近年、多くの企業が取り組んでいる「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」。DXの盛り上がりとともに、「DXリテラシー」教育に注力する企業が急増しています。
この記事では「なぜ今、DXリテラシーが求められているのか」「そもそも、DXリテラシーとは何か」といった背景から、DXリテラシー向上によるメリット、DXリテラシーを高めるポイント、効果的な研修・関連検定の学習方法などをわかりやすく解説します。
DXリテラシーの意味
DXリテラシーとは?
DXリテラシーとは、「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」と「リテラシー(ある分野に関する正しい知識を持って実践する能力)」を掛け合わせた言葉です。つまり、「DXに関する知識や必要性を正しく理解した上で、DXをきちんと遂行する能力」を意味します。
現在、多くの企業・組織が目まぐるしく変化するビジネス環境下にいます。そうした状況の中、DXによってデジタル技術を活用することで、自社の製品・サービス、ビジネスモデルの変革を目指す取り組みが進められています。
DXは、企業が市場で淘汰されずに成長し続けるために、自社の競争優位性を確立する施策に位置づけられます。また、DXの推進には、従業員の業務や組織、プロセス、企業文化・風土などを変革することも期待されています。
DXリテラシーは、企業のDXを推進するために必要不可欠なスキルです。一部の従業員が身につけただけでは組織全体でDXを進めることは難しいため、近年ではDXリテラシーの獲得に向けた教育コンテンツや学習環境を整備する企業が増えています。
DXリテラシーは経済産業省「DXリテラシー標準」で解説してある
DXリテラシーの重要性が高まっているとはいうものの、DX自体の歴史はまだ浅い状況です。重要性を理解したとしても「では、具体的にどのようにスキルを獲得していけばいいのか」と戸惑うこともあるでしょう。そうしたDXリテラシー獲得の指針が日本政府から公表されています。
経済産業省は2022年3月、従業員一人ひとりがDXに参画し、その成果を仕事や生活で役立てる上で必要となるマインド・スタンスや知識・スキルを示す学習指針「DXリテラシー標準」を策定しました。
DXリテラシー標準には、組織・企業や個人、教育コンテンツ提供事業者を主要なユーザーと想定し、それぞれの立場に合わせた活用方法やその具体例が示されています。
また、同省は「DXを推進する立場の人材には、変革のためのマインドセットを理解・体得した上で、さらに専門的なデジタル知識・能力が必要」という見解を持ち、デジタル推進人材向けのスキル標準を今後、整備する予定です。
DXリテラシーが求められる理由とITリテラシーの違い
「リテラシー」という言葉は、他の言葉とつなげて使われることが多いです。DXリテラシーと混同しがちになるのが「ITリテラシー」ではないでしょうか。この2つの言葉の違いを簡単に解説します。
まず、ITリテラシー。ITとは「Information Technology(情報技術)」の略称で、デジタル技術とほぼ同義として用いられてきました。ITリテラシーとは、デジタル技術を理解し、それを活用する能力を指します。
一方のDXリテラシーは、単に「デジタル技術を活用する能力」だけを指してはいません。先述したように「DXによって組織やビジネスに変革をもたらすことを理解し、その実現のためにデジタルを活用する能力」と捉えれます。
デジタル技術の活用という点では、従来はIT製品・サービスを提供するシステム・エンジニアや開発部門に所属する担当者をイメージされることが多かったです。しかし、DXリテラシーは、ITリテラシーに加えて「課題や問題の解決」「業務の効率化」「事業の拡大」というビジネスシーンでデジタル技術を有効的に活用できるスキルも含まれます。
つまり、DXリテラシーとは、デジタル技術を活用して変革を遂行するすべてのビジネスパーソンが身につけるべきスキルだといえます。
DXリテラシー向上のメリットは?
企業が得られるメリット
DXリテラシーが高い人材が所属することは、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょうか。
まず、従業員一人ひとりがDXリテラシーを身につけることで「DXを自分事ととらえ、変革に向けて行動できるようになること」が挙げられます。
激しく変化するビジネス環境では、DXリテラシーを身につけた従業員がDXを推進することで顧客や社会のニーズに迅速、かつ柔軟に対応する市場での競争力を強化できます。
また、日本では労働力人口の減少による「人手不足の問題」が顕在化しています。限りある労働力で事業を展開するには、業務の効率化や生産性の向上は不可欠です。DXリテラシーは、業務の効率化や生産性の向上はもちろん、労働不足の解消やコスト削減など企業の事業活動に貢献できるスキルだといえます。
さらに「2025年の崖」への克服が考えられます。「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年9月に公表した『DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』に記された言葉です。老朽化・複雑化・ブラックボックス化した既存システム(レガシーシステム)を刷新しなければ「2025年以降、現在の約3倍にあたる年間最大で12兆円もの経済損失が生じる」と推定しています。
維持管理コストがかさみ属人化のリスクがあり、柔軟性や拡張性などに乏しいレガシーシステムを改革することもDXリテラシーの一部で実現でき、コスト削減にもつながります。
個人が得られるメリット
次に、DXリテラシーを高めることで、個人にとってどのようなメリットがあるかを考えてみましょう。
まず、デジタル技術を自身の身近な業務に上手く活用できるようになり、業務の効率化や生産性の向上に直結する成果を得ることができます。
また、コロナ禍の影響で急拡大したテレワーク勤務でもしっかりと成果をあげるためには、あらゆるデジタルツールを有効活用する必要があります。効率化できた時間を余暇にあてるなど、日々の生活を充実させることもできます。
さらに、情報共有の円滑化、業務プロセスのデジタル化などが進展すると、従業員一人ひとりやチーム内、部門間・全社レベルで働き方の柔軟性・多様性を実現することも可能です。
そうしたDX推進に貢献することで、社内外での評価を高めることも期待できます。高いDXリテラシーを身につけて自身の価値を高めることは、慢性的に不足しているデジタル人材を求める企業への転職も有利に働くといえるでしょう。
「DXリテラシー標準」が示す、DXリテラシー向上に役立つ重要項目
経済産業省が策定した「DXリテラシー標準」は、働き手一人ひとりが「DXリテラシー」を身につけることで、DXを自分事と捉えて変革に向けて行動できるようになることが目的とされています。
DXリテラシー標準は、「Why(DXの背景)」「What(DXで活用されるデータ・技術)」「How(データ・技術)」の学習体系にまとめられ、それらの根幹となる「マインド・スタンス」を加えた4項目の枠組みで構成されます。
3つの学習指針では、DXリテラシーとして身につけるべきさまざまな知識が定義されています。また、マインド・スタンスでは、社会変化の中で新たな価値を生み出すために必要な意識・姿勢・行動を定義。個人が自身の行動を振り返るための指針、また組織・企業がDX推進や持続的成長を実現するために、構成員に求める意識・姿勢・行動を検討する指針が示されています。
ここからは、DXリテラシー向上のために欠かせない重要ポイントを紹介していきます
マインド・スタンス「デザイン思考」
マインド・スタンス分野のスキルの1つが「デザイン思考」です。デザイン思考とは、商品・サービスを使うユーザーの視点からビジネス上の課題を見つけて、その解決策を考える手法を指します。
自社の強みや保有する技術ではなく、ユーザーの視点で課題を見つけていくことが特徴です。人々の生活や企業の取り組みを変革するためには、従来とは異なる価値・サービスを生み出すことが求められます。デザイン思考を活用することで、ユーザーの潜在的なニーズを探り出し、使いやすさや有用性を向上させて新たな価値や体験などを提供できます。
DX推進におけるデザイン思考を実践する方法は、主に「共感・課題定義」「アイデア創出・形成」「プロトタイプ・検証テスト」の3つのステップで構成されます。これらの起点は、すべてユーザーの視点となることに注意しましょう。
マインド・スタンス「アジャイルな働き方」
次に紹介するマインド・スタンス分野のスキルは「アジャイルな働き方」です。アジャイルとは「素早い」「機敏な」「頭の回転が速い」という意味を持つ言葉で、ソフトウェア開発における開発手法の1つとして注目されてきました。
アジャイル開発手法では「小単位で実装とテストを繰り返すことで、従来よりも開発期間を短縮して進める」手順が用いられます。
アジャイルな働き方とは、失敗が許容できる範囲の小さいサイクルで新しい取り組みや改善を実施し、すぐに顧客・ユーザーのフィードバックを得て改善を繰り返す「反復アプローチ」を用いることも特徴の1つです。
また、失敗した場合でも、都度の軌道修正を実施して失敗の原因を検討したり、そこから学びを得ることを重視します。そこから、新たなサービス・製品の開発や業務の改善のタネを得る可能性があるのです。
DXのアイデア(新しい価値)を生み出すマインド・スタンス
マインド・スタンス分野で重要なポイントの1つが、DXのアイデア(新しい価値)を生み出せる「常識にとらわれない発想力」です。
DXの遂行手段であるデータやデジタル技術に関するツールは様々なものがあり、現在進行形で生まれてきます。そのため、従来のやり方を基盤として変革だけではなく、従来とはまったく異なる方法も検討する必要があるのです。
たとえば、顧客・ユーザーのニーズや課題に対応するためのアイデアを従来のやり方に捉われずに考えることが挙げられます。また、「これまでどのような理由・経緯でこのやり方を採用したのか」と従来の物事の進め方や理由を自問自答することで、より良い他の進め方を模索・発見することにつながるでしょう。
Why「DXの背景の理解」
ここからは、「Why」「What」「How」の3つの学習体系のポイントを紹介していきます。
まずは「Why(DXの背景)」です。この学習指針では、DXの重要性を理解するために必要な、社会、顧客・ユーザー、競争環境の変化に関する知識が定義されています。
「DXリテラシー標準」が設定する学習のゴールは「人々が重視する価値や社会・経済の環境がどのように変化しているか知っており、DXの重要性を理解している」ことです。
具体的には、国内外で起きている「社会の変化」を理解し、その変化の中で人々の暮らしをより良くして社会課題を解決するためにデータやデジタル技術の活用が有用であることを知ることです。
また、顧客価値の概念を正しく理解し、顧客・ユーザーがデジタル技術の発展のどのように変わってきたかという「顧客価値の変化」を理解すること。さらに、データ・デジタル技術の進展や、社会・顧客の変化で、既存ビジネスの競争力の源泉が変わったり、従来の業種や国境の垣根を超えたビジネスが広がっているという「競争環境の変化」などが挙げられます。
What「データ活用スキル」
次に「What(DXで活用されるデータ・技術)」指針で重要となるのが「データ活用スキル」です。What指針におけるゴールは「DX推進の手段としてのデータやデジタル技術について知っている」ことが設定されています。
まず、社会に存在する「データ」とは、数字だけでなく文字・画像・音声など様々な種類があり、それらがどのように蓄積され、社会で活用されているかを理解することが重要です。
また、データの分析手法や結果の読み取り方を理解した上で、分析結果から得た洞察を分析の目的や受け取り手に応じて適切に説明する方法を習得することも挙げられています。
さらに、データを活用する際には、データ抽出・加工に関する様々な手法やデータベースなどの技術が前提にあることを理解すること。加えて、業務・事業の構造、分析の目的を理解した上で、データを分析・活用するためのアプローチを把握し、分析の結果から改善のアクションを見出し、アクションの結果がどうなったかをモニタリングする判断手法が大切だと説明しています。
What「デジタル技術への理解(AI、クラウド)」
「What(DXで活用されるデータ・技術)」指針では、DX推進に欠かせないデジタル技術への理解も求められています。その中でも注目されているのが「AI」「クラウド」です。
1つ目が、今やあらゆる業界・業種で活用されているデジタル技術「AI(人工知能)」です。AIが誕生した背景や急速に広まった理由、AIの仕組みや得意分野・限界を理解した上で、AI活用の可能性を理解し、精度を高めるためのポイントを抑えることが挙げられています。
もう1つの技術が「クラウドコンピューティング(クラウド)」です。企業や政府などがシステムを導入・更新する際、クラウドサービスを運用基盤とするシステムを最優先で検討すべきとする考え方「クラウドファースト」が推奨されています。オンプレミス環境との違いやクラウドの仕組み(データの持ち方、データを守る方法)、クラウドサービスの提供形態への理解が求められているのです。
How「デジタルツール活用」スキル
3つ目の学習指針「How(データ・技術の活用)」では、「データ・デジタル技術の活用事例を理解し、その実現のための基本的なツールの活用方法を身につけた上で、留意点などを踏まえて実際に業務で活用できる」ことが学習のゴールに設定されています。特に重要なポイントが「デジタルツール活用」スキルです。
ツールの活用方法に関する知識を持ち、日々の業務状況に合わせて適切なツールを選択できることが求められています。また、ビジネスにおけるデータ・デジタル技術の活用事例を把握した上で、データ・デジタル技術が様々な業務で活用できることを理解し、自身の業務への適用場面を想像できることも重要です。
加えて、「セキュリティ技術の仕組みと個人がとるべき対策に関する知識を持つ」「自由に情報のやり取りができる時代に求められるモラル」「実際の業務でデータや技術を活用する際のコンプライアンス」などの留意点も忘れてはいけません。
DXリテラシー向上のための教育手段(社内研修)
おすすめのDX人材育成セミナー
企業がDXを成功させるには、従業員一人ひとりのDXリテラシーが鍵を握っているといっても過言ではないでしょう。とはいえ、すべての企業・組織がDXリテラシーの教育で成果を上げている実績を上げているわけではありません。
「具体的に何から始めればよいのか」と明確な教育プログラム・体制を確立できている企業も多くいらっしゃるでしょう。
ここからは、DXリテラシー向上のための教育手段(社内研修)として、おすすめできる3つのDX人材育成セミナーをご紹介します。
STANDARD
まず紹介するのは、株式会社STANDARDが提供する「DXリテラシー講座」です。同社は、法人向けのDX支援事業を手掛け、600社以上のDX推進を支援してきた実績があります。
DXリテラシー講座は、デジタル技術の基礎知識からプロジェクトへの活用方法までを最短1日で網羅的に学習できる点が特徴の1つです。
講座で使用する教材は、デジタルやITのリテラシーがまったくない層を想定して作成されています。DX推進部門の方だけでなく、現場や人事、経営層を含め、前提知識に関わらず全社レベルで受講が可能です。
また、技術知識をビジネスに活かすための活用事例の解説を受けることで、事業アイデアの創出を支援します。さらに、業界特化の事例を解説するカスタマイズコンテンツも用意。社内全体のDXリテラシーを高め、さらに現場視点のアイデアを吸い上げて収益化につなげたい企業におすすめです。
インターネットアカデミー
次に紹介するのが、インターネット・アカデミー株式会社の「DX研修」です。同社は、IT技術者の育成・ITに関する企業教育全般の事業を展開しています。
同社のDX研修は「DX推進を成功させるには、自社のIT活用状況などのフェーズや役職を考慮して、適切な教育を実施する」ことを重視しています。
たとえば、参加企業のIT活用フェーズや、経営者・役員、管理職、中堅、若手・新入社員など役職ごとに求められるデジタル知識に合わせた幅広い研修コースをラインアップしている点が特徴です。豊富な講座の中から自由に選択したり、企業の要望に合わせたカスタマイズ研修を実施しています。
加えて、研修で利用できる各種助成金申請のアドバイス・相談窓口も用意するなど、DX研修の実施を手厚く支援している点も、おすすめできるポイントです。
SAMURAI
最後に紹介するのが、株式会社SAMURAIが提供する「DX人材教育研修」です。同社は、経済産業省が定める「DX認定事業者」に認定された夢真ビーネックスグループのグループ企業でもあります。プログラミング学習サービス、法人IT研修、IT人材紹介サービスなどを手掛けています。
DX人材教育研修では、企業が抱える課題をヒアリングした後に課題解決につながる内容のプログラムをオーダーメイドで提案する点が特徴です。また、完全オンラインの独自学習システムを利用すると、場所・時間を選ばずに研修が進められます。
さらに、事前のヒアリングを基にメンターを選定し、学習の定着化を支援するメンタリングサービスも利用可能です。必要に応じて、プロジェクトの伴走支援やアセスメントの実施などを踏まえ、人財育成やDXの推進を支援できる点が、おすすめポイントとなっています。
DXリテラシー向上のための教育手段(DX検定)
従業員のDXリテラシーを向上させる方法としては、研修プログラムとあわせて各種検定や資格取得試験への挑戦を促すことも有効です。たとえば、資格取得にインセンティブを与えると、学習意欲を引き出せるようになります。
検定や資格に挑戦することは、従業員の自己学習欲を高める明確なきっかけだといえます。資格合格をめざす学習が習慣化することで、DXリテラシーの向上が期待できるでしょう。
DX検定
DX関連の資格としては、一般社団法人日本イノベーション融合学会の「DX検定」が挙げられます。
DX検定とは、これからの社会の発展・ビジネス全般に必要なデジタル技術のビジネス活用を促進させる人材に対して、先端のデジタル技術とビジネストのレンドを幅広く問う知識検定です。2018年7月に創設され、2022年7月に第9回検定が実施されました。
試験時間は60分で、120問の知識問題(多肢選択式)が出題されます。Webによる受検方式で自宅、会社のPC、タブレットでの受検が可能です。
DX検定は2020年から企業における人財育成・知識評価の標準指針として、スコアに応じたDX知識レベルを認定しています。認定レベルは、スコア800以上の「DXプロフェッショナル レベル」、スコア700以上の「DXエキスパート レベル」、スコア600以上の「DXスタンダード レベル」の3段階です。
DX検定の学習方法
「第10回DX検定」は、法人向けが2023年1月26日、個人向けが2023年1月29日に実施される予定です。
DX検定では「DX推進の上ではメンバー間のコミュニケーションでDX用語を使えることが必須」という前提に立ち、DX用語の理解度を計る問題が出題されます。
DX検定の学習方法としては、まずは学習シラバスを参照して出題用語を確認するとよいでしょう。分からなかった用語については、インターネットで検索するなどで、意味や利用例などを学習することおすすめします。
また、検定準拠のeラーニングや参考著書で学習することも有効です。特に、eラーニングや推薦図書で紹介されている用語は重要用語なので重点的に学習することを推奨します。DX検定では広い範囲から多くの用語が問われるため、教材だけでなく、日々インターネットやニュースなどで用語を調べることが高得点を得るコツだといえるでしょう。
G検定
DX関連の資格としては、一般社団法人 日本ディープラーニング協会の「G検定(ジェネラリスト検定)」があります。同協会は、ディープラーニングを中心とする技術による日本の産業競争力の向上をめざした活動を展開する組織です。
同協会によると「G検定とは、ディープラーニングの基礎知識を有し、適切な活用方針を決定して、事業活用する能力や知識を有しているかを検定する試験」と紹介されています。
G検定の試験時間は120分で、多肢選択式の220問程度の知識問題が出題されます。オンラインで実施され、自宅での受験が可能です。G検定の合格者には合格証の発行とあわせて「オープンバッジ」が付与されます。また、合格者だけが参加する日本最大級のAI人材コミュニティ「CDLE」への参加資格が与えられ、様々な情報交換やハッカソンなどの交流が可能です。
G検定の学習方法
次回のG検定は、2023年3月3日・3月4日に開催される予定です。
G検定では「AI・ディープラーニングとは何か」「活用すると何ができて、そのために何が必要か」という活用に必要な幅広い範囲を学習し、習得できる内容を盛り込んだシラバスから出題されます。
同協会が公表する検定紹介資料の過去合格者のアンケート結果では「学習に取り組む前の前提知識(ITリテラシーや数学など)によっても差はあるものの、7割が約70時間以内の学習を経験した」とのことです。
同協会サイトでは、公式テキストや問題集、合格者が選ぶ推薦書籍・関連書籍などの情報が豊富に掲載されています。それらを参考に学習することをお勧めします。
G検定は、経済産業省がオブザーバーを務めるデジタルリテラシー協議会が、すべてのビジネスパーソンが持つべきと定義するデジタルリテラシーとしてAI・ディープラーニング領域の検定として受験が推奨されています。デジタル時代のビジネスに関わる方におすすめしたい資格試験の1つです。
まとめ
デジタル化が進展する中、企業、または1人のビジネスパーソンとして、様々なビジネスシーンで有効なスキルであるDXリテラシーを身につけるのは必須条件になりつつあるといえます。
今回ご紹介した内容を踏まえて、個人だけではなく組織全体の変革にも貢献できるDXリテラシーの研鑽に努めてみてはいかがでしょうか。
ITライター 翁長 潤
証券系システムエンジニア、IT系Webメディアの編集記者を経て、2017年7月よりフリーランスのライター/編集者として活動。エンタープライズITを取り扱う各種Webメディアでのコンテンツ作成に従事しています。”