかには、全米最大のスーパーマーケットチェーンのKrogerもいるのだという。同社の外部へのデータ販売額は約1億ドルに達した。

Minute Maid

Minute Maidはコカコーラ傘下のジュースブランドとして、日本でもなじみがあるだろう。そのマネジャーがあるファストフードチェーンから、オレンジジュースの味にばらつきがあるという指摘を受けた。調べたところ、原料やサプライチェーンの関係が影響していることがわかったのだという。そこで同社が、もっと味に一貫性を持たせるために行ったのは、データサイエンティストを雇うことだった。その仕事は、オレンジのフレイバーや収穫データを基に、気候変動があっても、均質な味になるよう製造方法を柔軟に変えるプロセス改善だった。

Íslendingabók

Íslendingabókは「アイスランド人の書」という意味の家系情報を提供するサイトである。アプリもある。アイスランドの人口は約33万人。誰もがほぼ親戚同士の間柄であり、結婚相手を探すのが大変なのだという。このサイトはオープンデータを使ってサービスを提供しており、デートアプリで会った男女が、お互いのスマホ同士を重ねると、親戚かどうかがわかるようになった。

情報資産を評価するための「6つの基準」

では、情報価値の評価は、何に基づいて行えばいいのだろうか。レイニー氏は「まだ完全なものではない」と断りながらも、情報を評価する目的に応じて重視するべき6つの基準を整理した情報評価モデルを紹介した。

情報資産評価のための6つの基準/出典:ガートナー(2018年6月)

このモデルは大きく2つの測定基準に分かれる。1つが「基盤となる測定基準」、もう1つが「財務的な測定基準」である。

それぞれは、3つの基準で構成されている。前者に分類される「情報の本質的な価値(IVI)」は情報の質の特徴を評価するもの、「情報のビジネス価値(BVI)」は情報をどの程度ビジネスに使えるかを評価するもの、「情報のパフォーマンス価値(PVI)」は保有していることでKPIにどれだけ良い影響があるかを評価するものだ。

一方、後者の財務的な測定基準には、「情報の原価価値(CVI)」「情報の市場価値(MVI)」「情報の経済価値(EVI)」が分類される。情報の売買は、所有権の移転というより相手との権利の共有に近い。そのため、情報の価値は、より多くの人が利用できるほど高まるという特徴を持つ。例えば、会計士の資産評価方法は、製造原価と市場価値との差額を計算する。情報の場合も同じようにすれば、売り上げ貢献(EVI)がわかるはずだというわけだ。

ガートナーには、「どうすれば私たちの組織の情報から収益を最大化できるか」という質問が相次いで寄せられているという。レイニー氏は、経営層からこんな質問が出る前に、情報の資産価値を評価する補完的な貸借対照表を作ってみることを勧めていた。

※ 本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合がございます。予めご了承ください。

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