引越しのときに多くの人の頭を悩ませるのが粗大ゴミの処分です。粗大ゴミや不用品はなるべく引越し先に持っていきたくないですし、手っ取り早く引越し業者に回収してほしいと考える人も多いと思います。
しかし、テレビや冷蔵庫などは家電リサイクル法に該当するため粗大ゴミとして処分できませんし、粗大ゴミを処分する方法は1つではありません。
本記事では粗大ゴミの定義を詳しく解説し、処分する方法ごとのメリット・デメリットや粗大ゴミ回収サービスを提供している引越し業者も紹介しています。粗大ゴミの処分で悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
粗大ゴミの定義とは
そもそも、どのようなゴミを粗大ゴミと呼ぶのでしょうか。自治体ごとの違いや粗大ゴミとして処分できないものを解説します。
自治体によって定義は異なる
粗大ゴミの定義は市区町村によって違います。例えば東京23区内では30cmを超える大型のゴミを粗大ゴミと定義していますが、大阪市では最大の辺または径が30cmを超えるもの、または棒状で1mを超えるものを粗大ゴミとしています。
自治体によって粗大ゴミと定義しているものの大きさに違いがあったり、重さの指定があったりするのが基本です。自治体の指定している大きさや重さを超えるゴミの場合は、回収を依頼できない可能性があります。したがって事前に、住んでいる市区町村のホームページなどで必ず確認しましょう。
家電4品目は粗大ゴミとして処分できない
どこの自治体に住んでいても、次の家電4品目は粗大ゴミとして処分することができません。
- テレビ
- エアコン
- 冷蔵庫(冷凍庫)
- 洗濯機(衣類乾燥機)
これらの家電は家電リサイクル法により、再利用できる材料の部分は資源として有効利用されることが決まっています。法律で粗大ゴミとして処分できないことを定めることによって、ゴミの削減とリサイクルの推進を目指しているのです。
壊れたり古くなったりして買い換える際は、家電の購入店舗に古い家電を引き取ってもらうことができます。また買い換えずに処分する際には、購入した店舗に処分してもらうことが可能です。万が一、購入店が分からない場合は市区町村に問い合わせてください。
家電4品目を家電リサイクル券を購入して処分するには
家電4品目を処分する流れは次の通りです。
- 対象品目を確認する
- 回収方法を確認する
- 回収してもらう
家電4品目を回収してもらうためには、家電リサイクル券に必要事項を記入しなければなりません。家電リサイクル券は、家電を買い換える場合は販売店、処分したい場合は自治体に用意してもらえます。また郵便局で自分で購入することも可能ですが、家電リサイクル券の料金は家電によって異なります。
家電4品目の処分については、経済産業省の「家電4品目「正しい処分」早わかり！」や、一般財団法人家電製品協会のサイトでも詳しく紹介されているで、そちらも参照してください。
粗大ゴミの処分方法別のメリット・デメリット
粗大ゴミには以下のような処分方法があります。
- 引越し業者の粗大ゴミ回収サービスを利用する
- 自治体の粗大ゴミ処分サービスを利用する
- 不用品回収業者に依頼する
- リサイクルショップへ持ち込む
- フリマアプリ・ネットオークションを利用する
- 知人や友人へ譲る
処分方法ごとのメリット・デメリットを確認していきましょう。
引越し業者の粗大ゴミ回収サービスを利用する
利用する引越し業者が粗大ゴミの回収サービスを提供している場合は、引越しのついでに利用することができます。引越し業者の回収サービスを利用するメリット・デメリットを見ていきましょう。
引越し業者の回収サービスのメリット
引越し業者の粗大ゴミ回収サービスを利用するメリットは次の通りです。
- 手間がかからない
- 自分のタイミングで処分できる
- 回収サービスだけの利用もOK
引越し作業と粗大ゴミの回収を同時に行ってもらえるので、手間をかけずに粗大ゴミを処分できます。さらに回収する日を指定できるため、自分にとって都合が良い日に回収してもらえるのも大きな利点です。引越し業者によっては、粗大ゴミ回収サービスのみの利用にも対応しており、時間がない人におすすめの処分方法です。
引越し業者の回収サービスのデメリット
引越し業者の回収サービスを利用するデメリットは次の通りです。
- 回収サービスを提供する業者が限られている
- 回収できない粗大ゴミもある
- 費用が高い
粗大ゴミを回収してほしくても、引越し業者によっては粗大ゴミの回収サービスを行っていない場合があります。また、どんなゴミでも回収してくれるわけではなく、品目を限定しているケースも多いです。さらに自治体に依頼する場合と比較して処分費用が割高になります。
自治体の粗大ゴミ処分サービスを利用する
日本全国ほとんどの自治体で粗大ゴミの処分サービスが利用できます。自治体の処分サービスを利用するメリット・デメリットを見ていきましょう。
自治体の処分サービスのメリット
自治体の処分サービスを利用するメリットは次の通りです。
- 粗大ゴミに該当するものはすべて回収してもらえる
- 引越し前に粗大ゴミを処分できる
- 安い料金で粗大ゴミが処分できる
自治体の処分サービスでは、粗大ゴミと定義されるものであれば、どんなゴミでも回収してもらうことができ、早めに申し込めば引越し前に処分することも可能です。いくつかある処分方法の中では比較的安い料金で処分できるため、粗大ゴミの数が少ない人におすすめの処分方法といえます。
例として、東京都(一部の地域を除く)の粗大ゴミ収集手数料を下記の表にまとめました。なお持込みの場合は、収集手数料の約半額の料金で回収してもらうことができます。
| 品目 | 収集手数料 |
|---|---|
| テーブル | 400～2,000円 |
| 椅子 | 400円 |
| ソファ | 800～2,000円 |
| ベッド | 1,200～2,800円 |
| 自転車 | 400～800円 |
| こたつ | 400～2,000円 |
| 洋たんす | 400～1,200円 |
| 和たんす | 400～2,000円 |
“参考：東京都環境公社粗大ごみ受付センター”
自治体の処分サービスのデメリット
自治体の処分サービスを利用するデメリットは次の通りです。
- 引き取り日時が選べない
- 回収してもらえない品目がある
- 指定された回収場所まで運ぶ必要がある
粗大ゴミを回収する曜日や日時が決まっているため、自分が都合の良い日を指定することはできません。引越しシーズンは利用者が増えて予約が取りにくくなる可能性があり、回収できない品目もあるので注意が必要です。さらに65歳以上の一人暮らしの方や身体障がい者の方以外は、回収場所まで粗大ゴミを自分で運ぶ必要があります。
不用品回収業者に依頼する
自治体ではなく民間の不用品回収業者に依頼することもできます。不用品回収業者に依頼するメリット・デメリットを見ていきましょう。
不用品回収業者のメリット
不用品回収業者に依頼するメリットは次の通りです。
- 回収までの手間がかからない
- 好きな日時を指定できる
- 買い取ってもらえる場合がある
不用品回収業者が自宅の中まで粗大ゴミを回収しに来てくれるので、自分で重い粗大ゴミを運び出す必要がありません。さらに自分の都合が良い日時を指定することができ、業者によっては粗大ゴミを買い取ってくれるところもあります。粗大ゴミの回収に手間をかけたくない人におすすめの処分方法です。
不用品回収業者のデメリット
不用品回収業者に依頼するデメリットは次の通りです。
- 処分費用が高い
- 悪徳業者がいる
自治体の処分サービスを利用した場合と比べると料金は割高になります。処分費用の相場は、基本料金だけで3,000～5,000円です。基本料金に出張料金などの別途費用が加算される可能性もあるので、依頼するときに必ず確認しましょう。
中には違法な不用品回収業者もいて、不法投棄や高額請求などのトラブルが数多く報告されていることも事実です。悪徳業者に依頼することを回避するためには、業者選びを慎重に行う必要があります。
リサイクルショップへ持ち込む
不要になった家電や家具を買い取ってくれるのがリサイクルショップです。粗大ゴミをリサイクルショップに持ち込むメリット・デメリットを見ていきましょう。
リサイクルショップのメリット
リサイクルショップに粗大ゴミを持ち込むメリットは次の通りです。
- 処分費用がかからない
- 現金を得ることができる
- ショップによっては出張買取に対応している
買い取ってもらえれば、粗大ゴミを処分するための費用を支払う必要がありません。売る物によっては高値で買い取ってもらえる可能性があり、出張買取に対応しているショップを選べば、わざわざ自宅からショップまで粗大ゴミを運ぶ必要もありません。まだ使えそうな粗大ゴミを所有している場合におすすめの処分方法です。
リサイクルショップのデメリット
リサイクルショップに粗大ゴミを持ち込むデメリットは次の通りです。
- 買取不可になる場合がある
- ほとんど値段がつかない場合もある
粗大ゴミが汚れていたり壊れていたりする場合は買取不可になるため、できるだけきれいな状態にしてから査定を申し込みましょう。買い取ってもらえる場合でも、10円や100円などの低い金額を提示されることも少なくありません。ただし処分費用は浮くので、値段が付くのであれば買い取ってもらったほうがお得です。
フリマアプリ・ネットオークションを利用する
スマホやパソコンがあれば、フリマアプリやネットオークションを利用することもできます。フリマアプリやネットオークションを利用するメリット・デメリットを見ていきましょう。
フリマアプリ・ネットオークションのメリット
フリマアプリ・ネットオークションのメリットは次の通りです。
- 高値で売れる可能性がある
- ジャンク品でも売れる場合がある
不要なものをお金に換えられる可能性があり、思わぬものに高値が付くケースもあります。また、壊れているものでも購入したいという人が現れるかもしれません。ただしアカウント作成や商品登録が必要なので、ネット上でのやり取りに慣れている人におすすめの処分方法です。
フリマアプリ・ネットオークションのデメリット
フリマアプリ・ネットオークションのデメリットは次の通りです。
- 手間がかかる
- 買い手が現れなければ売れない
- 手数料や年会費の負担がかかる
落札者とのメッセージとのやり取りや発送は、出品者が行う必要があるため手間がかかります。さらに利用するアプリやサイトによっては、手数料や年会費の負担が発生することもネックです。当たり前のことですが、落札希望者が現れなければ粗大ゴミを売ることはできず、売れるまでにかなりの時間を要することもあります。
知人や友人へ譲る
状態が良かったりまだ使えたりする場合は、知人や友人へ譲渡することも可能です。知人や友人へ譲るメリット・デメリットを見ていきましょう。
知人や友人に譲るメリット
知人や友人に譲るメリットは次の通りです。
- 処分費用がかからない
- ものが無駄にならない
知人や友人が近くに住んでいる場合は、取りに来てもらうだけなので送料もかかりません。処分の手続きを行う必要がないことも大きなメリットです。思い入れのあるものを処分しなくて済むので、欲しい人がいないか積極的に知り合いに声をかけてみましょう。この処分方法は顔が広い人におすすめです。
知人や友人に譲るデメリット
知人や友人に譲るデメリットは次の通りです。
- 運搬が必要な場合は手間がかかる
- 引き取り手が見つからない可能性がある
知人や友人が遠方に住んでいたり、車がなくて取りに来れなかったりした場合は、運搬の手間がかかります。郵送する場合も、重くて大きいものだと送料が高くつくでしょう。また、知人や友人が必ず引き取ってくれるとは限らないため、誰にも譲れない場合は別の処分方法を考えなければなりません。
粗大ゴミ回収サービスがある引越し業者5選
粗大ゴミの回収サービスを提供している引越し業者を5社紹介します。粗大ゴミ回収サービスの内容や料金は、下記の表で確認してください。
| 引越し業者名 | 粗大ゴミ回収サービスの内容 | 料金 |
|---|---|---|
| サカイ引越センター |
|
無料 |
| 日本通運 |
|
有料 |
| ハート引越センター | 不用品の回収 | 有料 |
| アーク引越センター | 不用品の回収(一部の廃家電) | 有料 |
| アリさんマークの引越社 | 不用品の回収 | 有料 |
それでは引越し業者ごとの特徴を詳しく解説していきます。
サカイ引越センター
※画像出典：サカイ引越センター公式サイト
サカイ引越センターはこんな人におすすめ！
- 不用品の買取サービスを利用したい人
- ピアノを処分したい人
サカイ引越センターの特徴
サカイ引越センターでは、家電リサイクル法の対象製品以外の粗大ゴミに関しては、基本的に自治体の収集に出すように呼びかけています。しかしエリアによっては、委任状を提出することで粗大ゴミを回収してくれるので、見積もりの際に相談してください。
回収サービスとは別に、一部のエリアでのみ不用品の買取サービスを実施しています。買い取り専用のサイトでは、ブランド品や小型家電の郵送買い取りも行っているので、不用品を売りたい場合はご活用ください。
またヤマハピアノと提携しており、ピアノを処分したい人向けに買取や処分の査定を行っています。詳しいことは見積もり時に営業員へ問い合わせてください。
サカイ引越センターの評判についてさらに詳しく知りたい人は、下記の記事をあわせて読んでみてください。
日本通運
※画像出典：日本通運公式サイト
日本通運はこんな人におすすめ！
- 引越し日までに粗大ゴミの処分が間に合わない人
- 運び出す手間を省きたい人
日本通運の特徴
日本通運では、粗大ゴミの引き取りサービスである引越しオプショナルサービスを、有料で提供しています。粗大ゴミを運びだす手伝いは、引越し作業員にお願いすることができないので、申し込み前に相談する必要があります。また生活ゴミの回収は行っていないので、引越し前に自分で処分してください。
粗大ゴミの回収はエリアによって受け付けできない場合があります。自治体のサービスを利用できるように、粗大ゴミは計画的に処分していくことが大切です。
日本通運の評判についてさらに詳しく知りたい人は、下記の記事をあわせて読んでみてください。
ハート引越センター
※画像出典：ハート引越センター公式サイト
ハート引越センターはこんな人におすすめ！
- 運び出す手間を省きたい人
- 家具を処分したい人
ハート引越センターの特徴
ハート引越センターでは、不良品の回収サービスを有料で行っています。ただし回収できる品目は家具に限られていて、家電や生活ゴミの回収は行っていません。また、粗大ゴミ回収対応について公式ホームページには掲載されていないため、必ず見積もりのときに不用品の回収を依頼したいことを伝えてください。
ハート引越センターの評判についてさらに詳しく知りたい人は、下記の記事をあわせて読んでみてください。
アーク引越センター
※画像出典：アーク引越センター公式サイト
アーク引越センターはこんな人におすすめ！
- 家電リサイクル4品目を回収してほしい人
- 運び出す手間を省きたい人
アーク引越センターの特徴
アーク引越センターではリサイクル券を取り扱っているため、要望があれば家電リサイクル法の対象製品となっている家電4品目の回収を依頼できます。その他の粗大ゴミも回収可能ですが、有料での引き取りとなるので注意してください。また、FC店では家電4品目であっても回収することができません。
アーク引越センターの評判についてさらに詳しく知りたい人は、下記の記事をあわせて読んでみてください。
アリさんマークの引越社
※画像出典：アリさんマークの引越社公式サイト
アリさんマークの引越社はこんな人におすすめ！
- 家電リサイクル4品目を回収してほしい人
- 大型の粗大ゴミを回収してほしい人
アリさんマークの引越社の特徴
アリさんマークの引越社ではリサイクル券を取り扱っているため、家電リサイクル法の対象製品である家電4品目の回収を行っています。生活ゴミ以外の家具や家電の回収も行っていますが、すべて有料です。料金はサイズによって異なりますが、大きいものほど料金は高くなります。
なお、不用品の回収に関する情報は公式ホームページには見当たりません。見積もりのときに、不用品を回収してほしいことを忘れずに伝えてください。
アリさんマークの引越社についてさらに詳しく知りたい人は、下記の記事をあわせて読んでみてください。
まとめ
引越しのときに出る粗大ゴミは、さまざまな方法で処分することが可能です。処分方法ごとにメリットやデメリットがありますが、自治体の処分サービスを利用するのが料金的には一番安く済み、正しい方法で処分できます。ただし回収期間が限られているので、引越しが決まったら早めに粗大ゴミの処分計画を立てることが大切です。
引越し業者によっては、有料で粗大ゴミの回収サービスを提供しているところもあります。粗大ゴミを処分する時間がない人や、お金をかけてでも運び出す手間を省きたい人にはうってつけのサービスなので、自分の状況に適した処分方法を選択しましょう。
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