家を引越すときは、ガスの引越しを申し込んだり、ガス会社の変更を申し込む必要があります。引越すこと自体が初めてなので、「ガスの引越しを申し込む方法や手順がわからない」という人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、家庭用ガスの種類、都市ガスとプロパンガスの引越し手続き、ガス会社の変更手続き、ガス会社変更で注意するべきことを解説しています。ガスの引越し手続きでよくあるQ&Aについてもまとめているので、初めてガスの引越しを行う人は参考にしてください。
家庭用のガスは2種類ある
ガスの引越し手続きを行う前に、家で使用しているガスの種類を確認しましょう。家庭で使用されているガスは、次の2種類です。
- 都市ガス
- プロパンガス(LPガス)
都市ガスは工場で製造されたガスを導管を通じて直接家庭に供給しています。原料には天然ガスを使用しているので、二酸化炭素の排出量が少ないのと漏れたときに人体に影響が少ないのが特徴です。ガスの導管が引かれているエリアにしか供給できないので、使用できるエリアは限られています。
LPガスは、工場で製造したガスをボンベに充填し、各家庭の家の外に設置して供給しています。冷やすと体積が圧縮できるので、液体のままボンベに詰めることが可能です。都市ガスと比べて料金は割高になりますが、個別供給が可能なので災害時でも復旧が早いという特徴を持っています。
ガスの種類が変わる場合はガス機器の買い替えが必要
引越しによりLPガスから都市ガス、もしくは都市ガスからLPガスに変更になる場合は、これまで旧宅で使っていたガス機器が故障する恐れがあるので注意してください。ガスの種類に適合していないガス機器を利用すると、不完全燃焼や火災を起こす危険性があります。
引越し時にガスの種類が変わる場合は、ガスの種類に適したガス機器に買い替えてください。ガスの種類が変わらない場合は旧宅のガス機器をそのまま使用することができます。
都市ガスの引越し手続き
ガスの種類によって引越し手続きの手順が若干変わります。都市ガスの引越し手続きの手順は、次の通りです。
- 新居のガスの種類・会社・機器を確認
- 旧宅での使用停止を連絡
- 新居での使用開始の連絡
- 旧宅のガスの元栓を閉める
- 新居で開栓作業の立ち会い
都市ガスの引越し手続きの手順を詳しく確認していきましょう。
手続きは1ヶ月~1週間前までに
都市ガスの引越し手続きを始める時期の目安は1ヶ月前くらいです。引越しの1週間前にはガスの使用停止と開始の手続きを済ませましょう。ガスの開栓には必ず立ち合いが必要です。引越しの繁忙期にあたる3月~4月は希望する日時の予約が取りにくくなるので注意してください。
また、3~4月は引越し料金も割高になります。ガスの開通が間に合わないという事態を回避するために、なるべく繁忙期を避けて申し込みましょう。
引越し料金を抑えるコツについて、さらに詳しく知りたい方は下記の記事をあわせて読んでみてください。

STEP1:新居のガスの種類・会社・機器を確認
まずは新しい家で使用できるガスの種類を調べて、契約するガス会社を決めます。引越し先で契約するガス会社を探すときは、次の情報を整理しておきましょう。
- 新居の住所
- 旧宅で契約していたガス会社・プラン名
次にガスの種類に応じたガス機器を用意します。現在使っているガス機器がガスの種類に適合するかどうかを調べるには、ガス機器に貼ってあるステッカーを確認してください。ステッカーが剥がれている、わかりにくい場合は、契約するガス会社に問い合わせましょう。
STEP2:旧宅での使用停止を連絡
引越しする日が決定したら、現在契約中のガス会社に利用停止を伝える必要があります。手続きの方法は電話かインターネットです。手続きの際にお客様番号が必要になるので、ガスメーターのシールか検針票で確認しておきましょう。
ガスの利用停止連絡は、遅くとも引越しの3日~1週間前までに済ませておきます。引越しまで1週間を切ってしまった場合は、会社によって対応が異なるので早めに問い合わせましょう。
下記に主要ガス会社と一般社団法人日本ガス協会へのリンクを設けてありますので参考にしてください。
STEP3:新居での使用開始の連絡
新しい家でガスの使用を開始するためにはガスの開始手続きを行う必要があります。電話やインターネットを使って、ガス会社に連絡してください。新居でのガスの使用開始連絡はSTEP2と同じ時期に行います。引越しギリギリの連絡になると、希望日にガスを開栓できなくなる可能性があるので注意が必要です。
ガスの開始連絡を行うときは、次の情報を整理しておきましょう。
- 新居と旧居の住所
- お客様番号
- 立ち合い希望日時
- ガスの種類
- 支払い方法
繁忙期の場合は予約が取りにくい可能性が高いので、立会いの希望日時は複数考えておくとスムーズです。ガスの開栓時にガス機器の点火テストが行われるので、立ち合いの日に間に合うようにガス機器を搬入しておきましょう。
STEP4:旧宅のガスの元栓を閉める
引越し当日に荷物の運び出しが終わったら、家主が最後に旧宅内にあるガスの元栓を閉めます。引越し後にガス会社の担当者がガスメーターの元栓を閉めるために訪問してきますが、基本的に誰も立ち会う必要はありません。元栓が占め終わったら、ガス料金の精算が行われます。
STEP5:新居で開栓作業の立ち会い
ガスの開栓を予約していた日時になると、新しい家にガスの作業員が訪問してきます。ガスの開栓には立ち合いが必要です。新しい家での開栓作業の流れを見ていきましょう。
- 作業員が訪問してくる
- ガスメーターを開栓する
- ガスの開栓を確認する
- ガスの使用方法を説明する
ガスの開栓作業にかかる時間は10~15分くらいです。ガスの開栓作業時にガス機器が設置されていなくても作業自体には支障がありませんが、点検をしてもらった方が安心できるので、開栓までにガス機器の設置を完了させておくことをおすすめします。
都市ガス会社の変更手続き
ガス小売自由化に伴い、都市ガスの会社は自由に選ぶことができます。ガス会社変更手続きの手順は、次の通りです。
- 変更先のガス会社を選ぶ
- 変更先のガス会社に申込む
- ガス会社が切り替わる
ガス会社変更手続きの詳細を見ていきましょう。
都市ガス会社は自由に選べる
2017年4月から家庭用向けガスの自由化が開始され、自分が自由に選んだ都市ガス会社と契約できるようになりました。これは新たにガス管が増設されるのではなく、どの都市ガス会社も平等に同じガス管を使用してガスを供給できるようになったのです。
STEP1:変更先のガス会社を選ぶ
まずは新しい家で契約する都市ガス会社を選びます。引越し先に都市ガス会社が1つしかない場合は選択肢がありません。そのエリアで新規参入した都市ガス会社があれば、自分の好きな会社を選ぶことができます。
そして、新住所が契約したい都市ガス会社の対象エリアに含まれているかを確認しましょう。インターネットには都市ガス会社の比較サイトも掲載されているので、自分のライフスタイルに合ったプランを選択できます。
都市ガス会社は、資源エネルギー庁のサイトにある登録ガス小売事業者のページでも確認することが可能です。
STEP2:変更先のガス会社に申込む
契約したい都市ガス会社を選んだら、ガス会社変更の申し込みを行います。申込方法は公式ホームページにアクセスするか電話です。申込時に以下のような情報が必要になります。
- 使用番号
- 供給地点番号
引越ししてからでないとこれらの番号を知ることができないので、都市ガス会社の変更は引越し後のタイミングになります。どうしても引越し前に変更したい場合は、大家や管理会社に番号を問い合わせてください。
変更前のガス会社への解約連絡は不要
都市ガス会社を変更するときは、事前にこれまで契約していたガス会社に連絡する必要はありません。ガス会社との解約手続きは、変更後のガス会社が行ってくれます。
STEP3:ガス会社が切り替わる
変更後の都市ガス会社から、切り替え日を知らせるメールやハガキが送られてきます。プランや料金が記載されているので、紛失しないように保管しておきましょう。切り替え日に特別な作業は必要ありません。ガス会社が変更されているかどうかは検針票で確認することができます。
都市ガス会社を変更する場合の注意事項
都市ガス会社を別の会社に変更するときは、次のことに注意する必要があります。
- 変更手続きは引越し後に
- 大家・管理会社に連絡する
- 契約手数料がかかることも
- 長期契約を結ぶ場合は契約期間に注意
- トラブル発生時は一般ガス導管事業者に連絡
都市ガス会社変更時の注意点を詳しく見ていきましょう。
変更手続きは引越し後に
都市ガス会社の変更手続きには、新居の使用番号と供給地番号が必要です。この番号は引越し後にわかるので、都市ガス会社の変更手続きは引越し後のタイミングで行いましょう。
大家・管理会社に連絡する
引越し後に都市ガス会社を変更する場合は、新しい家の大家や管理会社に連絡しておきましょう。工事や設備交換はありませんが、念のため事前に伝えておくと安心です。
契約手数料がかかることも
都市ガス会社の変更による設備工事・設備交換費用はかからないものの、契約事務手数料がかかる場合があります。契約手数料の金額は数千円程度ですが、都市ガス会社に確認して把握しておきましょう。
長期契約を結ぶ場合は契約期間に注意
長期契約による割引や特典を受ける場合、途中で解約すると特典が受けられなかったり、違約金が請求されたりすることがあります。今後も引越しする可能性がある場合は契約期間に注意が必要です。
資源エネルギー庁のサイトでは、次の通り契約前にチェックすべき9項目を公開しています。
- 国の登録事業者かどうか
- いつからガスは供給されるのか
- 契約期間はいつからいつまでなのか
- 契約期間満了後の契約更改手続きはどうなるのか
- 毎月の料金はいくらか・どうやって算定するのか
- 工事に必要な費用はいくらか
- 料金の割引はいくらか・対象期間はいつまでか
- 契約期間内に解約する場合の制約はあるのか
- 解約手数料は発生しないのか・発生する場合はいくらか
少しでも不安や疑問に感じることがある場合は、契約前に都市ガス会社に相談することが大切です。
トラブル発生時は一般ガス導管事業者に連絡
ガスの変更後に何らかのトラブルが発生した場合は、地域の都市ガス会社に連絡してください。たとえ契約する都市ガス会社を変更しても、ガスの保守点検などが必要な場合は、東京ガスなどの一般ガス事業者が引き続き担当することになります。
プロパンガスの引越し手続き
続いてプロパンガスの引越し手続きについて解説していきます。引越し手続きの手順は、次の通りです。
- 新居のガスの種類・会社・機器を確認
- 旧宅での使用停止を連絡
- 新居での使用開始の連絡
- 旧居で閉栓作業の立ち会い
- 最終月分の料金精算
- 新宅で開栓作業の立ち会い
引越し手続きを詳しく見ていきましょう。
STEP1:新居のガスの種類・会社・機器を確認
まずは都市ガスの場合と同様に、新しい家で使えるガスの種類と契約できるガス会社を確認します。その後は、今使用しているガス機器が、ガスの種類に適合するかどうかを確認しましょう。
STEP2:旧宅での使用停止を連絡
引越しする日が決定したら、現在契約しているガス会社の公式ホームページにアクセスするか電話で利用停止の連絡をします。手続きには以下の情報が必要になるので準備しておきましょう。
- 氏名
- お客様番号
- 電話番号
- 引越し日時
- 新居の住所
ガスの引越し手続きは遅くとも引越しの2~3日前までに済ませておくのがベストです。繁忙期は混み合う可能性が高いので、日にちに余裕を持って手続きを進めましょう。
STEP3:新居での使用開始の連絡
STEP2と同じ時期に、契約する予定のガス会社にインターネットか電話でガス利用開始の連絡を行います。ガスの開栓時には立ち合いが必要です。混んでいて予約が取れない可能性があるので、立ち合い希望日時は複数考えておきましょう。
新居でも同じ会社と契約する場合は
新しい家でも引き続き現在契約中の会社と契約する場合は、利用停止ではなく住所変更の手続きを行ってください。住所変更手続きもホームページや電話で行うことができます。
STEP4:旧居で閉栓作業の立ち会い
引越し日後、閉栓作業を行うためにガス会社の作業員が旧居を訪問します。都市ガスとプロパンガスの異なる点は、閉栓作業の立ち合いが必要なことです。プロパンガスの変更手続きでは、閉栓と開栓共に立ち合う必要があります。
STEP5:最終月分の料金精算
閉栓作業が終わったら、最終月のガス料金の精算が行われます。ガス料金は前月の検針日から閉栓日までを日割りで算出します。閉栓作業後に現金で支払うか、口座引き落としにするかを選ぶことが可能です。予約が取れなくて閉栓作業が遅れてしまった場合は、余計な料金を支払うことになるので注意してください。
STEP6:新宅で開栓作業の立ち会い
予約した開栓日になると、作業員が新しい家を訪問します。都市ガスと同様に開栓作業と使用方法の説明が行われます。ガス機器の安全検査も行われるので、作業時間は30分が目安です。給湯器の試運転を行う場合は、事前に電気と水道を開通しておきましょう。
プロパンガスの引越し・会社変更に関する注意点
プロパンガスの引越し手続きや会社変更の際にも、以下のような注意が必要です。
- 旧宅が空き家になる場合はガスボンベを外してもらう
- 新居のガス会社を自由に選べないこともある
気をつけるべきところを詳しく見ていきましょう。
旧宅が空き家になる場合はガスボンベを外してもらう
旧宅が空き家になる場合は、転倒事故を防止するためにボンベを撤去してもらう必要があります。撤去作業にかかる費用は無料なので、忘れずにガス会社に連絡してください。
新居のガス会社を自由に選べないこともある
新しい家が戸建ての場合はガス会社を自由に選べるケースがほとんどですが、エリアによっては床下にガス管が通ってない場合もあります。この場合は、契約できるガス会社が限られてしまうでしょう。また、アパートやマンションなどの賃貸・集合住宅の場合は、契約できる会社が大家や管理会社によって決められていることが多いです。
【Q&A】ガスの引越し手続きに関するよくある質問
最後にガスの引越し手続きでよくある質問に回答していきます。
- 新居での開栓作業に立ち会えない場合は?
- 引越し手続きを忘れてしまった場合は?
- 旧宅のガスはいつまで使える?
- 旧宅の最終月分の利用料金の精算は?
わからないことは、ガスの引越し手続きを行う前に解消しておきましょう。
新居での開栓作業に立ち会えない場合は?
事情があって契約者がガスの開栓作業に立ち会えない場合は、家族や知人などの代理人に頼んでも構いません。契約者が当日立ち会えないこと、立ち合いを代理人にお願いしていることを忘れずにガス会社の担当者に伝えてください。
引越し手続きを忘れてしまった場合は?
ガスの引越し手続きを忘れてしまった場合は、なるべく早く手続きを行うことが大切です。旧居の閉栓作業が遅れてしまうと、ガス料金を余分に支払うことになってしまいます。電気と水道は手続きなしでも使用可能ですが、ガスは開栓作業をしなければ使用できません。手続きが遅れるとガスが使えない不便な日が続くことになってしまうので、注意しましょう。
旧宅のガスはいつまで使える?
旧宅でのガスの使用停止連絡を行った後は、引越し日当日に閉栓作業を開始するまでガスを使うことができます。閉栓作業後はガスを使うことができなくなるので、注意が必要です。
旧宅の最終月分の利用料金の精算は?
最終月分のガス料金は、月初からガスの閉栓作業を行った日までを日割り計算して算出します。クレジットカード払いや口座振替で支払っている場合は、最終月のガス代も口座から引き落としになる場合が多いです。ガスの閉栓作業後にその場で支払うことも可能なので、現金払いを選択したいときはガス会社に問い合わせてください。
まとめ
家庭で使用しているガスは都市ガスとプロパンガスの2種類です。引越しのときはガスの引越し手続きを行う必要があります。都市ガスとプロパンガスでは手続きが若干異なるので、当日になって焦らないよう事前に手順を把握しておく必要があります。
他の都市ガス会社に変更したい場合や、プロパンガスから都市ガスに変更したい場合は、ガス会社の変更手続きも必要になります。手続きの手順や気をつける点をしっかり確認しておきましょう。引越しの繁忙期になると手続きに時間がかかる恐れがあります。ガスの引越し手続きをスムーズに進めるために、手続きは時間に余裕を持って早めに行ってください。
ガスや電気などの引越し手続きについては、次の記事でも紹介していますので、ぜひご覧ください。


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