前回は「突然の英語のミーティングにあわてふためくの巻」をお送りした。TOEICで高スコアを取得していても、実際の会議にはあまり役に立たず、不完全燃焼に終わってしまった。ちゃんと仕事に使える英語を学ばないといけないかも…とあせり始めている今日このごろである。
英語を学ぶ目的は人それぞれだろうが、ビジネス英語を学ぼうとする場合、目的はビジネスの遂行であり、英語そのものではない。そのような人は別に英語が好きで勉強するわけではない。仕事上、打ち合わせや会議で英語を使う必要があるから、英語を勉強するのだ。
こんなあたりまえのことが、私にはわかっていなかった。本コラムのタイトルにつられて読んでくださっている方には、ビジネス英語とは関係のない話だと思われているかもしれない……と少し反省している。
ところで、『村上式シンプル英語勉強法 - 使える英語を、本気で身につける』の著者でグーグルの村上憲郎 名誉会長がある講演の中で英語学習者に向けてこんなことを言っていた。
英語を使うどのような機会があるかを想像し、そのための準備をしなさい
これはつまり、あなたが将来英語でプレゼンをするかもしれず、そのために英語を勉強しようと思うのならば、英語のプレゼンとはどういうものか学び、そのために必要なことをしなければならない、ということだ。
仕事で英語が必要だから英語を勉強するんだと、むやみやたらに、オフィスでの英語での電話の受け答えを勉強したり、英文ライティングを勉強したり、単語を一から覚え始めたり、いわんやTOEICの勉強を始めたり…などの行為はしてはいけないということだ。
英語学習のゴールを頭に描き、そのために必要なことだけをしなさい、というわけだ。英語を完全マスターすることが目的ではなく、仕事で使えるレベル以上に持っていくことが目的なのだから。
で、自分自身を省みると、私は英語を使って会議やプレゼンを行うことが将来予想されるので、そういう英語が使えるようになりたいと思う。そのために必要な英語とは何であろうか。
と、いろいろと考えているちょうどその時、英会話スクールのベルリッツの取材の依頼がマイコミジャーナルから舞い込んだ。英語でのミーティングやプレゼンテーションなどのスキルを伸ばすための新コースの取材だそうだ。
これはチャンス、というか何たる偶然。ベルリッツには英会話スクールの中でも良いイメージを持っており、いつか会社のお金でベルリッツのコースを受けられたら…と思っていた。そんなベルリッツに私が取材に行けるとは、なんて楽しみな。
というわけでさっそく、ある金曜日の夜、ベルリッツの品川ランゲージセンターに伺った。教室内は小部屋に分かれており、ビジネスマンらしき生徒がレッスンを受けている。私を待っていたのはベルリッツの広報の中川淳さんと、プログラムコーディネーターの伊藤日加さんだった。
まずは中川さんより新コース「ベルリッツ・ビジネス・プラス」の概要の説明を受けた。
ベルリッツという英会話スクールは全世界で同一のカリキュラムを採用しているそうだ。全体が10レベルに分かれており、レベル1と2は中学レベル、レベル3と4は高校レベル、レベル5以上はそれ以外の流ちょうさなどの向上を目指している。受講者の6割は初級レベルから始めているそうで、ベルリッツは高度なビジネスパーソン向けと思っていたので、これは意外だった。また、受講生の7割がビジネスパーソンで男性の割合が女性より多いというのも他の英会話スクールとの違いだろう。
ベルリッツに通えば英語ができるようになるかというと、「英語上達に魔法はありません」と中川さん。コツコツと量と時間をかけていくしかないようだ。
しかし、最近、M&Aなどの影響で英語が急に必要になるというケースが増えており、ビジネスパーソンのための即効性のある英語コースが顧客企業から求められている。それに答えたのが「ベルリッツ・ビジネス・プラス」という新コースだ。
9月から始まったのが、「ミーティング」と「プレゼンテーション」の2つ。11月から「ネゴシエーション[交渉]」「電話応対」、12月から「社内コミュニケーション」「海外出張」の各コースがスタートする。
これらのコースは今ある英語力で何とか仕事をこなせるように仕立て上げることを目的としている。
「プレゼンテーション」を例にとると、来月どうしても英語でプレゼンをしなければならなくなった人に、英語でのプレゼンができるようにしてあげましょうというものだ。
最近、大人向けピアノ教室で、自分の好きな一曲だけを引けるようになるというコースがあるようだが、それと同じような感じかなと思った。つまり、英語の基礎力を伸ばすのではなく、とりあえず英語でプレゼンができるようにすることを目的としているということだ。
各コースは20レッスンから成り、1カ月で終えることも、詰め込めば2日間で終えることもできるという。
ということで、次回は「ベルリッツ・ビジネス・プラス」のコンセプトとデモレッスンをレポートする。お楽しみに。
著者紹介
本多義則 (Yoshinori Honda)
日立製作所勤務のIT系研究者。10年前に趣味と実益を兼ねて英語学習を再開以来、アナログからデジタルまであらゆるツールを駆使して英語学習に励んでいる。職場では「英語ができる男」と見られているが、実はそうでもない真の実力との差を埋めるべく、英語学習をやめられなくなっている。休みの日の朝は英語のメルマガ執筆にいそしむのが習慣。取得した英語関連の資格は、英検1級、TOEIC955(瞬間最大風速)、通訳案内士(英語)。座右の銘は「あきらめない限り必ず伸びる」。著書に『伸ばしたい!英語力―あきらめない限り必ず伸びる』