いま日本では、デジタルトランスフォーメーション(DX)への投資の差が企業の成長率を左右すると言われています。しかし、経済産業省の報告書「DXレポート2.2」によると、2022年末時点で、企業のDXの取り組み状況は芳しくなく、企業のIT・デジタル投資の内訳は、8割が既存ビジネスの維持・運営にまわされ、DX推進への投資は依然低調なまま。経済産業省や情報処理推進機構(IPA)がDX推進に必要なガイドラインや評価指標を公表し、企業のDXを後押しするも、そのような情報も企業に十分に届かず、DX推進の効果も、DX推進の進め方もわからない企業が依然多いようです。そこで本記事では、改めて、DX推進のステップをわかりやすく解説するとともに、DX推進のコツや陥りがちな課題を解説していきます。
DXとは? IT化やデジタル化と何か違う?
DXの定義と目標(ゴール)は?
DXとは、デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略で、「デジタル変革」を表す用語です。デジタル活用により、企業や組織の将来のビジョンを共有し、組織変革を推進することを表しています。
DXの目的は、企業の業務効率性を高めることで人材を活用するとともに、競争力を高めることが挙げられます。同様に企業が抱える課題を解決し、経営の安定性を高め将来的な成長を促進することが期待されます。
DX実現に向けて、企業では達成すべき目標を設定し、可視化することで実現可能性を高め、デジタル移行を促進します。DXの実現には組織改革が求められるため、目標の設定は欠かせないものとなります。
DX推進のステップは?
経済産業省は、企業がDXの具体的なアクションを設計できるように、DXを以下の3つの段階に分解して説明しています。「DXは何からすればいいのか?」と、わからない方は、まずは、以下の3つの違いを理解することが重要です。詳しくはこの後で解説していきます。
- 「デジタイゼーション」
- 「デジタライゼーション」
- 「デジタルトランスフォーメーション」
DX化へのステップ1:デジタイゼーション
デジタイゼーションとは?
デジタイゼーション(Digitization)とは、業務プロセスの一部のデジタル化です。会社の業務で手作業で行っていたり、紙や印刷を使って行っている作業をデジタル化したり、ペーパレス化して、業務負荷の軽減や作業効率化を目指すことを指します。経済産業省ではこの段階を、「アナログ・物理データのデジタル化の段階」と定義しています。
この段階では、アナログ製品に代えて製品のデジタル化を進めるとともに、業務や製造工程などを紙や人手から電子化を進めていきます。具体的な作業として、業務をデジタル化できる部分を特定してITツールを導入したり、ITプラットフォームを整備しデータの移行性を高めることを主眼とします。
業務のデジタル化に便利なITツールを紹介しましょう。
具体例1:オンライン会議システム
業務のデジタル化の第1歩として、オンライン会議システムが有効です。これまでの対面活動は、2020年に発生した新型コロナウィルスの影響でテレワークに急速にシフトしています。デジタルツールであるオンライン会議システムを活用し、会議の質を向上し業務効率を改善しましょう。会議室のコスト削減や移動時間の削減効果も高く、無駄な支出や時間の浪費削減が期待できます。
オンライン会議システムは、数多くありますが、ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなどがよく利用されています。
具体例2:ビジネスチャットやコラボレーション
チームメンバーとのコミュニケーションを円滑に行い、意思疎通を図るために便利なITツールを導入しましょう。
主なツールとしては、Chatworkやslack、Microsoft Teamsなどがあります。統合環境としては、Microsoft Office 365やGoogle Workspaceなどを生産性向上のグループウェアとして採用している企業が増えています。
これらのITツールにより、お互いの考え方を整理するとともに記録することで議事録を作成し、手戻り防止に役立てることもできます。また、対面のアナログ的な情報共有をデジタル化し、作業進捗を可視化することで生産性も高まります。
具体例3:クラウドサービス
クラウドサービスとは、ITシステムを所有型から利用型に切り替えることによる、ITリソースの有効活用とコスト削減効果が期待できる提供方式です。共通提供されるパブリック型から、自社内に構築するオンプレミス型まで各種の形態があります。
特にパブリッククラウドは、自社に専門家を配備することなく、遠隔でリソース割り当てを行いますので、人的な資源の確保についても中小企業でも採用が増加しています。IT資産を所有することがない上に、急速な業務拡大にも効率的に資源を確保し、業務活用できる特徴があります。
アプリケーションサービスについても、利用料に応じた請求形態が増えており、スモールスタートが可能のため利用価値が高まっています。パブリッククラウドは、AWSやAzure、Google Cloudなどがよく利用されます。
DX化へのステップ2:デジタライゼーション
デジタライゼーションとは?
デジタライゼーション(Digitalization)とは、業務や製造プロセスのデジタル化や、ワークフローのデジタル化です。経済産業省の「DXレポート2」では、「個別の業務・製造プロセスのデジタル化」と定義されています。
具体的には、特定の業務プロセスをまるごとデジタル化し、作業の効率化や自動化、省人化をはかり、作業負荷の軽減や生産性の向上、業務のスピードアップを目指します。ただしこの段階では、企業全体のデジタル化やビジネスモデルの変革はまだ実現していません。
では、デジタライゼーションに有効なITツールを紹介していきましょう。
具体例1:営業活動のデジタライゼーション「SFA」
SFA(Sales Force Automation)は、デジタル営業活動を支える営業支援システムです。顧客自体の管理から、案件管理・日報やスケジュール等を統合的に判断できるよう分析することができます。見込み客の訪問やアクション、内勤メンバーのバックアップ指示など多方面で営業活動をサポートします。システムの代表例は、セールスフォースやMicrosoft dynamics 365、eセールスマネージャーなどがあります。
これまで営業活動は対面が基本でしたが、すでにテレワークやリモート面談などにより顧客応対もデジタルツールの活用が求められています。デジタイゼーションで例示したデジタルツールを利用するだけではなく、上記のSFAのようなITツールで戦略的に顧客情報を分析することで、営業活動をより受注に向けて効率的に行うことができます。
具体例2:管理部門のデジタライゼーション「電子契約」
業務のペーパレス化には電子契約システムの導入が有効です。インターネットを活用してPDFによる契約締結を行います。電子帳簿保存法が施行されたことで、導入企業が増えており、公的機関でも利用が進んでいます。収入印紙が不要となり、当事者が集まって押印する手間も解消されます。このことで契約までの時間も短縮できますので、受注サイクルの短縮が期待できます。
主なシステムとしては、クラウドサインやマネーフォワードクラウド契約、電子印鑑GMOサインなど数多くあります。
具体例3:製造業のデジタライゼーション「IoT」
IoTは、モノのインターネットです。製品の高機能化によりスマートデバイスとして生活を豊かにしていますのでご存知の方も多いでしょう。
製造業に関して考えると製品自体のデジタル対応も求められますが、製造工程もIoTを活用することで、デジタル化(デジタライゼーション)に役立てることができます。IoTを活用することで、従来のOTと言われるアナログ情報をデジタル情報に置き換えることが可能で、汎用デジタルデータとしてコンピュータに情報を取り込むことができます。これにより、製造システムの稼働状況や異常の有無のモニター、生産工程の品質検査データの分析など、製造工程全般の効率性を高めることができます。製品品質の改善、生産効率の向上、ラインの稼働効率向上など、多くのメリットがあります。
DX化へのステップ3:デジタルトランスフォーメーション
デジタルトランスフォーメーションとは?
デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)について経済産業省ではこの段階を、組織を横断する全体の業務・製造プロセスのデジタル化の段階と定義しています。このステップは、企業における価値を創出した新規事業にデジタルを活用し、ビジネスモデルの変革を伴う段階となります。
この段階では、製品自体がデジタルサービスとして提供され、必要となる業務も共通業務のみならず顧客向け個別業務もデジタルでカバーされます。これまでのITプラットフォームからデジタルプラットフォームへ完全に移行した段階です。
「攻めのIT経営」と「DX」に取り組む企業のDX事例の探し方
既に「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組む企業のDX事例を探すなら、是非参考にして欲しいのが「DX銘柄企業」です。
「DX銘柄企業」とは、経済産業省が東京証券取引所と共同で、デジタル技術を前提として、攻めのIT経営を行い、ビジネスモデル等を抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていく「デジタルトランスフォーメーション(DX)」に取り組む企業を、「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」として選定したもの。このDX銘柄企業の一覧と、DXの取り組み事例は以下から確認できます。
参考:経済産業省 デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)
参考:経済産業省 「DX銘柄2022」選定企業一覧
では、2022年に「DX銘柄」に選定された企業の中から、「DXグランプリ2022」として表彰された、中外製薬株式会社・日本瓦斯株式会社の2社のDX事例を紹介しましょう。
DX事例1:中外製薬株式会社
中外製薬株式会社では、医療業界を取り巻く環境の変化に対応するため成長戦略のキードライバーの1つに、デジタルトランスフォーメーションを位置付けています。成長戦略「TOP I 2030」とデジタル推進の方針「CHUGAI DIGITAL VISION2030」を掲げ、デジタル基盤強化に取り組んでいます。取り組みとして、デジタル業務改革やデジタル人材育成、デジタルデータの利活用を安全性を確保しながら進めています。データ分析にAIを活用し、医療におけるリアルワールドとの整合性を高めて有効性を高めています。
参考:経済産業省 「DX銘柄2022」選定企業レポート/中外製薬の紹介より
DX事例2:日本瓦斯株式会社
日本瓦斯株式会社は、ラストワンマイルでガスや電気エネルギーを供給するエネルギー事業を展開しています。エネルギー事業は、従来よりも重要性が高まっており、環境問題を含めた経営課題としてデジタルトランスフォーメーションを位置付けています。中心事業をガスや電気の小売から、広くエネルギー事業へと転換・進化させる「NICIGAS 3.0」を制定し、事業のリスクや課題を整理して包括的に取り組みを進めています。ガスメータのデジタル化による情報活用を推進し、AIを活用したデータ分析から社会活動全体の効率性を高め、企業価値向上を狙います。
参考:経済産業省 「DX銘柄2022」選定企業レポート/日本瓦斯の紹介より
DXを自社で組織的に進めるための具体的な手順
組織的に進めるためのポイントがある
DXとは「デジタイゼーション」「デジタライゼーション」「デジタルトランスフォーメーション」の3つの段階を経て、実現していくことがお分かり頂けたことでしょう。
では、実際に企業が組織的にDXを進めるには、具体的にどのような計画で実践すればいいのでしょうか? 実は、経済産業省では、企業がDXを進める際に迷ったり悩んだりしないように、具体的なガイドブックを用意しています。それが以下の3つです。
「DX推進指標」とは、企業が自社の課題を把握するためのDX自己診断ツールです。自己診断ができた後で、実際にDXを進めるノウハウが詰まっているのが「デジタルガバナンス・コード」です。そして、ITシステム構築面の技術的な専門ガイドが「DX実践手引書」です。
これら3つの資料の詳細は本記事の後半に改めてまとめて解説します。まずは、DXの進め方のイメージを持って頂くために、これら3つの資料を踏まえて、DXを組織的、かつ計画的に進めるための全体の流れとポイントを解説していきます。
進め方①経営トップを巻き込む
デジタルトランスフォーメーションの最終目標は、デジタルによりビジネスモデルや業務プロセスを改革し、企業文化を醸成することです。そのために、経営トップは誰かに指示するだけでは何も変わりません。積極的な関与(=コミット)が必要で、「企業戦略として将来の成長をデジタルトランスフォーメーションにより達成すること」を企業内外に掲げることで組織改革が進んでいきます。デジタル技術を活用した企業のビジョンを社内外で共有します。
進め方②DX化の目的を、企業の経営戦略と融合する
企業は、ビジョンを具現化するためにデジタル技術を活用することで推進力をより高めます。そこで、企業のあるべき姿、目指す姿を長期経営計画にまとめることが重要です。その考え方(ビジョン)を具現化するために、中期経営計画を策定します。
企業のデジタルトランスフォーメーションによって進む変化の方向性は、企業によって異なります。ここではデジタル技術は企業にとって必須のものととらえて、中期経営計画を策定します。DXという用語は魔法の杖ではありません。変化の厳しい経営環境を支えるために経営者は、覚悟を決めてデジタルトランスフォーメーションへ舵を切ります。
進め方③DX推進組織を立ち上げる
DXを推進する企業風土を定着させるための活動として、DX推進組織が有効です。DX推進をミッションとする部署を配備し、組織と人員の役割を明確にします。経営者はDX推進組織に対して組織改革に必要な権限を付与し、障壁となる課題を解決していきます。
DX推進の組織は単独で機能するものではありませんので、経営陣や各事業部門・IT部門が相互に協力し、目標達成に向けて変革を進めていきます。
進め方④DX人材の確保・育成を開始する
DXの推進に重要なのは、技術に精通した人材と業務に精通した人材がともに DX に取り組んで組織的にDXを実現していく仕組みを作ることです。その仕組みづくりの一環として、DX人材の育成を含めましょう。ただし、一般的に、DX人材の育成を自社内で行うのは難しいでしょう。自社内での研修・育成に限定せずに、足りないノウハウ・スキルは外部のDX人材育成ベンダーに協力を仰ぎましょう。
進め方⑤DX推進の戦略とロードマップを策定する
既存の業務でデジタル化したい領域を特定したり、DXを活用したビジネスの目標が明らかになったところで、DXを進めていくための全体のロードマップを作成します。重要なのは、既存の業務のデジタル化だけにとどまるのではなく、顧客視点での価値創出をデジタル化によってもたらすビジネスモデルの変革への戦略策定と実行計画も、ロードマップに策定することです。
進め方⑥デジタル化・システム化する領域の優先付けをする
ビジネス変革に向けたビジョンを実現するために、必須となるITシステム基盤の構築と整備を進めていきます。将来に向けて価値を創出するために、既存のITシステムを分析し、維持すべきか・見直すべきかを整理し、優先順付に基づき対策を講じます。
ITシステムに求められる要素としては、データを効率的に即時に必要な情報として取り出すことです。変化に対応して、データを表示分析することが重視され、ITシステムはその処理に対応することが求められます。そのデータは個々に利用するだけではなく、部門やシステムをまたいで連携活用することで、バリューチェーン全体の効率性を高めることができます。さらに顧客視点でデータを俯瞰し、価値を創出できるよう全体最適化を推進していきます。
進め方⑦既存システムの改善・新規システムの構築
優先順位に従って、IT資産の仕分けとプランニングを行います。価値創出に向けて貢献の少ないものや不要なシステムは廃棄を検討します。維持すべき既存システムはデータやデジタル技術を活用するために必要な改善を行い、変化に迅速に対応する準備を行います。ベースとなる競争領域と判断されないシステムは、投資コストを抑えるために汎用の市販パッケージや標準品を活用しコスト低減を行いながら運用を見直します。
対象業務を分析し、新規システム化が望ましいと判断される場合は、適したシステム環境を構築しビジネス活用の効率性を高めます。この場合、ITシステムの刷新に向けた取り組みもロードマップに盛り込んで、方向性を明らかにするとともに進捗を共有します。
進め方⑧事業や管理部門のワークフローをデジタル化する
業務プロセスの変革を進めて、オペレーショナルな業務のみならず、顧客に即した活動をデジタルで支援する体制を整備します。
業務プロセスのデジタル化には、ペーパレス化が求められます。既存の紙の書類はOCRなどで電子化し、クラウドに格納するなどして再利用性を高めます。オペレーショナルな定型業務は、効率性・高速性・反復動作品質に優れるRPAを活用します。そのほか必要な業務処理は提供されている標準業務サービスなどを有効活用します。これらにより、多くの業務の効率性が高まり、オンライン実行することで距離の制限から解放されます。
営業活用においては、デジタル活用でより効率的に販売戦略を立案し、顧客に即した活動を行い顧客満足度向上と売り上げ創出を狙います。
進め方⑨ビジネスモデルをデジタル化する
既存のビジネスモデルをデジタルで変革し、データ活用とデータ連携を加速させます。これによりバリューチェーン全体での効率性を高め、価値を創出します。これを支えるITシステムは、DXを前提としたプラットフォームとしてデータの収集・蓄積、そして分析に活用されます。
新たなビジネスモデルに、デジタル技術を活用し、ビジネスモデルの変革とともに企業風土の醸成を図ります。リアルデータとAI を活用し、より質的向上を図るとともに企業価値を高めていきます。デジタル技術を活用したビジネスモデルは、企業の競争優位性を高めます。既に、2020年からの新型コロナウイルスまん延により、私たちの働き方は変化しています。この変化に対応できた企業は、さらなる成長を遂げています。
DXの進め方の参考になる3つの資料
これまで紹介してきた、「組織的にDXを進めるための具体的なポイント」は、前述とおり、
経済産業省がとりまとめた3つのガイドブック「DX推進指標」「デジタルガバナンス・コード」「DX実践手引書」がベースになっています。これから3つのガイドブックのポイントを紹介するので、DXを検討する企業は、是非ご参考ください。DXの進め方をより深く理解できるようになるはずです。
1:DX推進指標
経済産業省が、2019年7月にDXの推進に向けた自社の現状と課題を認識するための自己診断ツールとして作成したのが「DX推進指標」です。「DX推進指標」では、実効性を評価するために経営陣、事業部門・DX部門・IT部門などが情報を横断的に議論・整理し、自社の課題のレベルを自覚できるように構成されています。
また、DX推進指標で行った自己診断結果を情報処理推進機構(IPA)に提出(特設ページに入力)すると、IPAが、他の企業と比較した全社データの中での自社の評価結果を分析し、レポートしてくれます。他社と比較した分析結果を、今後の計画にぜひ役立ててください。
参考:経済産業省「DX推進指標」https://www.meti.go.jp/press/2019/07/20190731003/20190731003.html
参考:情報処理推進機構(IPA)「DX推進指標 自己診断結果入力サイト」https://www.ipa.go.jp/ikc/info/dxpi.html
2:デジタルガバナンス・コード
経済産業省は企業のDX実践の取り組みを加速するために、「デジタルガバナンス・コード」として企業経営者に求められる対応の考え方や、DXの具体的な進め方を取りまとめました。最新版は「デジタルガバナンス・コード2.0」であり、DX推進指標と関連付けてDXを進められるように構成されています。
内容は、大きく以下の4つの柱からなります。
- ビジョン・ビジネスモデル
- 戦略
- 成果と重要な成果指標
- ガバナンスシステム
参考:経済産業省「デジタルガバナンス・コード」https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dgc/dgc.html
中小企業向けデジタルガバナンス・コード
DXは大企業が率先して取り組んでいますが、中堅・中小企業はこれからという企業が大半を占めています。経済産業省では、中堅・中小企業の経営者がかじ取りをしやすいように、「中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き」も作成しています。DXの進め方を簡略化した4つのステップで解説し、DXの実践ポイント5つを紹介しています。全国の地域別に説明会も開催し、直接説明を行うことで実践を促しています。
参考:経済産業省「中堅・中小企業等向け「デジタルガバナンス・コード」実践の手引き」https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chushoguidebook/contents.html
3:DX実践手引書
IPA(情報処理推進機構)は経済産業省が主管する、我が国のIT国家戦略を支える独立行政法人です。IPAでは、日本企業のDX推進を目指してDX未着手・途上企業のために「DX実践手引書 ITシステム構築編」を作成し、2022年10月26日に完成版を公開しています。DX実現のフレームワークを「スサノオ・フレームワーク」と名付け、技術視点のAPI活用事例やAPI全体管理、アジャイル開発などを解説するとともに、先行事例からどのように技術的課題に取り組んで克服したか事例を掲載しています。先行企業の試行錯誤の結果を、実体験として学ぶことで最適解に向けて変革を進めることができます。
参考:情報処理推進機構(IPA)「DX実践手引書 ITシステム構築編とは」https://dx.ipa.go.jp/tools/dxpg
参考:情報処理推進機構(IPA)「DX実践手引書 ITシステム構築編」https://www.ipa.go.jp/about/press/20221026.html
DXの進め方を学べるおススメのセミナー
最後に、DXの進め方を学べるセミナーや講座を紹介します。
1:インターネット・アカデミー
インターネット・アカデミーは、IT研修サービスを手掛けており、役職ごとに必要とされるIT知識を学ぶことができます。経営層から若手社員までのIT知識レベルを設定し、DX推進をサポートします。また各種助成金の活用やアドバイスを実施し、集合研修など利用企業におすすめの研修コースを設計することもできます。
参考:インターネット・アカデミー「DX系の研修」https://www.internetacademy.co.jp/course/dx/
2:STANDARD
STANDARDは、人材育成に限定せず、人材(ヒト)を起点としたデジタル変革の推進をサポートします。DXに関するリテラシー教育・DX戦略コンサルティング・受託開発や技術人材育成を手掛けます。最終的には、お客様が自立してDXを推進し運用できるようなるDX内製化までの一貫サポートが特徴です。伴走パートナーとして、DX成功までに突破すべき「アイデアの壁」「投資判断の壁」「技術開発の壁」という3つの壁を越えられるようサポートが受けられます。
参考:STANDARD
https://standard-dx.com/
3:JMAマネジメントスクール
JMAマネジメントスクールは、日本能率協会(JMA)が主催する公開セミナー です。「DX推進」は経営者の重要テーマとなっており、DXに欠かせないビジネスモデル変革・組織変革・業務変革を支える、人材育成プログラムを提供しています。全体のリテラシー教育からITのスキル、部門別テーマに基づく課題解決が可能です。
参考:JMAマネジメントスクール「DX推進」
https://school.jma.or.jp/user_data/dx.php
4:JOYZO 「J Camp」
JOYZO 「J Camp」は、中小企業のDXを推進する伴走支援型教育サービスです。何から手を付ければよいかわからない企業向けに、DX推進に必要な「スキル獲得」と「計画立案」の実践スキルを提供します。
業務改善ツールとしてサイボウズのクラウドシステムkintone(キントーン)を想定し、ユーザーの要望に合わせた専用業務システムの開発を39万円(税別)の定額で提供するシステム39などを活用します。今後、計画実施を伴走する支援サービス「システム39 for OJT」のリリースを予定しています。
参考:JOYZO 「J Camp」
https://www.joyzo.co.jp/service/jcamp/
まとめ
2025年にIT技術者が大量に定年を迎えることから、既存のITシステムからの転換は待ったなしの状態です。他社に先行してDXによるビジネス変革を達成することで、競合優位性が確保されます。
本記事では、DX推進の3つステップを解説するとともに、経済産業省 「DX推進指標」とそのガイダンスからDXを推進するための進め方の概略、活用事例を紹介しました。この波は大手から中堅・中小企業に進んでいます。未だDX未着手の経営者は、攻めの一手に舵を取る機会ととらえるのがよいでしょう。”