カメラを持って2年ほど。ありがたいことに、最近では写真のお仕事をいただけるようになりました。30歳過ぎてゼロからカメラを始めた後発の私は、どうすれば最短で上手くなるかを考えながらシャッターを切ってきました。

そこで、キャリアの浅い私が、実際に悩んだこと工夫したことなどを赤裸々に紹介しつつ、最短で撮影が上手くなるコツをわかりやすくお伝えします。

はじめに……

「最短で」と言いましたが、すみません。上達に「近道」はありません。

ですが、写真は理論である程度撮れます。近道はありませんが、正しい努力を重ねれば誰でも最短で上手くなれるものだと思います。正しい努力をするためには、「上手くなるコツ」を理解する必要があるでしょう。

  • 左がカメラを始めたころの写真、そして右が先日同じ場所で撮った写真です(モデル:火将ロシエルさん)

    ズバリ上手くなるコツは、
  • 認識力を上げること
  • 情報を整理すること

この2つだけです。

認識力とは

まずは「認識力」についてお話しします。認識力と急に言われても、「なんだ?」って感じですよね。

例えば、食レポでは、料理を食べたときに「おいしい!」と言うだけでなく、「素材が、香りが、甘味が……」と、料理を構成する要素を認識して分析し、説明します。写真も同じことではないかと、私は考えているのです。

改めて、先ほどの写真を見てみましょう。

被写体の表情とポーズは認識できていますが、顔も背景も白飛びしていますし、服の黒も締まってない。またISO感度が高くてザラついてしまっていますね。このあたりを、当時は認識できていなかったのです。

続いて最近撮ったものです。

夕方で光が弱かったため、順光(被写体の正面から光が当たっている状態)で撮影。かわいい衣装のほか、顔とセクシーな胸元がポイントなので、そこに光を当てることでハイライトを作りました。また、構図も、胸元を中心に、顔を「三分割法」の交点にくるように配置して、視線誘導を設計しています。

このように、シャッターを切るとき、「光」「撮影環境」「構図」「被写体」「カメラの設定」などをどこまで「認識」できるかが、上達の第一歩です。そして、認識したうえで、「整理」して写真に落とし込む。これが写真を撮るという行為の基本だと私は考えています。

物憂げなロシエルさんを撮るために認識した情報

具体例として、もう1枚ご紹介します。

夕陽を受けてどこか物憂げなロシエルさんといった写真。私がこの写真を撮るうえで認識した情報は、次のようなものです。

まず、環境としては、秋の夕方で光があまり強くありません。そのため、順光を採用しました。場所は屋上です。柵はありますが、背景はそんなにうるさくなさそうなので、少し絞りを開放気味にしてスッキリさせました。また柵の影が印象的なので、服の上に被せる形で写真のアクセントに使います。

色味としては、服の赤と芝の緑が補色関係(色相環で色が正反対であること)になっているので、画面にほかの色を極力入れないようにしました(補色関係はお互いの色を引き立て合います)。

被写体の火将ロシエルさんは、ショートパンツで足がセクシーな衣装。夕陽を当てつつ柵の影で足の立体感を出し、三分割構図の交点に太ももを配置するなど、セクシーな足を強調する工夫をしています。また、秋の夕陽ということで、物憂げな表情やポーズの瞬間を狙いました。

このように、「いかに環境や被写体を認識するか」という認識力を鍛えていくことが最短で写真を上手くなるための必須条件です。なぜこの写真を撮ったのか説明するクセをつけるといいかもしれません(慣れてくると、考えるより先に認識して撮れるようになります)。

もちろん、認識しようとしまいと、シャッターを切ればそれは立派な写真です。何も考えずにすごい写真が撮れることもあります。ただ、認識と整理の裏打ちがあれば、いい写真を撮れる打率が上がってくる。これが上手くなることだと私は考えています。

次回は「認識した情報をいかに整理するか」について、もう少し突っ込んで解説したいと思います。

文章・写真:関根康人(ねっしー)
モデル:火将ロシエル