近年のComputexではiPhoneやiPadなどiOS専用の周辺機器が増えてきており、今年も目新しい製品があるかと期待していた。しかし今年はAndroidのスマートフォンやタブレットが大きく普及してきたことで、どちらの端末でも使えるものがたくさん登場していた。

思うにこの動きには理由がある。アップルが昨年、それまでのDockコネクタをLightningに切り替えたことだ。それまでアップルの認証を取って製品を販売していた周辺機器メーカーは、新しい規格が出たことでハシゴを外されてしまった。ユーザーにとっても、気に入って使っていた製品の買い換えを迫られることになった。またスマートフォンの普及が進んだことも理由だ。昨年に比べて台北の地下鉄内でのスマートフォン比率は高くなっており、しかもiPhone以外の端末が目立つようになってきた。この状況は日本でも同じだろう。

結果として、iOS製品だけでなくAndroidでも使えるような製品へと周辺機器メーカーは舵を取ったようだ。アップルの都合で規格を変えられてしまうなら、そのリスクを減らせる方向に進むのはしかたないことのように思える。規格で「縛る」という戦略が裏目に出た形だ。

ワイヤレスへの流れに遅れているアップル

今回の展示で目立つものの一つがBluetoothを使った周辺機器だ。スピーカーやイヤホンの多くはBlueooth対応になり、もちろんiPhoneだけでなくその他のスマートフォンにも接続できる。本格的なハウジングで音の良いものも登場した。

多くのブースがBluetooth対応のスピーカーやヘッドフォンを展示

ドイツのメーカーが展示していたBluetooth接続、アンプ内蔵のスピーカー。音質も良く、本格的な作りだ

タッチパッドコントローラーが付いたBluetoothヘッドフォン。耳当て部分がアップルマウスのような形状で、ここを触ってコントロールできる

またワイヤレスストレージも多く展示されている。無線LANで接続してSSDなどのストレージを使ったり、カードリーダーになってSDカードが読み込めるものなどもある。内蔵しているバッテリを使って充電もできるようになっている。

多くの製品がSDカードやUSB接続のメモリが読み込めるWi-Fiストレージになっている。バッテリを内蔵しており、必要なときは充電にも利用可能

一部の製品にはワイヤレス充電のQiに対応しているものが増えつつある。NFCも無線充電の規格があり、Android機でNFCに対応している機器であれば充電ステーションで充電が可能になる。

こうしてみるとiOS機器はNFCやQi対応に遅れており、実はスマートフォン端末の中では徐々に「レガシー」な機種になりつつあるのではないだろうか。使いやすさという点では相変わらずiPhoneに軍配が上がるが、拡張性という方向では遅れつつあることを感じさせる。

QiとNFCに対応したスピーカー。本体の充電をQiで行い、スマートフォンへの充電をNFCで行う。接続はBluetoothで、スマートフォンを本体上に置くだけで接続できるのは便利だ

それでも面白い製品もいくつか

とはいえ、iOS製品に対応したいくつか面白いモノも展示されていた。

まずはペン先がブラシになっているスタイラスペン。ちゃんと対応アプリで使えば筆のような筆致になる。描き味はブラシそのものなので、本格的な絵を描くときなどに使えそうだ。

ペン先がブラシ。ちゃんとブラシで描いたように表示されるのが不思議だ

続いてiPhoneで使えるフィルムスキャナー。上にiPhoneを置き、フィルムをスリーブに入れ、対応アプリで取り込む。はめるところがiPhone 4/4S専用なので、5では使えないのが残念なところだ。

iPhoneをはめ込む場所が4/4S専用。切り替えられるようにして欲しいところだ

ワイヤレスで4台までの小型カメラをiPadに接続して、切り替えて使えるビデオ監視システム。ミニマムなシステム構成で利用できるのは便利だ。

4つのカメラはWi-Fiで接続し、これをiPadから切り替えて利用できる

そしてスポーツウェアを着るだけで、心拍数を計測してiOS機器に送ってエクスサイズできるウェア。会場に置かれていたのはiPadを搭載したエクスサイズ自転車。走った距離によって 表示される写真が切り替わるのが面白い。

心拍数を計るベルトは必要なく、ウェアを着るだけでOK。心拍数をとり、走った距離や消費カロリーを表示できる。走った距離によって画面が切り替わるのが面白いところ

次のiPhoneやiPadがどのような進化を遂げるのかはまだ分からないが、このまま遅れを取っているとも思えない。単なるUIの変更だけでなく、我々が思いもしないような「次の一手」を仕掛けてくることを期待したいところだ。