Twitterは5月3日(米国時間)、新機能「Twitterサークル」のテストを開始しました。現在は一部のユーザーに提供されていますが、iOS、Android、ブラウザで使えます。Twitterサークルとは、ツイートを見せるフォロワーを選び、それらのアカウントにだけ発信する機能です。ツイートをするとき、一般に公開するのか、Twitterサークルに向けて投稿するのかを選べます。
Twitterサークルは、1アカウントに1つだけ。「サークル」というと、かつてGoogleが提供していた「Google+」を思い浮かべる人もいるかと思いますが、複数のTwitterサークルを使い分けることはできません。例えるなら、Instagramストーリーズの「親しい友達」に近い機能です。
また、1月にテストを開始した「Twitterコミュニティ」との違いも気になりますね。コミュニティも、ツイート時に一般に公開するのか、コミュニティ向けに投稿するのかを選べます。ただしコミュニティは、関心のあるトピックに対して人が集まり、コミュニティに参加する方式です。アカウントのフォロー状態は関係しません。
一方のサークルは、自分が選んだフォロワー(アカウント)に対してツイートします。コミュニティ向けの投稿は、コミュニティ以外の人にも見られることがありますが、サークルはサークルに登録されている人のみです。サークル向けツイートへの返信も、サークルに追加されたアカウントにしか見えません。
Twitterサークルに追加できるユーザーは最大150人です。大人数で交流するというよりも、ごく親しい知人や特定の仲間への発信に向いています。これまでは、限られた人とTwitterで交流するには非公開アカウントを作って交流するしかありませんでしたが、サークルを使うことでわざわざアカウントを切り替える必要がなくなります。
オープンなプラットフォームからクローズドな空間も提供
オープンなプラットフォームとして運営されてきたTwitterですが、ここのところTwitterコミュニティ、Twitterサークルと閉じた世界を楽しむ機能を続々とテストし始めました。
これは、Twitterが選択肢を増やしてユーザーの満足度を上げるための施策と考えられます。クローズドな空間を用意することは、ユーザー同士のより親密な交流を提供します。オープンな空間では、思いもよらないトラブルや思想の違いに巻き込まれることがありますが、ツイート相手を限定できれば、相手を選んで心の内をツイートすることや、共通の趣味を持つ人たちだけに投稿するといったニーズにも応えられますね。
また、一部の人だけに読ませる機能としては、購読者限定のツイートで収入を得られる「スーパーフォロー」も米国で一部のユーザーに提供されています。Twitterユーザーであるクリエイターが、自分にサブスクリプション形式で課金してくれたユーザーだけに特別なコンテンツを提供できるのです。クリエイターがSNSで収益を上げられる「クリエイターズエコノミー」の一環です。
複数アカウント運用への影響は?
これまでとは違う方向性に動きつつあるTwitterですが、Twitterサークルは日本で受け入れられるのでしょうか。
Twitterで相手を限定して発信するためには、メインアカウント以外に非公開のアカウントを作成して利用する方法が一般的です。実際に、Twitterで複数アカウントを運用している人はどれぐらいいるのかを見てみましょう。
ジャストシステムが2020年5月に行った調査では、TwitterとInstagramの両方にアカウントを持っている人のうち、「Twitterに複数アカウントを持っている」人は55.3%でした。そして、「Twitterに複数アカウントを持っている人」のアカウント数は、「2つ(48.9%)」がもっとも多かったとのこと。メインアカウントとサブアカウントといった感じでしょうか。次点は「5つ以上(19.9%)」となっており、複数アカウントを用途別に細かく切り分けて運用している様子が見て取れます。
このサマリーではアカウントの種類が公開アカウントか非公開アカウントかまではわからないのですが、両方を運用するために「2つ」のアカウントを使っているのであれば、Twitterサークルは便利になる機能でしょう。
ただ、「5つ以上」のアカウントを運用している人には物足りないかもしれません。5つ以上の複数アカウントを利用している人は、情報収集を効率よく行うことを目的としている場合が多いと考えられるからです。アカウントごとに「推し専用アカウント」「ビジネス情報収集アカウント」などと分け、ツイートを読む専用にしている場合です。そのため、Twitterサークルが正式運用されても、複数アカウントを使い分ける人は多いのではないでしょうか。
とはいえ、1アカウントで2種類の発信方法が選べるのはありがたいもの。サブアカウントでも2種類、趣味アカウントでも2種類となれば、ツイートの自由度は広がりそうです。
注意点としては、サークルに後から追加された人も以前のツイートをさかのぼって読めることと、サークルのメンバーはサークルを作った本人しか確認できないことでしょう。新たなメンバーに不用意な発言を見つけられてしまったり、サークルのメンバーがサークルにいるとは知らずに他のメンバーの悪口をリプライしてしまう可能性があります。
Twitterコミュニティにも言えることですが、相手を限定するといっても何を書いてもいいわけではありません。誰かに知られては困る発言や、周囲を不快にさせる内容をツイートすることはやめておきましょう。