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Windows 10は、ディスプレイサイズに制限されていた作業領域を拡張する「仮想デスクトップ」機能を備えている。仮想デスクトップ自体は目新しいものではなく、他のOSも古くから実装し、Windows XP時代もMicrosoft製ツールで仮想デスクトップを実現していた。今回はWindows 10の仮想デスクトップについて、どのような場面で効果的なのかを考えてみよう。

仮想デスクトップの使い方

仮想デスクトップは、タスクビューボタンを押すと現れる「新しいデスクトップ」を押せば、新たに追加できる。起動中のアプリケーションは、コンテキストメニューやドラッグ&ドロップ操作で仮想デスクトップ間を移動し、仮想デスクトップのサムネイルにある「×」ボタンを押せば、その仮想デスクトップが閉じる仕組みだ。

「タスクビュー」ボタンをクリック/タップし、「新しいデスクトップ」をクリック/タップすると、新たな仮想デスクトップが追加される

仮想デスクトップを閉じる場合は、サムネイルにマウスオーバーすると現れる「×」ボタンをクリック/タップする

アプリケーションはサムネイルを仮想デスクトップにドラッグ&ドロップして移動する

そのまま仮想デスクトップ(画面では「デスクトップ2」)をクリック/タップすれば、そのアプリケーションだけが使用可能になる

アプリケーションの移動はサムネイル部分を右クリック/長押しし、「移動」→「デスクトップ2」と順にクリック/タップしてもよい。また「新しいデスクトップ」を選択すれば、新たな仮想デスクトップの作成と移動を同時に行える

これらの操作は、ショートカットキーを覚えておくとよい。

仮想デスクトップを追加する場合は「Win」+「Ctrl」+「D」キー、仮想デスクトップの切り替えは「Win」+「Ctrl」+「←(→)」キー、アクティブな仮想デスクトップを閉じる場合は「Win」+「Ctrl」+「F4」キーを押す。また、仕様としてデスクトップ上のアイコンは仮想デスクトップで共通。作成した仮想デスクトップ数はサインアウトしても維持される。

マルチディスプレイ環境では?

一見すると便利な仮想デスクトップだが、複数のディスプレイを並べている場合、かえって使いにくい。例えば、3枚のディスプレイをPCに接続している場合、すべてのディスプレイ画面が仮想デスクトップとして切り替わるため、特定のディスプレイだけ必要に応じて切り替えるといった融通が利かないのだ。

マルチディスプレイ環境のデスクトップPCで、仮想デスクトップを使用した状態。決して使いやすいとはいえない

マルチディスプレイはデスクトップの狭さを補う手段のひとつであり、仮想デスクトップとは相反するともいえる。だが、Windowsはこれまで仮想デスクトップを標準サポートしてこなかった結果、マルチディスプレイ環境が発展してきた。いずれ、マルチディスプレイ環境における個別のディスプレイ画面において、別々の仮想デスクトップを使い分けられるようになってほしいものだ。

2-in-1 PCやタブレットに最適

基本的に仮想デスクトップは、シングルディスプレイ環境で威力を発揮する。狭いデスクトップでは、複数のアプリケーションを並べて表示して、マルチタスク的に操作を行うことは難しい。

筆者の場合だと、テキストエディターで原稿を書きながら、撮影した画像をチェックしつつリネームやレタッチを行うのが普段の作業スタイルだ(もちろんWebブラウザも)。仮想デスクトップを使うときは、「仮想デスクトップ1」をテキストエディター、「仮想デスクトップ2」を画像ビューア、「仮想デスクトップ3」をフォトレタッチアプリケーションと切り替えることで、作業効率は大幅に向上する。

タブレット(解像度は1,280×800ピクセル)で仮想デスクトップを使用中。「仮想デスクトップ1」にテキストエディターとエクスプローラー、「仮想デスクトップ2」にWebブラウザー、「仮想デスクトップ3」に画像ビューアを起動している

仮想デスクトップを使う上で注意したいのが、「設定」の「システム\マルチタスク」だ。「仮想デスクトップ」セクションでは、タスクバー上のボタンや「Alt」+「Tab」キーによるタスク切り替えの動作として、「すべてのデスクトップ」「使用中のデスクトップのみ」の2つから選択できる。

「Win」+「I」キーを押すなどして「設定」を起動し、「システム」→「マルチタスク」と順にクリック/タップしたら、「仮想デスクトップ」セクションで各所の動作を選択する

既定値は「使用中のデスクトップのみ」だが、「Alt+Tabキーを押したときに次の場所で開いているウィンドウを表示する」-「すべてのデスクトップ」を選ぶと、仮想デスクトップの切り替え操作をスキップしてアプリケーションを選択できるようになる。仮想デスクトップをよく使う場合は、変更しておくとよいだろう。

阿久津良和(Cactus)