"Mac安全神話"はもはや過去のもの。ウイルス対策は必須要件だ

まことしやかに囁かれていた"Mac安全神話"。ウイルスの脅威に対してMacintoshは安全であると数年前までは言われ続けてきた。しかし、問題が顕在化していなかっただけで、実際にはMacintoshを狙ったウイルスが存在している。とはいえ、Windowsユーザーの気苦労に比べれば、まだ、軽いのかもしれない。

だが、昨今様々なWebサービスが提供され、OSに依存しない悪意のあるプログラム、仕掛け、細工が増えてきている。Webブラウザ上であたかも本物の金融・ポータルWebサイトであるかのように偽装し、IDやパスワード、メールアドレスを採取する、いわゆるフィッシングと呼ばれる手法のものについては、Windows同様、Macintoshも多大なる被害を被る危険性をはらんでいる。もはや、Macintoshも"安全"とは呼べなくなってきているのだ。

今日本で爆発的にユーザー数が増加している「Twitter」を媒介としてウイルスをダウンロードさせる手口も。「Twitter」のアカウントを悪意ある者に乗っ取られ、つぶやきにウイルスをダウンロードさせるWebページのURLを記述、OSを識別してそれぞれに合致したウイルスをダウンロードさせるという手の込んだ事例も明らかになっている

「ウイルスバスター2010」なら安価でMacintoshのウイルス対策が可能

Macintoshというと、お医者さんやクリエーターに支持されてきたパソコンだ。仕事柄、データがクラッシュしたり悪意のあるウイルスに感染してしまうと、自分のみならず周囲にまで甚大な被害を与える可能性がある。もちろん、Macintoshユーザー自身もウイルスの脅威については熟知しているだろうが、実際にウイルス対策を行っているかというと、実は約半数のユーザーしか対策を講じていないという。それは何故か?

トレンドマイクロの調査によれば、今までMacintosh用のウイルス対策ソフトは発売されていたものの、価格が非常に高価だったのだという。実際、筆者も「念のため」とフリーソフトウェアでウイルス対策を講じていたが、その根底には「Macintoshだから」という甘えが確かにあった。それと同時に、どこまで自分のパソコンが安全に保護されているのか不安も感じていたのだ。そこで白羽の矢を立てたのが「ウイルスバスター2010」に同梱されている「ウイルスバスター for Mac」だ。同社Webサイトでは体験版も公開されている。

「ウイルスバスター2010」には1枚のディスクしか同梱されていないが、その1枚のディスクだけでWindowsには「2010」、Macには「ウイルスバスター for Mac」がインストールできるように工夫されている。Win&Mac環境で作業をする人間にとっては1ライセンスで3台まで自由にインストールできるのがありがたい

早速インストールを開始しようと思ったら、ディスク挿入後「現在使用中のウイルス対策ソフトウェアを削除して下さい」と言うアラートが表示された。筆者は「AppCleaner」というアプリケーションを用いて今までインストールされていた無料のウイルス対策ソフトを削除、その後再起動をしてトライしてみた。すると、今度はインストール画面へと遷移して無事インストールすることができた。所要時間はせいぜい10分といったところだ。インストール後は見慣れた「ウイルスバスター」の画面が表示され、現在の保護状況が記されている。

「ウイルスバスター for Mac」起動後、最新のアップデートを入手してみた。セキュリティソフトを正しく利用する方法は、つねに最新の状態にアップデートしておくことだ

最新のアップデートコンポーネントをバックグラウンドでダウンロードさせながら、基本的な使い勝手、「ウイルスバスター for Mac」でできることをチェックしてみよう。まず、総合ウイルス対策/スパイウェア対策についてだが、クイック、リアルタイム、予約等の様々なウイルス/スパイウェア検索機能はもちろん、一番の目玉はスマートプロテクションネットワークの実装だろう。

スマートプロテクションネットワークの概念図。"レピュテーション=評価"を行うことによって、不正なプログラムに含まれている情報、スパム送信元情報、迷惑メールに添付されたファイルの不正情報を評価して危機を未然に防ぐ画期的手法だ

検索のオプションも豊富に用意されており、ユーザーの作業環境、パソコンの利用状況に応じて最適なものをチョイスできるようになっている

お次は有害サイト対策だが、偽の金融機関やショッピングサイトなどをブロックするフィッシング詐欺対策、お子さまの目に触れさせたくない有害サイトへのアクセスをブロックする有害サイト規制が盛り込まれている。筆者はインターネット上での買い物をよく行い、頻繁にクレジットカードの番号などを入力するので、直接的、金銭的トラブルの回避が狙えるフィッシング詐欺対策の存在はありがたい。

また、有害サイト規制についても、誤って妙なURLをクリックしてしまいアダルトサイトへ遷移してしまう危険性を未然に防ぐことができるのもうれしい限り。現在ではGENOウイルスという問題のあるWebサイトにアクセスした瞬間から感染してしまう感染力の高いウイルスが存在している。そういった脅威に対して「ウイルスバスター for Mac」は有効な対抗手段と言えるだろう。

[Web対策]というタブにある[フィッシング詐欺対策]の設定。筆者は"中"で運用しているが、業務で使用しているパソコンなどは"高"で運用するとよりリスクを低減できる

フィッシング詐欺と疑わしきWebサイトへアクセスした場合に表示される警告画面がこちら。ひと目で「何故危険なのか」が把握できるよう工夫されている。

[有害サイト規制]ではデフォルト状態はもちろん、規制したい項目を自らが選択することができる

アダルトな表現の含まれたWebサイトへアクセスを試みた場合に表示される警告画面。規制対象の何に触れたのか判るようになっている。遷移先不明なURLを万が一クリックしてしまっても「……! なるほど」と、自動でブロックしてくれるうえ規制対象が判明するので安心感も高い

更なる脅威が拡大する前に、自ら対策を講じるという選択

駆け足で「ウイルスバスター for Mac」の機能と特徴をお伝えしてきたが、重要なのは「自ら率先してパソコンを守る時代」に突入していると自覚すること。そして「自分には関係のない他人事」という過信を捨て去ることに尽きるだろう。筆者の場合、原稿を執筆して編集者へと原稿や写真素材を納品する。

そこで万一、自分がウイルスに感染していており被害を取引先にまで拡大してしまったら、最悪のケースは今後の取引が無くなってしまう場合もあるかもしれない。昨今ニュースを賑わわせていた個人情報流出にしても、悪意あるプログラムが介在しているケースも少なくない。顧客情報、クレジットカードの番号、メールアドレス……。ひとたび流出してしまったら「自分がウイルスに感染しているなんて知りませんでした」では済まされない。

また、今後どのような脅威が襲ってくるかも未知数だ。悪意ある者たちも、弱者から搾取せんがために日夜新たな脅威を生み出している。それは、トレンドマイクロが調査した「2.5秒間にひとつ新たな悪意あるプログラムが発生する」という報告からも明らかだ。しかも、従来まではOSに依存したものが多かったが、最近ではブラウザ上での脆弱性を突いた手口も見受けられる。Macintoshといえども"進んで自らが自らのパソコンを守る"必要があるだろう。