こんにちは、阿久津です。Microsoftのサポート文書KB2671501によると、Windows 8 Developer Previewの有効期限を延期する更新プログラムが公開されたそうです。そもそもWindows 8 Developer Previewの使用期限は、2012年3月11日(Windows 8 Server Developer Previewは同年4月8日:いずれも米国時間)に設定されていました。しかし、本更新プログラムを適用することで、2013年1月15日まで延長されます。

同更新プログラムの適用を実際に試しますと、通常の更新/修正プログラムと同じくコンピューターの再起動を求められました。再起動後はバックグラウンドでライセンス認証を行うためのアクティベーションプログラムが起動し、使用期限が延長されるという仕組みです(図01~04)。

図01: Windows 7 Developer Previewのバージョン情報ダイアログ。日本国内で使用しているため、使用期限が2012年3月12日となっています

図02: Windows 7 Developer Previewの使用期限を延長する更新プログラム「KB2671501」を適用することで、2013年1月15日まで使用可能になります

図03: 再起動後は自動的に再アクティベーションが実行されました。画面は執筆時の日付が表示されています

図04: 「KB2671501」を適用してしばらくたった後のバージョン情報ダイアログ。使用期限が2013年1月16に延長されています

本来なら今月末(日本は3月早々)に公開されるWindows 8 Consumer Previewに乗り換えるユーザーが大半でしょう。だが、ハードウェア/ソフトウェア開発現場などOSの入れ替えコスト発生を嫌うユーザーや、同Consumer Previewに更新できないユーザーを考慮し、本延長が行われたのだと思われます。本稿が掲載された翌日には同Consumer Previewが公開されますので、重要な情報ではありませんが、現在も同Developer Previewを使用し続けなければならない方は、Windows Updateの適用状態を確認してください。

さて、Windows OSには以前から、必要最小限のデバイスドライバーを読み込み、スタートアップに属しているプログラムを起動しない「セーフモード」が用意されています。しかし、コンピューターが起動してBIOSのPOST(Power Of Self Test)プロセスの終了後に特定のキー(現在は[F8]キー)を押すと現れるWindowsブートマネージャーを操作しなければなりません。

本来セーフモードはコンピューター初心者はもちろん、本チューニングを楽しんでいる多くの読者が使用する場面が多いため、もっと気軽に呼び出せるべきでしょう。そこで今回はWindowsブートマネージャーにセーフモードを追加するチューニングをお送りします。

1.管理者権限でコマンドプロンプトを起動します。
2.「bcdedit /enum /v」と実行します。
3.「Windowsブートローダー」セクションに並ぶ「identifier」の内容をコピーします。
4.「bcdedit /copy {identifier番号} /d "Windows 7 セーフモード"」(identifier番号はステップ03で取得したクラスID)と実行します。
5.管理者権限でシステム構成(msconfig.exe)を起動します。
6.<ブート>タブに並ぶステップ04で作成したエントリをセーフモードに変更し、<すべてのブート設定を固定する>を選択してから<OK>ボタンをクリックします。
7.操作の確認をうながすダイアログには、<はい>ボタンをクリックしてください。
8.再起動をうながすダイアログには、<再起動しないで終了する>ボタンをクリックしてください。

これでチューニングが終了しました(図05~14)。

図05: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「cmd」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図06: コマンドプロンプトが起動したら、「bcdedit /enum /v」と入力して[Enter]キーを押します

図07: Windowsブートマネージャーの内容が表示されたら、適当な場所で右クリックします。メニューから<範囲選択>をクリックしてください

図08: 「Windowsブートローダー」セクションに並ぶ「identifier」の内容(画面のレイでは「{059b541d-8ed5-11de-9d66-9d86955c4832}」)を選択して右クリックします。これでクリップボードに内容がコピーされました

図09: 続いて「bcdedit /copy {identifier番号} /d "Windows 7 セーフモード"」と入力して[Enter]キーを押します。今回の例では「bcdedit /copy {059b541d-8ed5-11de-9d66-9d86955c4832} /d "Windows 7 セーフモード"」です

図10: 今度は「exit」と入力して[Enter]キーを押してください。これでコマンドプロンプトが終了します

図11: [Win]+[R]キーを押して「ファイル名を指定して実行」を起動し、テキストボックスに「msconfig」と入力して<OK>ボタンをクリックします

図12: <ブート>タブを開き、先ほど作成した新しいブートエントリを選択します。「ブート」セクションにある<セーフブート>と、<すべてのブート設定を固定する>をチェックし、<OK>ボタンをクリックします。この際必要であれば「タイムアウト」の時間を調整しましょう

図13: 操作の確認をうながすダイアログが現れます。<はい>ボタンをクリックして変更内容を適用してください

図14: 今度は再起動をうながすダイアログが現れます。<再起動しないで終了する>ボタンをクリックし、作業を完了させましょう

早速結果を確認してみましょう。Windowsブートマネージャーを参照するには結局再起動しなければなりませんので、特に問題がない方はステップ08の時点で<再起動>ボタンをクリックしても構いません。Windowsブートマネージャーが現れますと、従来の「Windows 7」に加えて「Windows 7 セーフモード」という項目が常に表示されるようになります。後は矢印キーで起動するモードを選択し、[Enter]キーを押してください(図15)。

図15: これでWindowsブートマネージャーが常に表示され、セーフモードによる起動を簡単に選択できます

応用としてはネットワーク機能を有効にしたセーフモードや、コマンドプロントを起動するセーフモードを追加してみましょう。ステップ04で使用した「bcdedit /copy」コマンドは単に既存のブートエントリをコピーするというもので、ステップ05~06のシステム構成でセーフモードの有効化やオプション設定を行っています。つまり、同様の操作を繰り返すことで異なるブートエントリを追加することが可能なのです(図16~17)。

図16: 図09で紹介したコマンドの内容を変更して、複数のブートエントリを作成し、システム構成でセーフモードのオプションを変更します

図17: これで各セーフモードをWindowsブートマネージャーから呼び出すことが可能になります

なお、不要になった場合は「bcdedit /delete {identifier番号}」で削除できますが、システム構成の<ブート>タブにある<削除>ボタンを使用した方が簡単です。本チューニングでより良いWindows 7の使用環境を構築してください(図18)。

図18: システムの構成の<ブート>タブで削除するエントリを選択してから<削除>ボタンをクリックすれば、即座にエントリを削除できます

それでは、また次号でお会いしましょう。

阿久津良和(Cactus)