エプソンダイレクトのフラグシップモデル「Endeavor Pro7000」。前回はそのスペックの高さを解説したが、今回はメンテナンス性の高さ、そして映像関連での強さをチェックしていく。長年ヘビーユーザーを魅了してきた、同社ならではの使いやすさが随所に感じられる、パソコン好きほど惚れるマシンだ。

評価機の主な仕様  [CPU] Intel Core i7 965 Extreme Edition(3.20GHz)  [チップセット] Intel X58 Express  [メモリ] 12GB  [HDD] 1TB(500GB×2 RAID0)  [ディスプレイ] なし  [サイズ/重量] 約W209×D90×H498mm/約13.2kg  [OS] Windows Vista Ultimate(64bit版)  [直販価格] 422,520円

ホットスワップが可能な前面HDDベイ

「Endeavor Pro7000」は、Intel最新のクアッドコアCPU「Core i7」にメモリは最大12GBと最新スペックを凝縮している。さらに電源ユニットが1,000Wと、高性能なパーツを安心して使える環境を構築しているのが大きな魅力となっているのは、前回解説したとおりだ。しかし、それだけではないのがPro7000。拡張性やメンテナンス性の高さも見逃せない特徴なのだ。それを象徴しているのが、「Endeavor Pro」シリーズでおなじみとなっているフロントからアクセスできるHDDベイだ。

このHDDベイは、フロントの下部にある鍵つきの扉を開け、専用のマウンタにHDD固定して挿し込むだけで増設できる手軽さが最大の魅力だ。専用のマウンタは、左右にあるプラスチックのストッパーを押し上げ、取っ手部分を手前に引けば簡単に外れる。HDDを固定するには、マウンタの両側面にある4カ所のネジを外したあと、HDDを設置して外したネジで止めるだけ。あとは、ベイにマウンタを戻せばいい。

ベイの奥にはシリアルATAのコネクタと電源コネクタがあらかじめ用意されているので、挿し込むだけで増設は完了だ。あとは、扉を閉めてマシンを起動すれば認識されるという流れだ。なお、HDDは最大4台まで増設が可能になっている。

フロントの扉を開けるだけでHDDを増設できる

HDDは専用のマウンタにネジで固定するだけ。配線は一切必要ない

さらに便利なのが、マシンが起動中でもHDDの交換ができるホットスワップに対応していること。タスクトレイにある「ハードウェアの安全な取り外し」より、マシンから外したいHDDを選択し、停止させれば準備は完了。HDDベイからHDDを引き抜ける状態となる。いちいち電源を切らなくてもHDDを取り替えられるのは、非常にラクだ。ただし、OSがインストールされているHDDはホットスワップできないので注意しよう。

ホットスワップに対応し、OSを起動したままHDDを取り外せる

SLIに対応できる拡張性とフルHDも悠々再生の処理能力

PCI Express x16を2本、PCI Express x8を2本用意している

拡張性の高さも見逃せない。拡張スロットは6スロット用意されており、そのうちPCI Express x16は2本、PCI Express x8は同じく2本となる。さらに、グラフィックスボードを複数装着して性能を高めるマルチGPU技術としては、NVIDIAの「SLI」をサポートする。AMDの「CrossFire X」に関してはエプソンダイレクトとしては動作保証外だが、機能的には対応しているだろう。

BTOで選べるのは、ATI系ではRadeon HD 4870 X2、4850、3450、NVIDIA系では、GeForce GTX 280、GTX 260が選択可能と、マルチGPUに対応した製品がズラリと並んでいる。つまり、将来的にグラフィックスボードを追加して、性能を高めることが可能なのだ。ただし、ユーザーが独自に拡張を行うのはエプソンダイレクトの動作保証外ではあることに注意。

Core i7による高い性能もポイントだ。Intelの最新CPUであるだけに、基本的な処理性能が高いのは語るまでもないが、魅力的なのがクアッドコアに加えて仮想的にひとつのコアをふたつのコアに見せかけて処理する「ハイパースレッディング」技術を備えているために、OS上からは8つのコアがあるように見えること。処理を8つに分散できる威力は非常に大きく、1,920×1,080ドットとフルHDの動画ファイル(WMV形式)を再生しても、CPUの使用率はわずかに4~8%程度であった。高精細な動画を再生しながらでも、ラクラクとほかの作業を並行できる余裕を持っているというわけだ。

OSからは8コアのCPUとして認識される。フルHDの動画再生中でもCPUの使用率は4~8%程度

動画のエンコードでもCore i7の威力を発揮

OSから8つのコアに見える「Core i7」では動画エンコードでもさすがの性能を示した。テスト用に用意したフルHDの解像度で撮影したAVCHD形式の映像ファイル(347MB)を、ペガシスのエンコードソフト「TMPGEnc 4.0 XPress」でMPEG-4 AVC(H.264)形式に変更する(レート調整は2パス固定ビットレート)のに要する時間を測定したが、わずかに13分で完了した。比較用にデュアルコアのCore 2 Duo E6750(2.66GHz)を搭載するマシンで測定したところ、46分13秒という結果となった。ハイビジョン映像の編集やエンコードを快適にやりたいと考えている人にもオススメできるマシンだ。

フルHD動画エンコード時間
Endeavor Pro7000 13分
Core 2 Duo E6750マシン 46分13秒

何でもこなせて長く使える1台

Core i7や高性能なグラフィックボードをBTOにて選べるため、3Dゲームから動画の編集やエンコードまで何でもこなせるマシンに仕上がっている。さらに、クアッドコア&ハイパースレッディングによって、負荷の大きい処理も分散でき、さまざまな作業がラクラクと並行して実行できるのも大きな魅力だ。

さらに、フロントアクセス可能なHDDベイによって手軽にHDDを増設できることや、背面の手回しネジを外すだけで内部にアクセスできるメンテナンス性の高さ。そしてグラフィックスボードを複数装着できるゆとりの拡張性によって、将来的に性能を底上げしたくなった場合に余裕で対応できるといったことも大いなる強みだ。さすが同社のフラグシップモデルだけあって、多くのユーザーが満足できる完成度となっている。

■評価機の仕様
型番 Endeavor Pro7000
CPU Intel Core i7 965 Extreme Edition(3.20GHz)
チップセット Intel X58 Express
メモリ 12GB
HDD 1TB(RAID0キット)
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
グラフィックス NVIDIA GeForce GTX 280
ディスプレイ なし
オーディオ Intel High Definition Audio
ネットワーク 10/100/1000BASE-T
インタフェース USB2.0×10、PS/2×1、VGA出力ほか
サイズ/重量 W209×D490×H498mm/約13.2kg
OS 64bit版Windows Vista Ultimate
直販価格 422,520円