• OutlookLand

不具合だ、北米での通信障害だと、このところ何かと話題のOutlook(Classic)だが、すでに30年の歴史を持つ。いまでは、Outlook(Classic)と「ロートル」扱いだが、単なるメールアプリではなく、データ形式や表示形式を定義して様々な情報を扱える「グループウェア」だった。カレンダーも連絡先も、ユーザーが表示形式(ビュー)を定義でき、独自の情報を付け加えることもできた。こうした機能は、そもそもLotus Notes(のちにIBMに買収される)に対抗して導入された機能だ。

現在、Officeに付属していたOutlookは、Outlook(Classic)という名前になり、新規に開発されたOutlook(New)がWindows 11に同梱されている。その区別もあるため、過去のバージョンでも、正式名称以外は、すべてOutlook(Classic)と表記する。

Outlook(Classic)は、1997年にOffice 97の一部として配布された(表01)。このときのバージョンはOutlook 8.0である。なぜ、1.0ではないのかというと、Outlook 8.0は、1992年に開発され、Exchangeクライアントとして使われてきたSchedule+ 7.5というスケジュール管理プログラムの後継だったからだ。Outlook 8.0は、Exchange ServerやWindowsに付属していたExchangeクライアントをメール機能のベースにしている。その後もOutlook(Classic)は、その後もずっと改良を続け、Officeの標準ソフトウェアの1つとして使われ続けている。

  • 表01

    表01

Outlook(Classic)は、ExchangeサーバーとMAPIという独自のプロトコルで接続する。これにより、オフラインの間に変化したサーバー側の情報と「同期」が可能になる。メールもExchangeサーバー側で受信し、これをOutlook側と同期させることで「受信」する。

企業などでは、LAN内にExchangeサーバーを設置して利用するのが当初の利用方法だった。最近では、Exchangeサーバーのホスティングサービスもあり、Microsoft側などにあるExchangeサーバーを使うことが可能になった。北米でのMicrosoft 365の障害でOutlook(Classic)のメール機能が影響を受けたのは、MAPIを使い、Microsoft 365側のExchangeサーバーと接続していたからだ。

現在のOutlook(Classic)は、2015年に出荷されたOffice 2016に付属していたOutlook 2016(Outlook 16)がベースになっている。Officeがサブスクリプションになってから、随時アップデートが行われるため、バージョンが同定しにくいが、ベースとなるバージョンは変わっておらず、不具合の修正などは随時おこなわれている。

Outlookとよばれるソフトウェアはもう1つある。1997年に配布されたInternet Explorer 4に付属していたOutlook Express 4.0である。Outlook Expressは、Windows Vista(2006年)が登場するまでは、Windowsの標準メールクライアントだった。ただし、名称が似ているだけでOutlook(Classic)とは直接の関係はない。

Vistaからは、後継ソフトウェアとしてWindows Mail(メール)が付属することになる。Windows Mailは、Windows 10の初期には、「Mail、Calendar、People」などとしてUWPアプリケーションになったこともある。

2022年になると、Windows Mailの後継として「Outlook for Windows」が登場する。Windows 10/11のWindows Mailに、Outlook for Windowsへの切り替えを促す「スイッチ」が搭載された。2022年の段階で、このOutlook for Windowsは「Outlook(New)」(新しいOutlook)と名称が変わり、Officeに付属のOutlookは、「Outlook(Classic)」(クラッシックOutlook)と呼ぶことになった。合わせてOutlook(Classic)の開発終了が決まり、2029年までサポートが行われる予定だ。

かつては、オフィスのグループウェアプラットフォームとして名をはせたソフトウェアも、終焉を迎えつつある。ただ、どちらも、1990年台のソフトウェアとしてはノーコード(コードを使うことは可能)でエンドユーザーが情報管理ツールを作成できた。そのあたりは評価に値する。

今回のタイトルネタは、1981年公開のイギリス映画『アウトランド』(Outland)である。西部劇のあり方を大きく変えたといわれている「真昼の決闘」(HIGH NOON)を下敷きにしたSF映画である。このアウトランドは、以後、宇宙を舞台にしたSF映画の1パターンとなった。