こんにちは、阿久津です。以前からアナウンスされているとおり、Windows 8 Proは優待価格が5,800円(ダウンロード版は3,300円)で販売されていましたが、本キャンペーンは本日1月31日をもって終了。2月1日からは25,800円(ダウンロード版も同額)に戻ります。併せてプリインストール版しか提供されなかった、下位エディションのWindows 8も単独販売される予定。こちらの価格は13,800円(アップグレードパッケージProパックは12,800円)。本日もしくは明日の時点では冒頭述べた価格で購入できますので、今すぐアップグレードせずとも今後インストールする可能性がある場合は、このタイミングで購入することをお勧めします。

そのWindows 8をリリースするMicrosoftが、非上場化を目指すDELLに食指を動かしているとロイターなど各報道機関が報じました。DELLの非上場化についてはJunya Suzuki氏のレポート記事をご覧いただくとして、Microsoftが10億から30億ドルの出資を検討している理由を考えてみましょう。

本来Microsoftはソフトウェアを中心に開発・販売してきた企業ですが、同社がリリースしたMicrosoft Surfaceのように、周辺機器だけではなくコンピューター本体の販売に進出するようになりました。2月9日(米国時間)にはARM SoCではなくIntel製プロセッサを搭載したMicrosoft Surface Proをリリース(日本国内は未定)するように、自社でハードウェアをコントロールする術(すべ)を模索しているように見受けられます。

その背景にはiPadで成功を収めたAppleや、Nexus 7でタブレット市場を席巻し始めつつあるGoogleといったライバル企業の存在があります。10インチクラスや7インチクラスのタブレット型コンピューターを所有している方はご承知のとおり、Webブラウジングなどの情報閲覧や電子メールの送受信程度の受動的な使い方であれば、デスクトップ/ノート型コンピューターは必須と言えません。

一方で多くのユーザーがプライベートシーンのコンピューター活用例として、受動的な使い方をしているカジュアルユーザーは多く、特にWindowsのようなデファクトスタンダードOSを選択しているユーザーはその傾向が強いため、タブレット型コンピューターの流行に寄与しました。Microsoftは、このビジネスモデルを踏襲するためにDELLという巨大なコンピューター製造・販売企業を影響下に置きたいのでしょう。

パーソナルコンピューターが世に登場して(1974年のAltair 8800から数えて)、39年の月日が経ちました。過渡期を過ぎつつあるコンピューターのあり方は大きく変化しつつあります。我々ユーザーはその推移を見定めつつ、適切な選択を求められているのでしょう。

さて、Windows 8のスタート画面は従来のスタートメニューに置き換わる機能であり、Windowsストアアプリやデスクトップアプリを起動するための重要なランチャーです。そのため、Windows 7以前のようにスタートメニューに登録したショートカットファイルをバックアップしておくのが安全ですが、スタート画面に並ぶタイルは"ピン留め"されているため、単純にバックアップすることはできません。

そもそもスタート画面に並ぶタイルは、「%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\appsFolder.itemdata-ms」というファイルで管理されており、ピン留め情報やタイルの配置を変更しますと、バックアップファイルとなる「appsFolder.itemdata-ms.bak」を作成してから同ファイルを更新する仕組みです(図01~07)。

図01 こちらが操作前のスタート画面。見やすくするためにタイルのサイズやデスクトップアプリをピン留めしました

図02 [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図03 フォルダー内にある「appsFolder.itemdata-ms」および「appsFolder.itemdata-ms.bak」をデスクトップなどに移動します

図04 その後スタート画面のユーザータイルメニューから<サインアウト>をクリックします

図05 これでスタート画面は初期状態に戻ります。インストール済みの各アプリケーションに影響はありません

図06 図03で削除せずにデスクトップなどに移動したファイルを「%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows」フォルダーに書き戻します

図07 再びWindows 8へ再サインインしますと、タイルの配置やサイズ、ピン留めしたタイルなどが復活します

ただし、「%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\Application Shortcuts」フォルダー(エクスプローラーでは「アプリケーションのショートカット」と表示される)と連動し、「メール」や「ニュース」などを除いた非標準Windowsストアアプリのショートカットファイルを削除しますと、スタート画面から取り除かれます。このロジックを踏まえますと、スタート画面におけるWindowsストアアプリのタイルは同リンクファイルと連動しているのでしょう。

そこで今週は、スタート画面のピン留め情報をバックアップ/復元するチューニングをお届けします。なお、一部の環境では先の時点でエラーが発生する場合がありますので、その際は本チューニングは実行しないでください。

1. メモ帳などに「Pinned-Backup.bat」の内容を入力し、「Pinned-Backup.bat」として保存します。
2. メモ帳などに「Pinned-Restore.bat」の内容を入力し、「Pinned-Restore.bat」として保存します。

01「Pinned-Backup.bat」の内容

@echo off
setlocal
set TDir=%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows
set BDir=%USERPROFILE%\Documents\Pinned-Backup
set F01="%TDir%\appsFolder.itemdata-ms"
set F02="%TDir%\appsFolder.itemdata-ms.bak"

if not exist %BDir% (mkdir %BDir%)
copy /Y %F01% %BDir%
copy /Y %F02% %BDir%

endlocal

02「Pinned-Restore.bat」の内容

@echo off
setlocal
set TDir=%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows
set BDir=%USERPROFILE%\Documents\Pinned-Backup
set F01="%BDir%\appsFolder.itemdata-ms"
set F02="%BDir%\appsFolder.itemdata-ms.bak"

copy /Y %F01% %TDir%
copy /Y %F02% %TDir%

endlocal

これでチューニングが終了しました(図08~11)。

図08 「notepad」を実行するなどしてメモ帳を起動し、「Pinned-Backup.bat」の内容を入力してから<×>ボタンをクリックします。保存をうながすダイアログが現れたら<保存する>ボタンをクリックしてください

図09 テキストボックスに「"Pinned-Backup.bat"」など好みのファイル名を入力し、保存先をユーザーフォルダーなどに変更してから<保存>ボタンをクリックします

図10 「notepad」を実行するなどしてメモ帳を起動し、「Pinned-Restore.bat」の内容の内容を入力してから<×>ボタンをクリックします。保存をうながすダイアログが現れたら<保存する>ボタンをクリックしてください

図11 テキストボックスに「"Pinned-Restore.bat"」など好みのファイル名を入力し、保存先をユーザーフォルダーなどに変更してから<保存>ボタンをクリックします

それでは結果を確認してみましょう。今回はユーザーフォルダーにバッチファイルを作成しましたので、同フォルダーを開いて「Pinned-Backup.bat」を実行してください。これで「appsFolder.itemdata-ms」および「appsFolder.itemdata-ms.bak」の2ファイルは、バッチファイル内の環境変数「BDir」で指定したフォルダーに作成されます。復元の際は「Pinned-Restore.bat」を実行してください(図12~14)。

図12 ユーザーフォルダーに作成した「Pinned-Backup.bat」をダブルクリックで実行します

図13 バッチファイルが起動し、「%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Windows\appsFolder.itemdata-ms」および「appsFolder.itemdata-ms.bak」のコピーを実行します

図14 各ファイルはバッチファイル内の環境変数「BDir」で指定したフォルダーに作成されます

バックアップ時は不要ですが、復元操作を適用するにはWindows 8への再サインインが必要となりますので、バッチファイル末尾に「logoff」コマンドを加えて、自動的にサインアウトする仕組みを加えても面白いでしょう。定期的にバックアップを実行するのであれば、タスクスケジューラーなどに登録することをお勧めします。

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus