家を建築予定の方は木造住宅を検討している方も多いでしょう。鉄骨造などに比べてコストが抑えられ、構造や素材にこだわることで丈夫な家を建てることが可能です。
今回は木造ハウスメーカーの選び方のほかに、特に木造で定評があるハウスメーカー6社についてもそれぞれの特徴と共に紹介します。また木造での住宅選びのポイントにも触れるので、ぜひ念頭に置いて検討してください。
※LIFULL HOME'S 住まいの窓口来場者(390組)を対象とした調査(集計期間:2019年4月~2020年3月)より
木造ハウスメーカーの選び方
木造ハウスメーカーを選ぶ際は以下のポイントを確認しましょう。
- 木造住宅の性能
- 木造住宅の工法
- 住環境にマッチするか
- デザイン
- 営業マンの提案
木造住宅において、性能や工法は優先度が高いポイントです。例えば耐震性能などは、直接的な家の強度に関わってくるためです。また特出する住環境であったりデザインにこだわりたいなど、どこに焦点を当てるのかについても決める必要があります。
以下でそれぞれのポイントを詳しく解説していきます。
木造住宅の性能をチェックする
木造住宅の性能として見るべき部分は以下の5つです。
- 耐震性能
- 耐火性能
- 気密性能
- 防音性能
- シロアリ被害への対策
木造だからこそ耐震性能や耐火性能、シロアリへの対策などは、住宅の寿命やリスクに直結するものです。気密性能や防音性能など、住宅の住みやすさにつながるポイントを重点的に見ていきましょう。
以下で各項目の詳しいポイントを解説します。
耐震性能
耐震性能を見る際は、耐震等級という地震に対する強度を表す評価を確認しましょう。等級は以下の3段階に分かれており、数が増えるほど強度が強くなっています。
これらは1981年に改正された建築基準法の新耐震基準をベースに、震度5強までが中規模地震、震度6強~震度7程度を大規模地震と想定して、それに耐えうる基準値として定められています。
評価段階 | 内容 |
耐震等級1 | 震度7~震度6強の地震にも耐えられる強度 |
耐震等級2 | 耐震等級1を基準とし、1.25倍の強度 |
耐震等級3 | 耐震等級1を基準とし、1.5倍の強度(最高値) |
つまり耐震基準1なら中規模地震は軽い損傷で済み、大規模地震でも倒壊しない強度があるということが証明されます。そして等級が上がるごとに、その1.25倍~1.5倍までの強度を有するものとなるのです。
そのため耐震性能を見る際は、耐震等級の評価がより高いほうが安全性もより高い家であるといえるでしょう。

耐火性能
耐火性能はハウスメーカーごとの独自の取り組みがあるため、どのようなこだわりがあるのか確認していきましょう。耐火性能は、例えば以下のような点で確認できます。
- 燃えにくい建築材料を使っているか
- 耐火性能が高い工法か
燃えにくい建築材料であれば、防火材料である不燃材料や準不燃材料、難不燃材料のいずれかに指定されたものが基本です。ハウスメーカーが以下の基準と材料を使用しているかを確認するようにしましょう。
指定項目 | 材料 | 炎に耐える時間 | 法令上の定義 |
不燃材料 |
|
20分 | 建築基準法 第2条第9項(e-gov) |
準不燃材料 |
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10分 | 建築基準法施行令 第1条第5号(e-gov) |
難燃材料 |
|
5分 | 建築基準法施行令 第1条第6号(e-gov) |
自宅の耐火性を高めたいなら、防火材料を使用するのがおすすめですが、建築コストが1~2割程度上がる可能性があるので、設計者とよく相談しましょう。
また耐火性能が高い工法では、ツーバイフォー工法であるかも注目すべき点です。ツーバイフォー工法は簡単にいうと、箱型に建築する方法です。壁の中には防火性能を有する枠組が使用されていますが、これをファイヤーストップ材と呼び、もし火事になっても炎が拡がることを防ぐ効果があります。
なお、不特定多数の人が利用する建物(特殊建築物)や、防火地域・準防火地域に指定されている地域では、内装に防火材料を使うことが法律や条例などで定められています(注1)。自宅が防火地域・準防火地域の中にあるかどうかは、市区町村の都市計画課・建築指導課や図書館などにある都市計画図で確認してください。
(注1)内装制限:建築基準法 第35条の2、同法第40条など
気密性能
気密性能に関しては、住宅の隙間を数値化したC値という数値をチェックしましょう。この数値が低いほど家の気密性能が高く、室内の温度を保つ能力に優れています。C値を計算するためには以下の計算式を使用してください。
このC値は、一般的に10平方センチメートル/平方メートルが平均といわれていますが、ハウスメーカーによって基準が異なることも多いです。そのため平均値を念頭に置きつつ、担当者に問い合わせるなどしてC値の基準を質問してみましょう。
防音性能
防音性能はどのような防音資材を使用しているかが重要です。従来の木造住宅では、防音性能があまり高くないことが欠点として挙げられていましたが、建築技術が向上したことにより木造でも高い防音性能を保つことも可能になりました。
具体的に防音性能が高いのは以下の質材を使用している住宅です。
防音箇所 | 防音質材 |
床 |
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内壁 |
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天井 |
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窓 |
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玄関 |
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外壁 |
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屋根 |
|
このような材料を使用して防音性能が高めているかに注目してみましょう。ハウスメーカーは上記のような質材を使用しつつ、独自技術で防音性を高めている会社もあるため、それも合わせて確認することがおすすめです。
シロアリ被害への対策
木造ではシロアリ被害は憂慮しなければならないポイントです。そのため対策として防蟻シートを使用しているか、木材にシロアリ対策の薬剤を注入しているかなどを確認しましょう。
また、湿気が多いとシロアリやダニもわきやすくなるため、湿気対策を施しているかも重要です。特に窓周りと壁の中は、湿気がたまりやすく結露なども多くなります。そのため、通気性がよく断熱性が高いなどの湿気対策が十分かどうか、確認することがポイントです。
木造住宅の工法で選ぶ
木造住宅は主に以下の2つの工法があります。
- 木造軸組工法(在来工法)
- 木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法など)
コストパフォーマンスが高かったり、早く建築することができたりとそれぞれに特徴があるため、ニーズに合った工法を選択することが大切です。ここからは2つの工法について解説していきます。
木造軸組工法とは
木造軸組工法とは柱と梁を組み合わせて建てる工法で、古くから日本で使用されてきたものです。そのため在来工法とも呼ばれ、多くの住宅がこの工法で建てられてきました。比較的建築費用が安く間取りの自由度が高いため、好きな空間に設計できることが大きな特徴で、以下のようなニーズがある方に向いています。
- 安く木造住宅を作りたい人
- 間取りにこだわりたい人
木造枠組壁工法とは
木造枠組壁工法はツーバイフォー工法や2×6工法など、枠に板を貼ってパネル壁を作る工法などが当てはまります。事前に工場で住宅のベースを製造し、それを現場に持ち込んで組み込むため、建築期間が従来より短いことが特徴です。
そのため、以下のようなニーズがある人に向いています。
- 早く木造住宅を建てたい人
- 間取りはベーシックなものを好む人
住環境にマッチする木造住宅を選ぶ
住環境は気候などに特徴がある地域に住んでいる方は、特に考慮すべきポイントといえます。例えば雨が多い、寒暖差や積雪がある、温暖地域であるなど地域ごとに特出する点がある場合は、それに合った木造住宅を建てることがおすすめです。
具体的には近隣エリアで建築実績があり、環境に合ったプランを提案できるハウスメーカーを選ぶようにしましょう。積雪が多い地域であれば、それに耐えうる工法・材料を使用したもので、寒さや積雪に耐えうる頑丈な住宅でなければなりません。台風が多い地域であっても同様です。
長く住むためには実際に住環境に合っている木造住宅でなければ、快適に住み続けることは難しくなってしまうでしょう。
デザインで選ぶ
デザインはハウスメーカーによって得意とする傾向があります。そのため、具体的に理想とするデザインやスタイルを定めていきましょう。
- 和風スタイル
- 洋風スタイル
- モダンスタイルなど
どのようなスタイルにするのかのイメージを固め、好みのデザインの住宅を扱っているハウスメーカーを選ぶのもおすすめです。
デザイン性の高い工務店を紹介したこちらの記事もおすすめです。
営業マンの提案力
最後にポイントとなるのが営業マンの提案力です。木造住宅といってもさまざまな材料や工法があるため、自身のニーズに合った商品やサービスを提案でき、知識が豊富な担当者であるかを確認してみましょう。
疑問に思っていることや気になっている工法などについて質問し、やり取りを通じて安心して任せられるかどうかを判断してみてください。
おすすめ木造住宅ハウスメーカー6選
ここからは、おすすめな木造住宅ハウスメーカーを厳選して紹介していきます。選び方の項目で気になったポイントを踏まえ、自身の希望と各特徴を照らし合わせて見ていきましょう。
会社名 | 構造 | 特徴 |
積水ハウス | 造軸組構法/シャーウッド構造 |
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住友林業 | ビックフレーム構法 |
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ミサワホーム | 木質パネル接着工法 |
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三井ホーム | プレミアム・モノコック構法 |
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一条工務店 | ツインモノコック構造 |
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アイフルホーム | 木造軸組工法 |
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積水ハウス
※画像引用元:積水ハウス公式サイト
積水ハウスはこんな人におすすめ
- 木造住宅で吹き抜けなどの大きな空間を作りたい
- 強度が高く安全性が高い木造住宅を作りたい
- 省エネ力が高く経済的なZEH基準を多く使用するメーカーを選びたい
積水ハウスの特徴
積水ハウスは、新築注文戸建住宅の実績で首位を取ったこともある大手ハウスメーカーです。木造住宅では独自の加工を施した質材を使用し、高強度な壁と床を組み合わせて作る、木造軸組構法・シャーウッド構造を得意としています。強靭な構造なため木造住宅では難しいとされている、大きな吹き抜けなども作れることがメリットです。
また高級感のあるデザインも特徴で、内装もニーズに合わせた間取りを組み合わせることができます。
住友林業
住友林業はこんな人におすすめ
- 予算やニーズに寄り添った提案を受けたい人
- 耐震性・耐久性が高い構造の木造住宅を建てたい人
- 将来的に間取りの変更もできる木造住宅を希望する人
住友林業の特徴
住友林業が造る木造住宅は、材質にこだわり調湿機能に優れた木材を使用しています。そして強靭でしなやかなビックフレーム構法は、大きな室内空間を叶えつつ耐震性・耐久性にも優れています。さらに実際に振動実験も行っているため、地震への懸念が高い方も安心が担保されていることが魅力です。
ビックフレーム構法は間取りの自由度が高く、それぞれの家族構成や生活スタイルに合わせた家を建てられます。年月が経つにつれ家族構成に変更があった際も、リビングを拡げたり寝室を増やしたりすることも可能で、柔軟性が高いことも特徴です。
ミサワホーム
※画像引用元:ミサワホーム公式サイト
ミサワホームはこんな人におすすめ
- デザイン性が高く住みやすい木造住宅を求める人
- 収納性が高い家を求める人
- より過ごしやすい家を求める人
ミサワホームの特徴
ミサワホームが提供する木造住宅は、柱や梁にMJWoodという構造用集成材を使用しており、強度が高く劣化にも強いという特徴があります。さらに木質パネル接着工法という面で衝撃を分散する工法で地震にも強く、長く住み続けられる木造住宅を叶えてくれます。
また中二階に収納スペースを作る蔵のある家も、ミサワホームの代表的な特許商品です。天井高140cmほどの収納空間を作ることができるため、人数が多い家庭やものが多い方に向いています。
三井ホーム
※画像引用元:三井ホーム公式サイト
三井ホームはこんな人におすすめ
- 気候の差があり、室内環境を安定させたい人
- トータル的に高品質であらゆるリスクに備えた木造住宅が欲しい人
- 地震に強く、長く居住できる家が欲しい人
三井ホームの特徴
三井ホームの木造住宅はツーバイフォー工法を独自技術で進化させ、日本の土地に合わせた耐震性・耐久性・断熱性を持つ、プレミアム・モノコック構法が大きな特徴です。質材はカナダ産の高品質構造材を使用しており、軽く丈夫な木造住宅が作れます。
さらに屋根や壁、床、基礎にもそれぞれこだわり、独自のノウハウで熱を遮断する屋根や災害に強い壁や床で安心を叶えます。また壁に厚みがあるため気密性と遮音性が特に高く、室内が暖かく過ごしやすいことも魅力です。
一条工務店
※画像引用元:一条工務店公式サイト
一条工務店はこんな人におすすめ
- 寒い地域などで木造住宅を建てたい人
- 高性能な住宅を適正価格で建てたい人
- 地震に強い木造住宅が欲しい人
一条工務店の特徴
一条工務店の木造住宅の特徴は、パネルを組み合わせて作り面で地震などの力を吸収し、歪みにくく丈夫な木造を叶えたツインモノコック構造です。力が分散することで、従来の木造軸組工法より耐震性が高いなります。さらに、耐力壁という地震などの揺れに強い壁を等間隔に使用することで、地震のしなりに強い家づくりを叶えることができるでしょう。
また断熱材やサッシにこだわり、自社グループで独自に気密性能の高いものを開発して使用しているため、室内の温度が保たれやすいことも魅力です。こうして高性能な木造住宅でありながら、コストパフォーマンスも高い点も強みといえます。
アイフルホーム
アイフルホームはこんな人におすすめ
- ローコストで木造住宅を建てたい人
- シンプルな木造住宅を希望する人
- 多くの間取りパターンの中から選びたい人
アイフルホームの特徴
アイフルホームは、ハウスメーカー以外にも構造材や住宅設備を扱うグループ会社があります。そのため家を建てる際に、それらの材料をグループ会社から一括購入でき、比較的低コストで高品質な木造住宅を建てられることが大きな特徴です。
コストは抑えていますが耐震等級3の地震対策を行っており、リスク管理への意識も高いハウスメーカーといえます。また、構造はシンプルな木造軸組工法を基本としていますが、梁と床を一体化させて強度を高める剛床工法を採用しているため、シンプルでありながら頑丈な木造住宅です。
さらに間取りパターンが多めでモデルルームも各所に展示しているため、家を建てたい人が実際の住宅を確認しやすいことも魅力といえるでしょう。
木造ハウスメーカー選びのポイント
最後に木造住宅のハウスメーカー選びで注意すべき3つのポイントを紹介します。
- 建築後のメンテナンス対応も確認
- 見積もりは複数のハウスメーカーに依頼する
- 住宅相談サービスを利用する
以下で詳しく解説していきます。
建築後のメンテナンス対応も確認
ハウスメーカー選びの際はさまざまなリスクに備え、メンテナンス対応をしっかり行ってくれるかを確認することをおすすめします。住宅は年月により壁や柱、基礎などが劣化するため、定期点検はもちろん結果次第ではいずれ修繕も必要になるでしょう。
その際に住宅の基礎や壁、柱、屋根の雨漏りなどは、住宅品質確保促進法によって10年間は保証されます。そのため、特にこの10年以降のメンテナンス対応に加え、それ以外の保証なども確認してみてください。ハウスメーカーによってメンテナンスのサービス内容は異なるため、その点も注意しましょう。
見積もりは複数のハウスメーカーに依頼する
ハウスメーカー選びでは、複数社に依頼することも大切です。複数社に依頼することで適正価格であるかを見極めやすくなり、各メーカーのプランの違いも比較することができます。
比較することで、より自分に合ったハウスメーカーを厳選することができるため、必ず見積もりは複数社に依頼するようにしましょう。
家づくり・住まい選びに関する相談ならHOME’Sの「住まいの窓口」がおすすめ
家づくり・住まい選びで悩んでいるならHOME’S 住まいの窓口に相談するのがおすすめです。HOME’S 住まいの窓口がおすすめな理由を以下にまとめています。
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住宅相談サービスを利用する
もし木造住宅をどんなものにするか悩んでいたり、工法などで疑問点があったりする場合は住宅相談サービスを利用することをおすすめします。住宅相談サービスでは、住宅専門のアドバイザーに直接相談することが可能で、疑問にも回答してもらえます。
これらの多くは無料で受けられることも多いため、気軽に利用できるでしょう。さらに相談内容から、希望する住宅を扱う提携ハウスメーカーを紹介してもらうことも可能です。また、オンライン相談を受け付けている住宅相談サービスもあるため、足を運ぶ余裕がない方も相談を視野に入れてみてはいかがでしょうか。
まとめ
木造のハウスメーカーといっても、それぞれに工法や強みが異なります。例えばツーバイフォー工法やツインモノコック構法でも地震に対する対策や性能は異なり、どちらが優れているのか甲乙つけがたいケースが多いです。そのため見た目だけにとらわれず、どれが自分にとって安心して住み続けられるかをよく検討することが大切といえます。
本記事で紹介した各ハウスメーカーを比較し、支持できる性能・工法を見極めていってください。
※「マイナビニュース不動産査定」は以下に記載されたリンク先からの情報をもとに、制作・編集しております。
・https://www.land.mlit.go.jp/webland/
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