学校法人角川ドワンゴ学園「N高等学校」は4月5日、東京都港区のニコファーレ、および沖縄伊計本校にて平成29年度 N高等学校ネット入学式を開催した。
第2期のN高入学式も昨年に続きニコファーレで開催。MR(複合現実)対応ヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」を使って、ウルグアイ前大統領 ホセ・ムヒカ 氏や、沖縄にいる奥平 校長らが仮想的に登壇した |
開校1年目の昨年に開催したVR入学式が話題を呼んだN高。今年はさらに進化させたMR(Mixed Reality)入学式を実施。参加した67名(新入生は2002名)は、透過型のヘッドマウントディスプレイ「Microsoft HoloLens」を装着して、現実と仮想を合成した世界の中で人生の節目を祝福された。
N高によると、今回の入学式は、HoloLensを同時多数活用した世界初の例になるという。ITスキルの習得を特徴の一つに掲げる同校が、入学初日から生徒に最先端技術を体験させたかたちだ。
入学式でまず祝辞を述べたのが、沖縄で参加した奥平 博一 校長。「高校生の貴重な時間を使って、事の大小を問わず、さまざまなことに挑戦してほしい」と説明。また、「家族や友人を大切にし、困ったときには遠慮せずに周りに相談してほしい」とアドバイスし、「私自身は、(沖縄にいるため)多くの生徒の近くにはいられないが、新たな未来へ向かっていくため、なるべく寄り添っていきたい」と熱い想いを伝えた。
なお、今回の入学式では、沖縄伊計本校に生徒はおらず、出席者は教職員のみ。校長らは、カメラの前の壇上に立ち、祝辞を述べた。
続いて、理事の佐藤 辰男 氏、角川 歴彦 氏、川上 量生 氏が登壇。こちらは実際に壇上に立ち、新入生に高校生活を充実させるためのアドバイスを送った。
佐藤 理事は、「高校卒業資格をとるのが第一の目的になると思いますが、N高にはそれ以上のさまざまなカリキュラムがあります。大学受験のポイントを指導するプロの先生がいますし、実際の現場に参加する職業体験プログラムなども用意しています。ぜひ自分の未来を見つけてほしい」とコメント。
角川 理事は、「N高は、パートナーにKADOKAWAとドワンゴがついていて、アニメーションもライトノベルも音楽も学べる。デジタル、クリエイティブに非常に強い学校」と説明。プロが教えてくれる貴重な環境を活用してほしいと話した。
川上 理事は、新入生を前に「N高は2つの目標の下に創立しました。一つは、ネットで学校生活を充実させること。もう一つは、人生を変える出来事を取り込むこと」と説明。前者に関しては、「ネットの世界は、時間や空間の制限を乗り越えられることが大きな利点」としたうえで、「通常の通信制高校では、遠方の生徒が入学式に参加するのは難しい。N高は、こうして沖縄とMRで中継しているうえ、会場にいない生徒も配信動画を通じて閲覧しています」と紹介し、そうしたネットの特徴を活用してほしいと強調した。
また、後者に関しては、「通常のカリキュラムだけでも高校卒業資格を取れるが、N高が力を入れているのそれ以外の部分」と紹介。技術体験の授業などを通じて、「終生の友達を見つけること」「生きる術を身に付けること」の2つを達成してほしいとし、「何事も一歩を踏み出さないと進まない。友達も積極的に作ろうと思わないと作れない。ぜひ、一つ一つを掴み取り、今後の人生を変える体験をしほてしい」とエールを送った。
そのほか、N高の通学コースのキャンパスである東京校(代々木キャンパス)、大阪校(心斎橋キャンパス)を中継し、施設や雰囲気を紹介。さらには、ウルグアイ前大統領で、質素な暮らしをすることから「世界一貧しい大統領」として知られるホセ・ムヒカ 氏のビデオメッセージも流した(メッセージ全文は最後に掲載)。ムヒカ氏は、MRで壇上にも登場するかたちで、新入生に言葉を送っている。
ウルグアイ前大統領 ホセ・ムヒカ 氏からビデオメッセージ。「物欲を満たして無駄にしているのは、お金ではなく、そのお金を稼ぐために費やしてきた時間だ」と説く。また、「世界では1分当たり200万ドルが軍事費に当てられているのに、資金がないと言ってアフリカの飢餓は放置している」と嘆いた。 |
こちらもHoloLensを通すと、壇上にいるように見える。祝辞全文は、本稿末に掲載 |