こんにちは、阿久津です。Windows OSではWindows XP以降、ZIP形式をはじめとする圧縮ファイルを「圧縮フォルダ」という機能でサポートするようになりました。そもそもクライアントコンピュータで使用される圧縮形式の多くは、ネットワーク速度が著しく遅いパソコン通信時代に、送受信データ量を軽減するために生まれたため、コンピュータ初心者の中にはピンと来ない方もおられます。その点を考慮したWindows XPでは、フォルダという概念を利用し、わかりやすいユーザーインタフェースを用意したのでしょう。
しかし、ある程度コンピュータに詳しい方にとって、初心者向けユーザーインタフェースは煩雑となり、機能的にも当時主流だった圧縮伸張ツールと比べると見劣りするため、それまで使っていた同ツールを使い続けている方が多かったのもうなずけます。また、Windows XPの検索機能は、検索対象が圧縮ファイル(具体的にはZIP形式、およびCAB形式)の内容にまで及んでいたため、ファイル検索時の負荷が高まるというマイナス点も。そのため、Windows OSをチューニングするユーザーの多くは、圧縮フォルダ機能を無効にし、検索性の向上と圧縮伸張ツールを使用していました。
さて、Windows 7の圧縮フォルダ機能を無効にする必要性はあるのでしょうか。結論から言えば、"使い続けるメリットがない"と言うのが正直なところでしょう。
前述のとおり、圧縮フォルダ機能は利便性を優先し、機能的に見劣りする部分がありますが、Windows Vista以降の同機能は、ZIP形式のパスワード設定機能が削られてしまい、圧縮ファイルにパスワードを施すことができません。圧縮ファイルを開くとカラムの1つに「パスワード保護」があり、その圧縮ファイルがパスワード付きなのか、判断しやすくなりましたが、同機能の削除により、パスワード設定を必要とするユーザーには、代替えツールが必要となりました。また、Windows XP時代にネックとなった圧縮ファイルに対する検索機能は、既定値が無効になっていますので、圧縮フォルダ機能を無効にするメリットは小さいと言えるでしょう(図01~05)。
図04: インデックス作成対象外フォルダに対する検索時は、圧縮ファイルの内容に対する検索は無効になっています |
図05: 任意のフォルダをインデックス作成対象に加える際も、拡張子「ZIP」「CAB」といった圧縮ファイルに対しては、ファイル名といった基本情報のみ対象となります |
それでも、"不要な機能が備わっているのは面白くない"と考える方は少なくありません。そこで今週は圧縮フォルダ機能を無効にし、無駄な機能を削るチューニングをお送りしましょう。
1.[Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「regedit」と入力してから<OK>ボタンをクリックします。
2.レジストリエディタが起動したら、HKEY_CLASSES_ROOT \ .zipまでキーをたどって開き、同キーを選択した状態で<ファイル>メニューから<エクスポート>を選択します。
3.ダイアログが起動したら、わかりやすい名前を付けてレジストリファイルを保存してください。これでレジストリのバックアップが行なわれます。
4.先ほどの.zipキーを右クリックし、メニューにある<削除>をクリックします。確認をうながすダイアログが表示されたら<はい>ボタンをクリックしてください。
5.同様の手順で、HKEY_CLASSES_ROOT \ .zfsendtotargetキーのバックアップと削除を行ないます。
6.同様の手順で、HKEY_CLASSES_ROOT \ Applications \ zipfldr.dllキーのバックアップと削除を行ないます。
7.同様の手順で、HKEY_CLASSES_ROOT \ CompressedFolderキーのバックアップと削除を行ないます。
8.今度はHKEY_CLASSES_ROOT \ CLSID \ {888DCA60-FC0A-11CF-8F0F-00C04FD7D062}キーを開き、同キーを右クリック。メニューにある<アクセス許可>をクリックします。
9.「~のアクセス許可」ダイアログが起動したら、<詳細設定>ボタンをクリックします。
10.「~詳細設定」ダイアログが起動したら、<所有者>タブにある「Administrators」グループを選択した状態で<OK>ボタンをクリックします。
11.元のダイアログに戻ったら、「Administrators」グループをクリックしてから、「フルコントロール」の「許可」をクリックしてチェックを入れた後、<OK>ボタンをクリックします。
12.同様の手順で、HKEY_CLASSES_ROOT \ CLSID \ {888DCA60-FC0A-11CF-8F0F-00C04FD7D062}キーのバックアップと削除を行ないます。
13.同様の手順で、HKEY_CLASSES_ROOT \ CLSID \ {b8cdcb65-b1bf-4b42-9428-1dfdb7ee92af}キーのバックアップとアクセス権限の変更を行なってから、同キーを削除します。
14.同様の手順で、HKEY_CLASSES_ROOT \ CLSID \ {BD472F60-27FA-11cf-B8B4-444553540000}キーのバックアップとアクセス権限の変更を行なってから、同キーを削除します。
15.同様の手順で、HKEY_CLASSES_ROOT \ CLSID \ {E88DCCE0-B7B3-11d1-A9F0-00AA0060FA31}キーのバックアップとアクセス権限の変更を行なってから、同キーを削除します。
16.同様の手順で、HKEY_CLASSES_ROOT \ CLSID \ {ed9d80b9-d157-457b-9192-0e7280313bf0}キーのバックアップとアクセス権限の変更を行なってから、同キーを削除します。
17.今度はHKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Shell Extensions \ Approvedまでキーをたどって開き、ステップ08~16で削除したクラスID名を持つ文字列値があるか確認し、存在する場合は各値を削除してください。
18.64ビット版Windows 7の場合は先の手順を参考に、HKEY_CLASSES_ROOT \ Wow6432Node \ CLSID \ {888DCA60-FC0A-11CF-8F0F-00C04FD7D062}キー、HKEY_CLASSES_ROOT \ Wow6432Node\CLSID \ {b8cdcb65-b1bf-4b42-9428-1dfdb7ee92af}キー、HKEY_CLASSES_ROOT \ Wow6432Node \ CLSID \ {E88DCCE0-B7B3-11d1-A9F0-00AA0060FA31}キー、HKEY_CLASSES_ROOT \ Wow6432Node \ CLSID \ {ed9d80b9-d157-457b-9192-0e7280313bf0}キー、HKEY_CLASSES_ROOT \ Wow6432Node \ CLSID \ {BD472F60-27FA-11cf-B8B4-444553540000}キーの5つを削除します。
19.以上の操作を終えたらレジストリエディタを終了させましょう。
20.<スタート>メニューの電源ボタンメニューから<ログオフ>を選択して、Windows 7に再ログオンします。
以上でチューニング終了です(図06~24)。
図10: 今度はHKEY_CLASSES_ROOT \ .zfsendtotargetまでキーをたどって開き、図07~08を参考にバックアップを作成してから、同キーを右クリック。メニューから<削除>をクリックします。確認をうながすダイアログが表示されたら<はい>ボタンをクリックしてください |
図11: 今度はHKEY_CLASSES_ROOT \ Applications \ zipfldr.dllまでキーをたどって開き、図07~08を参考にバックアップを作成してから、同キーを右クリック。メニューから<削除>をクリックします。確認をうながすダイアログが表示されたら<はい>ボタンをクリックしてください |
図12: 今度はHKEY_CLASSES_ROOT \ CompressedFolderまでキーをたどって開き、図07~08を参考にバックアップを作成してから、同キーを右クリック。メニューから<削除>をクリックします。確認をうながすダイアログが表示されたら<はい>ボタンをクリックしてください |
図13: 今度はHKEY_CLASSES_ROOT \ CLSID \ {888DCA60-FC0A-11CF-8F0F-00C04FD7D062}までキーをたどって開き、図07~08を参考にバックアップを作成してから、同キーを右クリック。メニューから<アクセス許可>をクリックします |
図16: 元のプロパティダイアログに戻ったら、一覧から「Administrators」グループを選択し、「~アクセス許可」の<フルコントロール>をクリックしてチェックを入れてから<OK>ボタンをクリックします |
図17: 先ほどの{888DCA60-FC0A-11CF-8F0F-00C04FD7D062}キーを右クリックし、メニューから<削除>をクリックします。確認をうながすダイアログが表示されたら<はい>ボタンをクリックしてください |
図22: 最後にHKEY_LOCAL_MACHINE \ SOFTWARE \ Microsoft \ Windows \ CurrentVersion \ Shell Extensions \ Approvedキーを開き、図13~21で行なった各キーの削除と重なるクラスIDが文字列値として残っている場合は各値を削除します。通常は自動的に削除されるので問題ありません |
Windows 7に再ログオンしますと、エクスプローラのナビゲーションウィンドウに表示されていた圧縮フォルダ(ZIP形式ファイル)が列挙されなくなりました。また、「インデックスのオプション」のプロパティダイアログにある<ファイルの種類>タブでは関連付けが削除されたため、白いアイコンに変化し、コンテキストメニューの<送る>→<圧縮フォルダ>も自動的に削除されます(図25~27)。
今回は手順が冗長になったため、削除対象となるキーを下記に掲載致しますので、参考になさってください。そろそろ誌面も尽きてきましたので、CAB形式およびLZH形式の無効化手順は次週お送り致します。ご了承ください。
ZIP形式を無効にするために削除するキーおよび値
HKEY_CLASSES_ROOT\
.zip\
PerceivedType\
OpenWithProgids\
CompressedFolder\
PersistentHandler\
.zfsendtotarget\
Applications\zipfldr.dll\
CompressedFolder\
CLSID\
{888DCA60-FC0A-11CF-8F0F-00C04FD7D062}\
{b8cdcb65-b1bf-4b42-9428-1dfdb7ee92af}\
{BD472F60-27FA-11cf-B8B4-444553540000}\
{E88DCCE0-B7B3-11d1-A9F0-00AA0060FA31}\
{ed9d80b9-d157-457b-9192-0e7280313bf0}\
HKEY_LOCAL_MACHINE\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\Shell Extension\Approved\
{888DCA60-FC0A-11CF-8F0F-00C04FD7D062}
{b8cdcb65-b1bf-4b42-9428-1dfdb7ee92af}
{BD472F60-27FA-11cf-B8B4-444553540000}
{E88DCCE0-B7B3-11d1-A9F0-00AA0060FA31}
{ed9d80b9-d157-457b-9192-0e7280313bf0}
ZIP形式を無効にするために削除するキーおよび値(64ビット版)
HKEY_CLASSES_ROOT\Wow6432Node\CLSID\
{888DCA60-FC0A-11CF-8F0F-00C04FD7D062}\
{b8cdcb65-b1bf-4b42-9428-1dfdb7ee92af}\
{BD472F60-27FA-11cf-B8B4-444553540000}\
{E88DCCE0-B7B3-11d1-A9F0-00AA0060FA31}\
{ed9d80b9-d157-457b-9192-0e7280313bf0}\
それでは、また次週お会いしましょう。
阿久津良和(Cactus)