引越しを機に電力会社も変えてみようかどうか考えているけれど、実際のところどのようなメリットがあるのだろうか、どのようにすれば手続きができるのだろうかと疑問に思っていませんか? 結論から言うと、引越しで電気を切り替えるメリットは十分にあると言えます。手続きも簡単なものとなっているため、切り替え自体のハードルも非常に低いものとなっています。
そこで本記事では、引越しを機に電気の契約を切り替えるメリットやデメリット、手続きについて詳しく解説していきます。切り替え先としておすすめの新電力会社も紹介しますので、本記事を読んでいただければ、電力会社の見直しの全体像が把握できます。これから引越しを予定していて、新居の電気の契約をどうしようか悩んでいる人はぜひご覧ください。
引越しで電気の契約を切り替えるメリット
引越しのタイミングで電気の契約を切り替えるメリットは、以下のように数多く存在しています。
- 電気料金が安くなる
- 自分に合ったプランが選びやすい
- キャンペーンやポイントサービスがある
- セット割引がある
ここではそれぞれのメリットについて解説していきます。料金やプランといった基本的な事柄から、キャンペーンや割引といった細かなサービスについても紹介していきますので、ぜひご覧ください。
電気料金が安くなる
大手電力会社から新電力会社に切り替えると、料金が安くなる可能性が高いと言えます。2016年の電力自由化以降、新電力会社は既存の業界に乗り込むにあたって、これまでよりもずっと安い電気料金を提示するようになりました。
例えば、「NEXTでんき」や「よかエネ」の料金プランは、基本料金が大手電力会社よりもより10%安くなる料金を設定しています。「ソフトバンクでんき」や「楽天でんき」など基本料金の値下げは控えめな会社であっても、後述するように、プランやキャンペーン、割引によって結果的にお得に電気を使えます。
実際に大手電力会社よりも安い値段で電気が使えるかは、新電力会社のサイトなどに用意されているシミュレーターを利用して検証してみると良いでしょう。
自分に合ったプランが選びやすい
既存の大手電力会社よりも、新電力会社の方がプランが豊富に用意されていることが多いです。単身者向け、家族向け、大家族向けといった家族構成から考えるプランや、オール電化住宅や夜間の電気使用量が多い人向けといった生活スタイルに合わせたプランなどが用意されています。
例えば「CDエナジーダイレクト」は一人暮らし、カップルから少人数家族、大家族やペット持ちの人に合わせたプランを提案していたり、「Looopでんき」には家族構成に合わせたプランに加え、再生可能エネルギーの活用や時間帯と季節によって電気料金を安く抑えられるプランがあります。
会社によってプランの内容は異なるため、様々な会社を見比べて、自分に適したものを選ぶことがおすすめです。
キャンペーンやポイントサービスがある
新規契約を呼び込むためのキャンペーンとして期間限定でお得なサービスを提供していたり、電力購入とともに別のサービスを利用するとポイントがもらえる新電力会社もあります。
例えば、ソフトバンクの「ソフトバンクでんき」は、2021年10⽉1⽇から初月の電気料金が無料になるキャンペーンを展開しており、加えてソフトバンク・ワイモバイルのスマホを使用している人はスマホ代が毎月100円割引される「おうち割でんきセット」も適用されます。
また、楽天の「楽天でんき」は、でんきとガスのセット加入で楽天ポイントをプレゼントするキャンペーンを常時開催しています。
セット割引がある
電力購入とともに別のサービスを利用すると、セット割引が適用される新電力会社も多いです。特に電気と並んで重要なライフラインであるガスが割引の対象になりやすいです。
例えば、株式会社Looopの「Looopでんき」にガスをセットにした「Looopでんき+ガス」で契約すると、毎月の電気の従量料金が約2%割引になります。
引越しで電気の契約を切り替えるデメリット
安さやお得さが魅力的な新電力会社のサービスですが、デメリットについてもしっかりと把握しておきましょう。
- 違約金が発生する場合もある
- 倒産のリスクがある
- 切り替えまでに手間がかかる
- 電力会社を選べない場合もある
新電力会社特有の問題から発生するデメリットや、電力会社を変えるという手続きに関してどうしても避けられない問題について紹介していきます。
違約金が発生する場合もある
電気会社との契約満了前に契約を解除することになった場合、違約金が発生する可能性があります。多くの電力会社では最低契約期間が1年となっていますが、中には長期契約することで電気料金が安くなる新電力会社もあり、そのような会社との契約を解除する場合はより注意が必要です。
最低契約期間内の契約解除であっても、事情によっては違約金が発生しないこともあります。違約金の発生条件や、解約にあたっての条件は、契約前に確認しておきましょう。
倒産のリスクがある
新電力会社の多くは自社で発電所を保有していません。これは新電力会社とは市場から仕入れた電力を顧客に販売する小売業者であるということを意味しています。大手電力会社と比較した際のデメリットとしては避けて通れないものと言えるでしょう。
多くの商品がそうであるように、新電力の商品である電気の仕入れ値は市場によって変動します。150円の電気を20円で売らなければいけないという状況に追い込まれてしまえば、大手電力会社と比べて資本規模が小さい新電力会社は倒産してしまいます。実際に、2021年4月に「エフパワー」という新電力会社が243億円の負債を抱えて倒産しました。新電力会社と契約する際には、会社の経営状況についても注意を払う必要があります。
切り替えまでに手間がかかる
電力の小売事業には、2020年の時点で約700社以上が参入しています。そのような状況のため、各社を比較して検討するには多くの時間が必要になってしまいます。つまり自由度が高過ぎる分かえって選びにくいということもあるかもしれません。
そして、電気の切り替えにあたっては手続きと工事が必要ですが、それらが複雑になってしまっている会社も中には存在します。スムーズに電気を切り替えるには、引越しの計画段階から電力会社を選び、手続きと工事の段取りを決めておくことが大切です。
電力会社を選べない場合もある
マンションやアパートの管理会社や管理組合、大家といった、建物の管理者が直接電力会社と契約している場合には、入居者が電力会社を選ぶことはできません。電気契約は大口で契約した方が料金が安くなるため、そのようなケースも数多く見られます。
自分で電力会社を選びたい場合には、新居を決める前に不動産会社と相談をするのが良いでしょう。あるいは、電気契約の管理者へ直接交渉することで、自分で電力会社を選ぶことができるようになるかもしれません。
また、新築物件の場合は、新電力会社では電気設備の導入に対応できないケースが一般的です。このような場合は、まず大手電力会社と契約し設備を整えてもらってから、新電力会社に切り替える流れになります。
引越しで電気の契約を切り替える場合の手続きの流れ
引越しを機に電気の契約を切り替える場合には、以下の手順を踏んで行う必要があります。
- 引越し先で契約する電力会社を選ぶ
- 旧居の電力会社の解約手続きをする
- 新しい電力会社に申し込みをする
それぞれの段階で何をするべきかを順に解説していきます。
STEP1:引越し先で契約する電力会社を選ぶ
引越し先が決まったら、新しく契約したい電力会社はなるべく早く選びましょう。比較サイトやシミュレーターを利用して、どのような会社やプランが自分に合っているのかどうかを考えましょう。
また、料金やサービス内容以外にも確認すべき点はあります。特に引越し先の住所が、その会社の電力の供給エリア内であるか、契約の前提条件になるので、忘れずにチェックをしましょう。
STEP2:旧居の電力会社の解約手続きをする
引越しの1~2週間前までに、旧居の電力会社の解約手続きも忘れずに行いましょう。解約手続きは、電力会社のウェブサイトや電話から行うことができます。電気の解約し忘れると、余計な電気料金の出費が発生する可能性があります。賃貸物件の場合、次の入居者の使用料金が請求されることさえあります。
解約の手続きの際は使用停止日の設定に注意しましょう。引越し日よりも前の日を使用停止日にしてしまうと、まだ人がいるのに電気が使えないという事態になってしまいます。電気の解約には、ガスと違って原則として立会いは不要です。
なお新電力会社によっては旧居の解約手続きを代行してくれることもあります。そのような会社と契約する場合は、前述の手続きが省略できます。新電力会社に申し込みをする際にコールセンターやウェブサイトで確認しておきましょう。
解約に必要な情報
解約に必要な情報は以下の通りです。
- 契約者名
- お客様番号・供給地点番号
- 電気を停止する場所の住所(旧居の住所)
- 電話番号
- 電気使用停止希望日
- 最終月の電気料金の精算方法
お客様番号と供給地点番号は、検針票(「電気ご使用量のお知らせ」と名前が異なる場合もあります)などで確認可能です。料金のコンビニ払いに使用する「払込用紙」とセットになっている事もあります。検針票は電力会社から毎月届く電気の使用状況や料金などを記載した書類で、ポストに投函されるものです。
STEP3:契約したい電力会社に申し込みをする
引越しの10日前までには、契約したい電力会社に申し込みをしておきましょう。入居日直近で申し込みをすると、入居してすぐには電気を使えないという事態になりかねません。申し込みは新電力会社のウェブサイトや電話からできます。契約者の名義や新居の住所、契約したいプランなど必要な情報を揃えて申し込みましょう。
新規契約に必要な情報
新規契約に必要な情報は以下の通りです。
- 契約者名
- 電気を使用する場所の住所(新居の住所)
- 現在契約中の電力会社名とお客様番号
- 希望する契約プラン
- 切り替え希望日(使用開始日)
- 支払い情報(クレジットカードや銀行口座)
新電力会社は支払方法はクレジットカードのみとしていることも多いので、あらかじめ確認しておきましょう。
引越しで電気の契約を切り替える際のポイント
自分にあった電力会社を選ぶには、自分の電力の使い方を把握し理解することが重要です。この項目では、引越しを機に電気の契約を切り替える際のポイントについて紹介していきます。
- 自分の電気使用状況を確認する
- 料金プランを見直す
自分の電気使用状況を確認する
適切な電力会社や料金プランを選ぶためには、自分や家族の1日の電気の使い方を把握することが大切です。
1日を通して電気の使用量にあまり変化がない場合は、電力量料金に時間帯区分がないプランがおすすめです。反対に「夜は電気をたくさん使用する」「昼間はほとんど使わない」など、時間帯によって電力消費量が異なる場合には、電力量料金に時間帯区分ごとに単価設定がされているプランがおすすめです。
電力消費量は検針票の使用料で調べられますが、時間帯ごとの使用量の波などに関してより詳しく知りたい場合にはメーターやウェブサイトで電気使用量を管理できるサービスに加入すると良いでしょう。
料金プランを見直す
新電力の料金プランは大きく分けて2つに分かれています。ひとつは基本料金に使った電力量だけ加算する方式、もうひとつは基本料金は無料で使った電力量だけ支払う方式です。前者は電力消費量の少ない家庭に、後者は電力消費量の多い家庭に向いています。
一見基本無料の後者が圧倒的にお得に見えますが、前者は基本料金と加算料金の両方が大手電力会社よりも安く設定され、後者は大量に使う分には大手電力会社よりも安く(使用料が少ないと割高)設定されています。自分の電力消費量に合わせて料金プランを選びましょう。
また、電力消費量に合わせて契約アンペア数も見直しましょう。アンペア数とは同時に使うことのできる電気の量を指しており、アンペア数が大きいほど料金は高くなります。東京電力のわが家のアンペアチェックのページを利用して試算すると便利です。
一人暮らしの人におすすめの新電力会社2選
一人暮らしの方には「Looopでんき」と「CDエナジーダイレクト」をおすすめします。2社を比較すると以下のようになります。
比較項目 | Looopでんき | CDエナジーダイレクト |
基本料金 | 0円 | 東京電力従量電灯Bと同額 |
対象地域 | 全国(離島を除く) | 東京電力エリア(離島を除く) |
特徴 |
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それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。
基本料金なしの【Looopでんき】
※画像出典元:Looopでんき
Looopでんきはこんな人におすすめ!
- 電気をたくさん使う人
- 40Aで契約したい人
- 解約金や違約金の支払いをしたくない人
Looopでんきの特徴
Looopでんきは、株式会社Looopが経営する新電力サービスです。
基本料金・解約金・違約金の金額が0円であることが特徴です。電気の基本料金は一人暮らしなど電気をあまり使わない人ほど割高になるものですが、Looopでんきでは基本料金が無料になのでかなりの節約に繋がります。
また高アンペアの契約によっても基本料金は高くつくため、たくさん電気を使用し、40Aでの契約を希望している人にとってもうれしいサービスになっています。
普通の一人暮らしの人よりも電気をたくさん使うという人は、Looopでんきをおすすめします。
電気使用量が少ない人がお得になる【CDエナジーダイレクト】
※画像出典元:CDエナジーダイレクト
CDエナジーダイレクトはこんな人におすすめ!
- あまり電気を使わない人
- 電気もガスをまとめて管理したい人
- 光熱費を安くしたい人
CDエナジーダイレクトの特徴
株式会社CDエナジーダイレクトは、首都圏に電力・ガスなどを販売することを目的とした中部電力と大阪ガスの合弁会社です。
一人暮らし向けの「シングルでんき」は、電気とガスを合わせることで地域最安値級の値段を誇っています。解約手数料・解約違約金は基本的に0円ですが、一部プランでは発生する場合があります。Looopでんきとは異なりあまり電気を使わない人向けのサービスで、ガスとセットで契約することで電力会社単体での切り替えでは実現できないほどの節約に繋げることができます。
また、電気代の支払いでポイントが溜まる仕組みとなっており、溜まったポイントはdポイントやTポイントと交換できるのも魅力です。
電気とガスをまとめて管理し、光熱費全体を安くしたい!という人には、CDエナジーダイレクトをおすすめします。
ファミリーにおすすめの新電力会社2選
ファミリー世帯には「楽天でんき」と「エルピオでんき」をおすすめします。2社を比較すると以下のようになります。
比較項目 | 楽天でんき | エルピオでんき |
基本料金 | 0円 |
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対象地域 | 全国(離島を除く) | 北海道・沖縄を除く全国(離島を除く) |
特徴 |
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ファミリー向けのおすすめ新電力会社2社についても、それぞれの特徴を詳しく見てきましょう。
楽天ユーザーにおすすめの【楽天でんき】
※画像出典元:楽天でんき
楽天でんきはこんな人におすすめ!
- 電気代でポイントを貯めたい人
- 楽天のサービスをよく利用する人
- 電気の使用量を可視化したい人
楽天でんきの特徴
楽天でんきは、通販サイトなどで有名な楽天グループ傘下の楽天エナジー株式会社の新電力サービスです。
基本料金が0円で、電気代は使った分だけ加算される方式のため、電力消費量の多い家庭向けとなっています。解約手数料・解約違約金も0円で、スマートメーターの設置サービスも無料で行ってくれるため、電力消費量を可視化したいという人におすすめです。
最大の特徴は、電気料金200円につき楽天ポイントが1ポイントが貯まるサービスを行っていることです。貯まったポイントは電気代の支払いに充てられるだけでなく、楽天市場、楽天モバイル、楽天ペイなどの「楽天経済圏」で利用できます。楽天のサービスを頻繁に利用する人にとっては、節約にもポイント稼ぎにもなります。
楽天のサービスをよく使用するという人には、楽天でんきがおすすめです。
オール電化の家庭なら【エルピオでんき】
※画像出典元:エルピオでんき
エルピオでんきはこんな人におすすめ!
- 関東でオール電化住宅に住む人
- 大人数で住む人
- 関東に住んでいて電気とガスをまとめて安くしたい人
エルピオでんきの特徴
エルピオでんきは、関東を拠点にLPガス(プロパンガス)を供給してきた株式会社エルピオが運営する新電力サービスです。
基本料金は関西、中国、四国、九州、北陸の各電力エリアでは0円です。上記以外のエリア(北海道・沖縄両電力エリアを除く)では基本料金が有料とはいえ、その価格設定は非常に良心的なものとなっています。解約手数料・解約違約金も0円で、特に関東エリアであれば、都市ガスと組み合わせることで、光熱費をまとめて管理・節約できます。
また、東京電力エリア限定ですが、深夜の電気代が安くなる「深夜お得プラン」が用意されています。深夜の電気消費量が多いオール電化住宅にとってはかなりの節約に繋がるサービスのため、条件に該当している方は検討してみると良いでしょう。
関東に家族と引越す、あるいは関東のオール電化住宅に住むという人には、エルピオでんきをおすすめします。
このほかの新電力会社を探す場合は、資源エネルギー庁の登録小売電気事業者一覧のページをご覧ください。
まとめ
引越しを機に電気の契約を新電力会社に切り替えると、電気料金が安くなる、自分に合ったプランが選びやすい、キャンペーンやポイントサービス、セット割引があるといった数多くのメリットがあることがお分かりいただけたと思います。電力自由化によって各電力会社がしのぎを削っている現在、様々なメリットや節約に繋がるサービスが多く展開されているからです。
一方、違約金が発生する、新電力会社の倒産のリスクがある、電力会社を選べないケースもあるなどのデメリットもあります。ご自分を取り巻く環境によって、どのようなサービスが最適かはそれぞれ異なるため、新居での生活スタイルを見きわめて、新しい電力会社を決めることが重要です。本記事ではおすすめの新電力会社もいくつか紹介しましたので、これらを参考にしながら新居での新生活がより良くなるように、電力会社の切り替えを検討してください。
電気の引越し手続きや、引越しを機にしたガス会社の切り替えについては、次の記事で詳しく紹介しています。あわせてご覧ください。


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