狭めの「食事天板」でノートPCを使う

ベッドの柵に載せて使えるオーバーテーブル、または、アジャストテーブルにノートPCを置けば、ベッドの上でもノートPCが使えるようになりました。ただ、ベッドの上に座った姿勢ではノートPCを使っているうちに腰が痛くなってきます(そもそも病状として長い時間PCを使うことができませんが)。

倒れて最初に収容された横須賀中央市民病院に入院していた期間は、発症した脳内出血の治療と回復がメインで、リハビリ以外はベッドの上で過ごす時間がほとんどでした。しかし、入院期間が1カ月を過ぎ(正確には収容されてから37日後)脳内出血の病状が落ち着いたころ、筆者は神奈川リハビリテーション病院に転院します。このころから筆者は、入院生活の多くを車いすの上で過ごすことになりました。

転院にあたってもノートPCの利用を主治医と病棟を管理する看護部に申し出て許可を得ることができました。しかし車いすでの生活がメインとなったため、ベッドの上で使うオーバーテーブルやアジャストテーブルではなく、個人用のキャビネットとして備えていたフヨー製の「キャビネット ハイタイプ FWK-200F」(フヨーでは、このタイプのキャビネットを「床頭台」と呼んでいます。それゆえ、この連載でも床頭台と呼ぶことにします)に備わっている「食事天板」にノートPCを置いて、車いすに座った状態で使うことになりました。

  • 神奈川リハビリテーション病院では車いすの生活になったため、床頭台に備えた「食事天板」にThinkPad T14s(AMD)を置き、筆者は車いすに座った状態で使っていた

となると、使いたいノートPCの幅と奥行きのサイズが食事天板に収まらないといけません。

フヨーのWebサイトではハイタイプ FWK-200Fのサイズについてキャビネット全体のサイズ(幅487ミリと奥行き530ミリ、高さ1735ミリ)は公開していますが、食事天板のサイズについて記載しておりません。

そこで筆者が実際に図ってみたところ、幅が約434ミリ、奥行きが約344ミリとなりました。ちなみに食事天板上面の床からの高さも実測したところ約720ミリで一般的な机の高さとほぼ同じです。

車いすの座面は一般的に床から44センチ前後。それにクッションの厚さ(座った状態で3センチ前後)が加わりますが、筆者がその状態で2カ月程度使った感想は「いたって問題なし。むしろクッションが厚くて快適」でした。

  • 神奈川リハビリテーション病院の病室に備えてあったフヨー製の「キャビネット ハイタイプ FWK-200F」(フヨーのWebページより)

ノートPCは載せられても、マウスが……

その食事天板にThinkPad T14s(AMD)を載せていれば、幅も奥行きも余裕をもって載せることができる……はずなのですが、実際に使っているとちょっとだけ問題があることに気が付きます。

ThinkPad T14s(AMD)のような14型クラスのディスプレイを載せたノートPCを食事天板の左端に載せると右側に幅100ミリ程度のスペースができます。

見た感じ十分な面積に思えますが、実際にマウスを載せてみると「左右に動かす余白がほとんどない!」ことに気が付きます。

“一般的”なマウスの幅は60ミリ前後であることが多く(例えばサンワサプライが中型マウスとして紹介している「MA-BLC194SBK」の幅は58.6ミリ)、これを30ミリ程度の“余白”で使いこなすのは難しいものがあります。

この事情は、モバイルノートPCで一般的な13.3型ディスプレイを搭載したモデルでもあまり変わらないでしょう。そういう意味では、ポインティングデバイスにトラックポイントを使え、マウスがいらないThinkPadを使えたのは幸いでした。

  • 食事天板にThinkPad T14s(AMD)を置いて真上から撮影。右わきにできるスペースの幅は100ミリ程度しかなくマウスを使うには狭い