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「about:flags」からTCF Fast Openを有効化

Microsoft Edgeは、トランスポートレイヤー層のTCPで従来の3 Way Handshake(3WH)を簡略化するTCP Fast Open(TFO)をサポートしている。だが、既定では有効になっていない。

TFOはRFC 7413で策定した最適化手法である。3WHは、文字どおり3回の通信を行って、通信の保証を担保してからデータを受信していたが、TFOはCookieを用いて通信を保証するというものだ。

詳細は省くが(興味があればネットワーク文献をご覧いただきたい)、Microsoft EdgeでTFOを有効にすると、Webブラウジングが高速化する可能性がある。手順は以下の通りだ。

アドレスバーなどに「about:flags」と入力して「Enter」キーを押す

並んだ項目から「TCP Fast Openを有効にする」をクリック/タップしてチェックを入れる。メッセージどおり、Microsoft Edgeの再起動をうながされるので、「×」ボタンをクリック/タップ

設定の効果を何らかの方法でお見せしたかったが、Microsoft Edgeを自動化するのは少々厳しいため、TFOの効果を別のOSで確認してみた。

こちらはTFOを未使用の状態。httpingの平均値は0.6ミリ秒だった

一方でTFOを有効にするオプション「-F」を加えた場合、平均値は0.4ミリ秒まで短縮した

Linuxにて、「/proc/sys/net/ipv4/tcp_fastopen」の内容を「3」に変更し、TFOの適用範囲をサーバー/クライアントに変更している。その上で、TFOに対応する「Httping」をクライアントとして用いた結果を示したのが上図だ。

今回は遅延を無効にするオプション「-f」を使用し、1,000回の結果を示しているが、その差は平均値が0.2ミリ秒ほど短縮したことを確認できる。数値結果としてはごくごくわずかだが、「塵(ちり)も積もれば山となる」の言葉どおり、日々のWebブラウジング時間は短縮するはずだ。

なお、2017年10月17日のリリースが決定したWindows 10 Fall Creators Updateだが、Windows 10 Insider Previewで確認したところ、TFOに関する設定は「自動」に変更されていた。TFOはWebサーバー側の対応も必要だが、MicrosoftはTFOが普及しつつある状況を踏まえて、対応するサーバーでは利用可能にするものと思われる。

Windows 10 Insider Preview ビルド16281のMicrosoft Edgeでは、TFOの設定が「常にオン」「自動」「常にオフ」をドロップダウンリストから選択できる

阿久津良和(Cactus)