夏休み、皆さんのお子さんはいかがお過ごしでしょうか。最初は生活リズムが整っていた人も、ダラダラしてきた時期かもしれません。自宅にいる時間が長くなると、スマホの利用時間も長くなりがちです。友だちと深夜まで通話したり、ゲームアプリに没頭している人もいるでしょう。

楽しいことばかりならいいのですが、スマホを長く使っていると、トラブルに遭う可能性も高まります。残りの夏休みを楽しく過ごすために、お子さんが注意すべきスマホの最新トラブルと対策をお話しします(もちろん夏休みに限ったことではありません)。

  • 子どものスマホトラブル、保護者としては心配が尽きませんね

ゲームに高額課金をしてしまう

スマホのゲームアプリは、有料のアイテムやキャラクターを手に入れると、強くなったりレベルアップしたりと、ゲームを有利に進められる仕組みになっていることが多いもの。課金せずに楽しめるゲームもありますが、広告の表示やプレイ時間の制限など何かしらの制限がある場合がほとんどです。

そこで、ゲームにハマればハマるほど、課金をしたくなる気持ちもわかります。国民生活センターに寄せられた子どものオンラインゲーム(スマホと家庭用ゲーム機)課金についての相談件数は、2020年度で3723件。2016年の1171件から5年間で増える一方です。

相談のなかには、「小学生の子どもがオンラインゲームで150万円以上も課金していたが、決済完了メールが子どもに削除されていたため気がつかなかった」、「一度だけ課金するためにスマホにクレジットカードを登録したところ、小学生の子どもが30万円以上も課金してしまった。年齢確認画面で20歳以上を選択していたようだ」など、高額な課金をしている事例も挙げられています。

高額課金は、親のスマホを借りている小さなお子さんから、自分のスマホを持っている中学生や高校生、そして成人年齢の引き下げで成人となった大学生でも注意すべきポイント。バトルゲームなど「強さ」が関わるゲームだけでなく、アバターを使って交流するゲームなども際限なく課金したくなります。

未成年者が勝手に課金した場合、未成年者契約の取り消しができるかもしれないため、最寄りの消費生活センターなどに相談してみてください。ただし、親の管理が行き届いていなかったということで返金が難しいケースもあります。

高額課金を防ぐには、子どもが誰のスマホを使っているかで方法が異なります。

保護者のスマホを子どもが時々借りてゲームをする場合、スマホには決済情報が入っていることでしょう。決済時に毎回パスコードを入力するように設定しておき、子どもにはパスコードを知られないようにします。また、お古のスマホでもキャリア決済の情報が残っていることがあるため、過去に使っていたスマホを子ども渡す前に必ず初期化しておきましょう。

子ども専用のスマホの場合は、iPhoneやAndroidのペアレンタルコントロール機能を設定し、課金を承認制に設定します。

また、クレジットカードの保管方法を見直し、購入履歴も確認しておきましょう。子どもを疑うようですが、本人がよくわからず課金してしまうケースもあるため、チェックしておくと安心です。

ゲームアカウント詐欺に遭う

ゲームに関するトラブルでは、ゲーム内のチャットやSNSで「レアアイテムを装備しているゲームアカウントを買わないか」と持ちかけられ、お金だけ盗られる詐欺被害もあります。支払いを済ませると相手との連絡は取れなくなり、泣き寝入りすることに。ゲームアカウント詐欺の犯人が逮捕されたケースもありますが、犯人の特定は難しいのが実状です。

そもそも、ゲームアカウントの売買は、架空の財産を現実の通貨で交換する「RMT(リアルマネートレード)」と呼ばれる行為で、ゲーム運営会社が禁じているケースがほとんど。もしお子さんがゲーム好きだったら、こうした詐欺があることを説明して、絶対に誘いに乗らないように話しておきましょう。もしゲームアカウント詐欺に合ってしまったら、最寄りの消費生活センター(独立行政法人 国民生活センター)や警察のサイバー犯罪相談窓口(警察庁 サイバー犯罪対策プロジェクト)に相談してください。

  • ゲームアカウント詐欺に遭うと、お金を取り戻したり犯人を訴えることは困難です

SNSでの自画撮り被害

SNSでは、学校や習い事といった普段の生活範囲では知り合わない人とも簡単に知り合えます。自分が好きな芸能人について詳しい人や同じゲームが好きな人など、楽しい出会いもたくさんあるでしょう。

しかし、性的な目的で近づいてくる悪い大人もいます。プロフィール文や画像からは、その人の年齢や住所、どんな暮らしをしているかはわかりません。同じ年ごろと偽ることも簡単です。

性的な目的を持った大人は、最初は優しい言葉をかけてきます。毎日、会話を重ねていくうちに親しくなり、子どもは相手を信じてしまいます。そこで、「裸の写真を送ってくれないか」など、性的な交渉を始めるのです。信じている相手だから、断ると嫌われるのでは――と不安になって送ってしまうと、要求はエスカレート。相手にはすでに自分の個人情報を知られており、周りにばらすと脅されることもあります。

自分の裸の写真を無理やり送らされることは「自画撮り被害」といい、警察庁が発表した令和3年度の児童ポルノ事犯では最多です。相手は大人だけでなく、同年代から行われることも。性別を問わず被害に遭う可能性があります。

  • 各都道府県警察の性犯罪被害相談電話につながる全国共通番号「♯8103(ハートさん)」(警察庁のWebサイトから

自画撮り被害を防ぐには、SNSで知らない人とつながらないこと、メッセージをやり取りしないことが挙げられます。さらに、自分の画像を要求されても決して送らないことが大切です。お子さんには、裸の写真を送らせることはたとえ親しい間柄でも許されないことなんだと話してあげてください。もし送ってしまったら、「なぜ送った」と詰め寄ることはせず、警察署(警察庁 性犯罪被害相談電話)やデジタル性被害の相談窓口(デジタル性暴力 被害者支援センター)などに相談してみましょう。

夏休みは、子どもとスマホの付き合い方を見直す貴重な機会とも言えます。親子でゆっくり話し合い、楽しく安全にスマホと向き合える方法を考えてみてください。