自分の愛馬がレースで勝つ姿を見たくて、馬主になってみたいと思う方もいるでしょう。馬主というとお金がかかりそうなイメージがありますが、具体的にいくらあればなれるのでしょうか? 今回は、収入要件や馬の購入費など、馬主になるためにかかる費用について解説します。

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■馬主登録をするための収入要件

馬主として登録するにはいくつかの要件を満たす必要があり、収入に関する要件もあります。なお、馬主の登録には複数の方法がありますが、この記事では個人登録の場合で解説します。

中央競馬の場合

中央競馬では、以下2つの収入要件が定められています。

  • 継続的に得られる見込みのある所得金額が、過去2年でいずれも年間1,700万円以上あること
  • 継続的に保有する資産の額が7,500万円以上あること

1つ目の条件は所得であり、収入ではないことに注意が必要です。2つめの条件の「資産」とは、本人名義の不動産、預貯金、有価証券です。

地方競馬の場合

地方競馬では、馬主として個人登録するには年間500万円以上の所得が必要です。資産に関する要件はなく、中央競馬より条件が緩和されています。

■馬主になるのに必要な費用

ここからは、馬主になるために実際に支払う費用について見ていきましょう。

競走馬の購入代金

馬主になるなら、まずは馬を購入する必要があります。

もっとも多く取引される1歳馬を例に取ると、令和3年の1歳サラブレッドの平均取引価格は1,236万円、中間価格は550万円です。なお、最高価格は3億3,000万円でした。

預託費用

競走馬は一度購入すれば終わりというわけではなく、維持費が発生します。たとえばJRA施設内の預託では、1頭・1カ月あたり平均70万円がかかり、1年で840万円の支払いが必要です。

地方競馬の場合はやや費用が安くなり、およそ月額15万~45万円です。

■馬主の平均的な収支は?

馬主になると儲かるのか気になる方も多いのではないでしょうか。もちろん個人差があるものの、JRAの平均的な数字を紹介します。

馬主の収入

JRAのレースで馬主が得られる賞金などには、「本賞」「出走奨励金」「特別出走手当」があります。令和3年にJRAで馬主に賞金として支払われた金額は、1頭あたりにすると約796万円でした。

収入と支出の差

収入がおよそ796万円に対し、馬の購入費用は数百万~数千万円、預託費用は年間で840万円ほどかかります。購入の初年度はほぼ赤字になり、2年目以降も預託費用は引き続き発生します。

もちろん、大きなレースで1等になれば巨額の賞金が入ります。たとえば年末におなじみのGIレースである有馬記念の場合、2023年の1等の賞金は5億円でした。

収支が黒字になるかは馬の能力・成績次第ではありますが、大きく儲けるのは並大抵のことではないといえます。

■収入面以外の審査を突破する必要も

馬主として個人登録するための収入要件について、中央競馬は年間所得が1,700万円以上・資産7,500万円以上と、かなりハードルが高くなっています。一方で地方競馬では、年間500万円以上の所得と収入要件は中央競馬より緩く定められています。

馬主登録には収入以外の要件もあり、審査を受ける必要もあるため、興味のある方は登録制度について調べてみてはいかがでしょうか?