ブラジルに来て、2カ月が経ちました。

来てすぐの頃、家に引きこもってばかりだったのが、もはや懐かしいです。

最近は暇を持て余すと、もっぱらひとりで出掛けて買い物をしたりご飯を食べに行ったりしています。ブラジル人ばかりのダンス教室にも通っています。

わりとひとりで出掛けます。こんなお店でひとりランチすることも

別にポルトガル語がすごく上達したというわけでもなく、相変わらずの低レベルなのですが、それでも大丈夫だ! と思うようになったんです。

なぜなら、みんな、言葉が通じない私に動じないから。

こちらがボディーランゲージとある程度の単語をしゃべれば、たとえ時間がかかっても面倒くさがらず、理解しようと努めてくれます。

あまりにお互い通じなくて苦笑い……という時もしょっちゅうですが、「もういいです」と立ち去るタイミングを逃すほど、粘り強く言葉を探してくれます。

正直、ろくに言葉も喋れないのに堂々と外出するのは恥ずかしいし迷惑だ! なんて思っていたけど、いざ外出すると、そんなふうに思わせないブラジルの人の懐の深さを感じます。その優しさ、温かさは恐縮してしまうほど!

もう、ここは遠慮なく甘えちゃうことにしました♪

もちろん、ダンスのレッスンや買い物に関しては、先生や店員さんは仕事なので、こちらが求めているものに答えてくれるのは当たり前かもしれないのですが、それにしても親切なんですよね。

ダンスの先生は、「まだブラジルのことをよく知らない」という私に、YouTubeでこちらの有名コメディアンの映像を見せてくれたり、関係者の誕生日パーティーに、いきなり飛び込みで参加させてくれたりしました。全然知らない人ばかりで、しかも言葉が分からないから、あー、ちょっと気まずいかなあ、と思っても、不思議と居心地が良かったんです。みんなが普通に話しかけてきて、驚きました。そんな具合なので、私が日本人であることでの疎外感など微塵も感じずに楽しませてもらっています。

ブラジルの人は、どうも言葉が通じないことに慣れている! 外国人に動じない! と思えるのですが、それは、やっぱりブラジルが多民族の国だからなのでしょうか。

そもそも、ブラジルは各国からの移民を受け入れてきた歴史があります。

植民地支配だけでなく、移民としてもやって来たポルトガル人、それからスペイン人、イタリア人、ドイツ人、アラブ人、日本人などなど、大量に移住してきました。

今ではもう混血がすすみ、この国は本当に様々な人種で構成されています。もう自分にどこの国の血が流れているかはっきり分からないという人が多いんですって。

実際、サンパウロは日系人が多いし、街を歩いていると、ヨーロッパ系、アラブ系、アフリカ系、と肌の色は本当に様々なことに驚きます。奇妙な感じがするほどです。

これだけたくさんの人種がいて、さらに昔からそれぞれの移民が活躍し、ブラジルの経済を発展させてきたとなれば、人種に対する偏見などは、そうないんだろうなあと思います。(完全にないとは言い切れないようですが)。

ちなみに、日系人に関して言えば、「勤勉」「真面目」という良いイメージを持たれています。

このイメージを定着させてくれたのは、まさに日本移民の皆さんの努力です。日系企業はかなりこちらで成功してきたので。

例えばこんな話を聞きました。

かつて、日本の移民がブラジルでアイロン屋さんを始めた。ある日、ブラジル人から預かった洋服のポケットにお札が入っていた。お店の主人は、そのお札をどうしたかというと、丁寧にアイロンをかけて、持ち主にお返ししたということ。

この誠実さがうけて、このお店は大繁盛したんですって。

もちろんブラジルのお酒も楽しんでいます!

これは、ほんのひとつのエピソードですが、当時、日本の方がブラジルで好意的に受け入れられていった様子が垣間見えますよね。

そういった日系の方の活躍のお陰で、私もブラジル人に温かく迎えてもらっているというわけです。本当に感謝です!

多民族うんぬんという話しになりましたが、単純にブラジル人はみんなおしゃべりが大好き! という説もあります(笑)。

そして、たぶん分け隔てなく、人に興味を持つというか、人が好きなんでしょう。なにしろ、こちらが一人でいると、とにかくいろいろ話しかけてきますもの。

靴の買い物中なんか、みんな試し履きで椅子に座っているから絶好の会話タイミングです。「私の夫は靴を買いすぎだって言うの」とか、「あなたにはそれが一番似合う!」なんてアドバイスをもらったりします。

おもしろいのは、私が「ポルトガル語はあまり話せない」と言っても、みんな「問題ない!」と言って、会話を続行させることです。

会話にならなくても、顔を合わせて笑顔を見せあうことに意義がある! そんな風に思える国です。

これは一人で出掛ける密かな楽しみでもあります♪

日本に帰ったら、積極的に外国人に声をかけてみようかなあなんて思っている今日この頃。 ではでは、また来月に♪

執筆者プロフィール:岡山裕子

フリーキャスター、気象予報士。2002~2006年、名古屋テレビアナウンス部で「スーパーJチャンネル」「ドラゴンズ倶楽部」「伊集院光 光る! スポーツ研究」他を担当。2010年3月でTBS「NEWS 23」キャスターを卒業。1980年1月15日生まれ、茨城県龍ケ崎市出身、お茶の水女子大学卒。やぎ座のAB型で、特技はクラシックバレエ、趣味は映画鑑賞と料理。アメブロでオフィシャルブログ「ゆうコーナー」も更新中!